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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百五十五話 浮世絵師ダーク

俺が倒すだけなら強いモンスターでも

問題無いが、そもそもこの辺りは

モンスターがそんなには居ない。


居てもそんな強くは無い。


まぁブリッペにやらせる為に

丁度良いかと思ってこっちに来たのだ。


ベレンとヒタイングの間の森

セントボージから湖付近の方が

モンスターは豊富で

冒険者協会もそちらの方面に

力を入れていた。


こうして考えると

俺の初期位置、滅茶苦茶不利だ。

レベル1で放り出して良い場所じゃないぞ。

人里も無いし


リスタート最初の頃は

ミカリンと良く息を潜めて

強めの奴はやり過ごしていたっけな。


今度、復讐で無双しにいこうっと


「10時、2キロ先ーっ」


「悪魔光線!」


「1時、5キロ先、複数!!」


「悪魔光線!悪魔光線!!」


ブリッペは受肉のクセに目が良い。

先程から俺の肩に腰掛け

曲げた俺の腕に足を置き

手では角を掴んで

飛行しながらモンスターを

見つけては俺に指示を出し

片っ端から悪魔光線で始末している。


ふとメニューを見てみると

なんとブリッペのレベルは

もう20を越えていた。


もう少しで天使化・・・

出来るなら開放されるはずだ。

ミカリンとは状況が違う

受肉した天使なので

既に天使なので開放そのものが

無いかも知れない。


俺のレベルはさっぱり上がらない

当たり前だが、もう弱いモンスターでは

全然、経験値が稼げなくなっていた。


バングでも居ればいいのだが

この間の大襲撃以降すっかり見かけない。


ここまで飛んだのだ

俺の用事も済ませてしまおう。


ミガウィン族の領地まで足を伸ばした。


ビルジバイツは指定してきた通りの場所に

その魔力を感知する事が出来た。


その場所は町は愚か村ですら無い

テントがいくつも立ててある集落で

遊牧民かインディアンを連想させた。


「アモン、何か怖いんだけど・・・。」


天使は悪魔の存在を感知する能力が備わっている。

ブリッペは人状態でも敏感に感じ取った様子だ。


「ああ知り合いの魔王の所に行くんだ。」


「え?」


青ざめるブリッペ。


「ブリッペ。食べられちゃうの」


いやー食わないと思うぞ。


「ウルの翼、食った事あるが腹壊すかと思った。

だから、その心配は要らないぞ。」


「ウルポン食べたの!?!」


「翼だけな。まずかったわー」


テント軍団の真ん中

広場みたいになっている場所に

ゆっくりと着地した。


アホ面で呆然と眺める者

慌てた様子でどこかへ行く者

テントに飛び込む者


モヒカンの反応は様々だった。


ちょっと豪華目のテントから

ビルジバイツが例によって肩に

オーベルを乗せながら迎えに出て来た。


「ぬ?地上のアモン。肩のソレはなんぞや」


「・・・俺の奴隷だ。気にしなくてイイぞ」


ブリッペを降ろすと悪魔男爵バロンから

見た目チンチクリンの半魔化に変化した。

案内されるまま豪華目のテントに入った。


テントは外から見るよりも

意外に広く天井も高い

サーカスは出来ないが

その控室っぽい感じだ。


中央の

これは玉座になるのか

なんか派手な鳥の羽で装飾された

椅子にビルジバイツは腰かけた

テーブルを挟む様に俺達は

普通っぽい椅子に座る。


即座にミガウィン族のお姉さん達が

お茶その他を出してくれた。

男子のカッ飛んだモヒカンと異なり

女子は話の通じそうな外見だ。

なんかミカリンのお姉さんっぽい感じだ。

ユークリッドが同族と判断するのも頷けた。


衣装は麻っぽい生地をメインとした

ゆったりした民族衣装だ。

隙間も大きく、チラチラと地肌が見える。


おお

これは意外にいいぞ。


「あーやらしい顔してるー」


「今度・・・ハァ・・・お前に

この衣装着せて・・・はぁ」


コロコロと笑うブリッペ。

ビルジバイツは普通の顔で

俺に言って来た。


「妾も着替えようか。」


そのままで良いと言って置く


「ナナイが見えないが」


手下のモヒカンと捜索に当たっているそうだ。

良かった居ないのか。

ナナイで思い出した。


「実はもう一人いてな・・・出てこいダーク」


「ハッ」


俺の影から飛び出し

俺の横で畏まるダーク。


ブリッペは茶を噴き出し驚いた。


「ブーッ!!アアアアモン

魔神クラスの悪魔がー」


流石はダークの隠密スキル。

ブリッペが気づいていなかったか。


「俺の手下だ。俺に敵対しない限り

安全だよ・・・・ちゃんと拭けよ。」


ブリッペはビクビクしながら

ダークを凝視して

少し椅子をずらして遠ざかった。


やっぱり悪魔が近くにいるのは厳しいか。

ダークは俺と違って人化しないからな


ブリッペは人差し指をクルクルと回すと

飛び散った茶を空中にまとめ

まとめ

カップに戻した。


戻すの!?

