第百五十六話 ブリッペ訓練終了
ババァルの転移は
3位の時空魔王ヴァサーの真似だそうだ。
ババァルがいない今
1型に対し有効的な手段を持ち得るのは
彼しか思いつかないとビルジバイツは言った。
ヴァサー
確か前回はそいつが降臨する設定だったと
太郎は言っていた。
それがババァルだった事で
太郎も焦っていたっけな。
「召喚は・・・無理だよな。」
俺の馬鹿げた魔力なら可能かもしれないが
俺とは何の縁もゆかりない
遺物探しから始めないといけない。
仮に呼べたとしても使役なんて
出来るだろうか。
「バングの討伐が魔界にとっても
有益ならば協力してはくれそうじゃの
ヴァサーは魔王の中でも合理的な
判断を下すお方じゃからして。
ただ、魔王の召喚など前例が無い。」
ビルジバイツはここで一旦話を
止めるが視線をちょっと天井に持っていき
考えた後、付け加えた。
「ま、地上のアモン。それ自体が
前例は勿論、類似するケースも無い。
魔神2体を召喚使役してその余裕じゃ。
可能性を探る。お主にとっては
無駄な行為とはならないぞや。」
「次の降臨は誰が来るスケジュールなんだ」
呼ばなくても来てくれれば最高だ。
もうすぐ降臨でヴァサーがセットしてあれば
超ラッキーだ。
ここでブリッペの様子をさり気無く注視した。
なんだかんだ言っても4大天使の一人だ。
普段は周囲の油断を誘う為に
わざとうつけ者を演じている可能性がある。
この話題はその仮面をひっぺがすのに十分な餌だ。
ブリッペは何食わぬ顔で茶を飲んでいたが
瞳の奥が光った感じがした。
うーん微妙だ。
「爺。」
「選定はもうしてあるハズですじゃ
誰なのかは告知されておりませぬ。」
まぁ知っていても言わないか。
魔界に連絡する手段があるのかどうか
知らないが、これでヴァサーを推挙してくれるように
動いてくれれば幸いだ。
バング退治が魔界に有益かどうかは未知だが
今、目の前にいる弱体化ビルジバイツの
身を守る事に関しては間違いなく有益だ。
頼むぞ忠臣
策士なんだろ
ちょっと期待しているぞオーベル。
「そうかー。俺は俺で召喚出来ないか
探って見るか。何か縁の深い遺物とか知らないか。」
俺は軽い調子で聞いて見た。
思い当たらないそうだ。
これは本当に無いのだろう
降臨と違ってこちらの力で行う召喚
それで魔王を呼べるなら魔界側には
美味しい話だ。
俺がやれそうなら
やらせる様に仕向けて来るハズだ。
話はそれで終わり
ミガウィン族の集落から帰還する事にした。
ちょっと待ってろとブリッペが言ったので
待っているが、中々帰って来なかった。
置いて行こうかどうしようか
悩んでいるとやっと帰って来た。
「ジャーン!!どう?」
そう言って現れたブリッペは
ミガウィン族の女性の
民族衣装に着替えていた。
ゆったりとした衣装の下で
プルンプルンうごめく
豊なスライム二匹は
おお
いい
「いいな。」
してやったりの笑顔で喜ぶブリッペ。
「やらしー顔だーっ」
「はい。いやらしい奴です」
俺は素直に認めた。
「もらったのか」
いわゆる店はこの集落に無いのだ。
「うん。着てた奴と
喜んで交換してくれたよーっ」
着てた奴っておろし立ての僧侶装備か
あれ結構高いんだぞ。
・・・・。
でもこの衣装を入手するのは結構面倒か
僧侶装備はいくらでも補充が可能だ。
中々目福だし
いいか。
夕方にはドーマに帰還した。
地下道はガレージに繋がっている。
俺達はガレージから裏を通って
勝手口から入った。
漂う良い匂いは
アルコが夕飯の支度を
してくれていたからだった。
「うん。良い出来だね。」
ブリッペは入る前にそう言った。
匂いだけで料理の出来具合が判別出来るようだ。
「お帰りなさい。もうすぐ出来ます」
エプロン姿のアルコは
完全に新妻といった様相だ。
戦闘以外では人化している事が増えた。
これなら学園も問題無いだろう。
ブリッペは手や顔を洗うとアルコの
手伝いに入った。
ミカリンとグレアは店番だそうなので
俺は覗きに行くと
店は大盛り上がりだ。
魔族の子供が店を埋め尽くしていた。
超合金バング対戦でトーナメントを開催
今、決勝だそうだ。
朝、俺達が遊びまくりキズが入って
売り物にならなくなった5体を利用して
ミカリンが始めたそうだ。
「グレア・・・魔族の子供達が年に一回
気合いれて買える値段てどの位だ。」
超合金バングの値段はその位に設定しよう。
この大盛り上がりを見て
俺はグレアにそう尋ねた。