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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百五十七話 メカバング大地に立つ

大量バングの襲来以降

バングは嘘の様に現れなくなってしまった。


ネルドではドルワルド進出に動き出し

ダークと二人で倒した、ぼーっと突っ立っていた

2型が居た砦の奪還に成功した。


奪われるばかりだった

バングに対して初めて攻勢に転じた事に

ドワーフ、バルバリスも勝利を喜んだ。


実際はバングが居なかった為

侵攻では無く

遠足と表現した方が正しいと

ヨハンは照れ顔で言っていた。


砦そのものは荒らされた形跡は無く

放置された事による劣化以外は

被害らしい被害は無かったそうだ。


魔族側は訓練の為

ネルネルドに第一期遠征組が

新装備で詰めていたが

訓練終了前に初勝利になってしまい

貢献出来なかったとボヤいているそうだ。


ミガウィン族はビルジバイツ指揮の元

部落同士の無意味な戦闘を廃止し

荒野の調査を大規模に行っていた。

バルバリスとは不可侵を正式に結び

奴隷の引き取りを希望したが

帰りたがる奴隷がほぼいないそうだ。

まぁあのテント村より

大都会ベレンの方が何かと良いのは

しょうがない。


嫌がらせや商人の馬車襲撃が無くなっただけで

バルバリス側は満足のようだった。


俺達はと言うと色々だ。


ミカリンを連れアルコと一緒に里帰りをして

マイザーその他がアルコの変化に

腰を抜かしていた。

完全ベアーマン化したアルコは

大層な美人だそうだが

俺にはベアーマンの顔の見わけが付かなかった。

マイザーに1型の事を詳しく聞いたが

初手の魔法攻撃だけで

後は2型に任せて逃亡してしまったそうで

戦闘らしい戦闘はしていないそうだ。

ただ

ダークの書いた浮世絵1型を見せたのだが

「違いますな。」と言っていた。

紋様の方はうろ覚えで断言出来ないが

マイザー達が遭遇した1型は女性体型で

髪もロングだったそうだ。


1型は一人では無い。

これだけでも貴重な情報だ。

来た価値があった。


丸太小屋は保存状態が良く

荒らされた形跡は無かった。

俺は金属操作が可能になった勢いで

金属製の柵を設置、その他も補強した。

窓ガラスも設置して

かなり豪勢な別荘になってしまった。


この丸太小屋にも地下室を作り

装備、金塊など

出来るかどうかハッキリしていないが

万が一のリスタート時に少しでも

有利になるように備蓄しておく

裸一貫は言葉だけで十分だ。

実際に裸でスタートするのはキツい。


その日は久しぶりに

裏の露店風呂に3人で入った。


「変わった事ですか・・・・私ですね。」


丸太小屋に帰ったついでに

久しぶりにキャスタリアに会ったのだが

なんか豪華になっていた。

以前はシーツみたいなのを身に巻いただけだったのに

今はティアラやら腕輪やら

衣装もなんか透けたりキラキラ反射したり

複合素材で重ね着して

偉そうだ。


「随分、出世したな。」


俺もミカリンも開いた口が塞がらない程驚いた。

何をしたのか聞いたが

何と

何もしていなかった。


名付効果の恩恵で

俺のレベルアップに合わせて

キャスタリアもレベルが上がっていったのだ。


ズルいと思ったが

ウォーターシュート開放は

キャスタリアの恩恵だ。

何だかんだでこの呪文には

色々助けられた。


互いの近況を報告し合った

キャスタリアの方は本当に何も無く

バングも見かけていないそうだ。

俺達が会いに来たのが余程嬉しかったようで

情報収集の一環で来た俺は

ちょっと申し訳ない気持ちになる。

これからはタマに顔出そう。

っていうか飛行能力が手に入ったから

気軽に来れるので常識で考えれば

ドーマからここまでは結構な旅だ。


このままヒタイングまで

足を伸ばそうかと思ったが

知り合いも居ないし

海水浴の季節になってから

みんなで来ようと言う

ミカリンの言葉に従った。


その頃は学園に入ってるハズだが

夏休みってあるのかな。


そんなある日

俺は完成した実物大超合金バング

うーんメカバングでいいか

なんか巨大銀行っぽい響きだが

こっちの方が言いやすい。

メカバングをドーマの訓練場に運び

改造した義手を装着したマリオに

訓練をさせた。


始めは玩具の超合金バングから

馴れた所で実物大に切り替える。


ストレージ収納に大きさは関係無いのか

アモン2000よりデカイメカバングも

問題無く入ったのだ。


入れるのはいいのだが

出す時は細心の注意が必要だ。


出した瞬間に時間や重力などの

様々な法則が適用されるため


うっかり頭の上で取り出そうものなら

出した本人が潰されてしまうのだ。


俺はマリオを始め

暇つぶ・・・見学に来ていた。

ストレガ、ミカリン、アルコ、ギガ

そしてユークリッドに

離れる様に言いメカバングを取り出す。


ドォオウン


出来るだけ軽く作ったがそれでも

2tはある。

いい音を立ててメカバングは

訓練場の大地に立った。


「どぅおわっ!これは凄い!」

「お兄様・・・。」

「ガレージで見かけた部品、これだったんだ」

「そ・・・そっくりですね。」

「車より驚いたぞい。」

「・・・・これが動くのですよね」


俺は近寄って良く観察しようと

している皆に注意をした。


「転倒に巻き込まれるだけで

大惨事だぞ。危ないから離れてー」


しかも2型はタチの悪い事に

ハンプティ・ダンプティのように

ボディが丸い為、転倒した後に

転がっても来るのだ。

ガレージでテスト中に

ダークがそれでやられた。


俺はマリオに起動方法と基本操作を説明した。


「玩具と同じ動きじゃ、本来の目的

バングの動きを再現しきれないんじゃないかい」


「今は機能をロックしてある。

慣れ具合に合わせて解除していくんだ。」


いきなり複雑で繊細な動作を出来るハズが無い

玩具と同じ動きでも大きさ、重さが

これだけ違うと勝手も変わるのだ。


自分の方に向いているのに

うっかり腕鞭を使用すれば

大変な事になる。

ガレージでテスト中に

ダークがそれでやられた。


「確かに・・・ぞっとしないね。」


腕鞭事故の話を聞いて

マリオは青ざめた。


「そんなんで、みんな

これに上れーーー」


俺は訓練場の端っこにストレージから

校長先生が朝礼の時に校庭で使う

あのお立ち台を設置した。


見学者が安全地帯に入った事を確認すると

俺とマリオはテストを開始する事にする。


「ようし!行けぇマリオ」


「うぉおお!」


実は気合を入れても何も変わらないのだが

こういうのはノリも大事だと思う。


ブーン


玩具では聞こえないメインモーターが

アイドリング回転に入った音が聞こえて来る。


「こいつ・・・動くぞ。」


「え?そう作ったんだよね」


マリオにこのネタが分かるはずも無いか。


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