汚くない?

純粋に茶の液体だけで

泥や埃は分離しているのか

にしても精神衛生的には

ちょっとやめて欲しいな。


「ほぅ」

「何と」

「水遁でござるな。」


ビルジバイツは感心し

オーベルは驚き

ダークは完全に間違えていた。


「説明しておくか。

こいつはブリッペって言ってな」


「紹介って言ってよぉ」


どっちでもイイだろ。

俺はブリッペを紹介した。


四大天使の一人という事が分かると

ちょっとパニックになる悪魔軍団。


「ちょちょちょコラコラコラ

妾は今存在の力が脆弱なのだぞ!」


オーベルは飛んでどこかに行った。

おい忠臣

主を守れよ。


「しもべ化したのはミカではござらんっかたか」


俺はブリッペが受肉の完全人状態で

悪魔に危険が無い事

ミカとは別口で押し付けられた事を

追加で説明した。


「焦ったぞ。思えば目の前にいて

何のプレッシャーも無いのだから

安全なのだろうとは思うがの」


ほっと無い胸を撫でおろすビルジバイツ

その肩に

何食わぬ顔で戻ってくるオーベル。


「4大天使の半分を使役とは・・。」


まぁどっちも4大天使としての

権能は皆無な状態なんだがな。


「して、何用かの」


俺はバングの話を始めようとしたが

ビルジバイツはバングを目撃していなかった。


「手下どもから話は聞いておったがの」


俺らが全部倒した後だったからな

俺はバングの2~4型の説明を始めた。


「うーん。白い仮面に黒いボディで

生き物でも霊体でも無く、魔法が弱点とな

・・・今一頭に絵が浮かんで来んの」


絵で説明した方が良いか

でも、絵は自信が無いな。


「ダーク、絵に出来るか」


「お安い御用でござる。」


俺はストレージから

紙と筆記用具をダークに渡すと

ダークはスラスラと描いた。


上手いんだが

なんで浮世絵調なの

葛飾北祭なんて名付けた忍者刀のせいか


「ふーむ。やはり知らん種族よ」


3枚の浮世絵バング

それぞれに目を通したビルジバイツは

そう言った。


「この前、大量に退治したから

しばらくは出ないかもだが」


俺は弱点と倒し方

各バングの攻撃方法を説明しておく

手下のモヒカンは頼りにならない事と

ダークでさえ恐怖を感じるほどの

特殊効果がある事を念押しした。


「まぁナナイに任せろって事だ。」


あいつの冠婚葬祭なら

バングにも通用するだろう。


ビルジバイツも弱体化

オーベルに至っては鳥だ。

強力な魔法は難しいだろう。


「ふむ。有難く忠告を受け取っておく

ただ気になった事があるのじゃが」


「何だ。」


「壱は無いのかの」


俺が説明したのは2~4型だ。

1型が抜けているのは

誰でも変だと思うだろう。


「その1型なんだがな・・・ダーク」


「御意」


ダークはそれだけで察した

スラスラと1型を描いて行く


やっぱり浮世絵調だ。

仮面の紋様が歌舞伎を連想させ

さらに浮世絵っぽさを加速させていた。


俺は一瞬、それも上半身しか視認して

いなかったが、ダークは

長時間の戦闘のおかげで

全身を細部に渡ってまで

観察できていたようだ。


1型は他のバングと決定的に異なる。


仮面の下に顔が存在する。

黄色い瞳は俺も見た。

クナイ命中時に声を出した。これは

痛みを伴う触覚と声を出す機能があると言う事だ。

魔法だったのか未確認だが

別空間を利用した潜伏と奇襲を行う

俺が鎌だと思ったのは

人間で言う腕の骨

手首から肘までの二本の内の一本

小指側の尺骨とよばれる骨が

鳥の翼の様に展開する仕組みで

畳んでいる状態では完全に人型だ。


「時空系か・・・厄介な相手じゃの

ババァル様が居てくれれば

いくらでも対策してくれるじゃろうがの」


ビルジバイツの能力は腐敗だ。

あの毒霧は腐る事で発生した有害物質だ。


「えーババァルがぁ」


とてもそんな有能には思えない。


『プンプン!』


悪かった悪かった。


「はは戦闘そのものは苦手なお方じゃがの

ババァル様の時空系ならば、異空間そのものを

力づくで閉じたりも出来よう。」


あいつ出来そうだな。


「それだと?」


「それだと誰も出られん。閉じるだけではなく

そのまま潰して一網打尽で片付くじゃろうな。」


探すまでも無く

警戒する必要も無い


「スゲェんだな。」


『もっと仰って下さいまし』


「スゲェなババァル。」


幻聴ババァルを相手してただけなんだが

連呼するほど感心していると

ビルジバイツは勘違いしたようだ。

更に説明をしてくれた。


「伊達に一位ではないぞな。

その時空系も他の魔王の真似じゃ

本来の力、暗黒を使用すれば・・・。」


そうだ。

暗黒魔王だった。


「すれば・・・どうなっちまうんだ。」


「爺!」


「噂では・・・」


使った事が無いみたいだった。


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