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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百四十五話 名乗り

「これは・・・鉄!?」


滞空しているストレガが壁に手を当て

そう言った。

正解。

新呪文、鉄壁アイアンウォールだ。

内容は土壁と同様、ただ素材が鉄だ。


「え?アモンもしかしてレベル上がってる」


ミカリンも飛び出し壁を確認している。


「あぁスマンな。最近ちょっと一人で・・・。」


「ズルーい!!」


憤慨するミカリン。

アルコも微妙な表情だ。


最近、三半機関で戦闘してなかった。

アルコもミカリンもハグレ4型3体

その時の50のままだ。


「だから今回は、アルコとミカリンでね。ね」


なんで俺が言い訳じみた事を言わねばならんのだ。

そう思いながらも二人をなだめる様に言った。


「よし。外のモヒカン。二人でやるよアルコ!」

「了解です。」


「コラコラ話を聞いていたろう」


恨みを買っても得が無いぞ。


「でも現に襲われているんだよ。」

「降りかかる火の粉ですよマスター」


やる気満々の二人だ。

おい、誰か俺に加勢しろ

願いが通じたのかナリ君が歩み出て来た。


いいぞ王様

ガツンと言ってやれ


「滅ぼしてしまえば後腐れもなかろう」


おいー


滞空したままのストレガも同意した。


「私だけでも殲滅可能です。お兄様」


お前もか

ギガとマリオは我関せずだ。

二人とも戦闘員では無い。


「こうなってしまっては

いた仕方ありませんかねぇ」


ユークリッドまでそんな事言ってるし

しっかりして司教。

例え今面倒くさくても

後々楽になるなら今頑張ろう。


俺は楽をする為になら

努力を惜しまないタイプだ。


「待て待てみんな。戦わずに済めば良いのだろう」


しかしなんで悪魔の俺が平和的解決に

奔走しなければならないのだ。


「策があるのですか。マスター」


ナリ君がそう聞いて来たが

これが無いんだな

今から考えるんだ。

だって突然だったし

バングを相手にする予定だったし

・・・・・。

これだ。


「ここで彼等を殲滅したとしよう

それはもちろん可能だろうが

ミガウィン族はいくつもの部落に

別れて暮らしているのですよね。」


俺はユークリッドに再度確認した。


「ええ、外の彼等はその一部族でしょうね」


外でドーンドーンと音が響いている。

鉄で出来ているが音が小さい。

ミガウィン族が再度、攻城兵器で

突撃しているのだろうが

完全に無駄だ。

500mmの厚さにした。

元の世界でもこれを突破する兵器は無い。


「つまり他の連中がどうしても残る

一部族を滅ぼしたとなれば残りの

恐怖に駆られた彼等が何をしてくるのか」


「来たらまた滅ぼせば良いのでは」


あのなぁマジ基地ワロエナイ妹よ。

って他の連中も頷くんじゃない。


「一般の信徒への印象はどうなりますか」


俺はユーにそう聞いた。


「何とも言えませんがベレンに

関してはそういう強硬派もいますよ。」


元々武力制圧上等の武闘派教会だったけな

「武」って専門分野があるぐらいだ。


「でも恩を着せて戦いを

回避するほうが得だ。バング相手に

バルバリスもドーマも余裕が無いんだろ」


これにはユークリッドもナリ君も頷いた。


「恩を着せるって、どうやって」


ミカリンが聞いて来た。


「バングだよ。これからここにバングが現れる

それを俺らで退治して恩を着せつつ

こんな連中と戦争なんて勝ち目が無いと

思わせてしまう。どうせ元々今日は

バングと対戦する予定だったし

野次馬が増えたと思ってさ」


ユークリッドは首を傾げて言って来た。


「バングが現れるまで

ここに引きこもるのですか。」


「長に話を通せばいい。1000の味方から

引き離されて少数になれば、あんな強気では

居られないさ。」


あのでっかい奴がそうだろう。


「長だけ攫ってくれば良いのですね」


そう言ってストレガは上昇しようと

するが俺は止めた。


「身を危険に晒してまで攫う必要は無い

もっと簡単に分断出来る。」


俺は半魔化しデビルアイで

外の様子を探った。

分厚い鉄の向こうだが

自分の魔法だったお陰で見えた。

これが魔法でない鉄だったり

他人の魔法ならこうはいかなかっただろう。


長の場所を探り当てると

俺は鉄壁の呪文に入る。


壁の向こうで例のドドドが悲鳴などと

一緒に聞こえた。


分断を確認した俺は

隔てている壁を解除した。


ミガウィン族の長と

親衛隊なのかな

ちょっとモブより豪華な装備のモヒカンが

2人だった。


彼等は消えた壁の向こうから

一列に並んだ俺達を見て

多勢に無勢

その立場が逆転した事を悟ったようだ。


「ボスぅヤバいですぜ」

「ヒィ何なんだこの壁はぁ」


親衛隊はすっかり怯えていた。


ボスと呼ばれた男は

内心同じなのだろうが

ボスと言うプライドから

狼狽える事無く俺達を睨みつけた。


「面白い術を使うようだな。だが失敗だぜ」


ボスは背中から戦斧を引き抜くと

ブンブン音を立てて振り回し構えた。


「ミガウィン風の部族、族長ブレンボ

俺一人で一騎当千だ。手前等は何者だ」


自己紹介タイムか


ユークリッドが一歩前へ出て言った。


「9大司教のユークリッドです。」


親衛隊が驚く


「げぇバルバリスの首脳陣だ!」

「バルバリスがとうとう本気で俺らを潰しに来た

もうだめだぁお終いだぁ」


イイ感じでモブっぽいぞ

君ら100点だ。


続いてストレガが一歩前へ出た。


「魔導院。院長ストレガです。」


親衛隊が驚く


「げぇ魔法鬼神だぁ!」

「バルバリスの最強戦力だぁ

もうだめだぁお終いだぁ」


ナリ君が一歩前で出た。


「魔族の王。ドーマ皇帝ルーンマーセナリーエクス」


親衛隊が驚く


「げぇ雷帝だぁ」

「帰還の噂は本当だったんだぁ」


ここでブレンボの顔色が変化した。


「なっ・・・ドーマがなんでバルバリスと」


ナリ君は何でもないかのように普通に答えた。


「最近、同盟を組んだ。」


輪を掛けて親衛隊が驚く


「そんなぁ!対バルバリスの雄が

手を組んじまったなんて!」

「これで誰もバルバリスを止められない

もうだめだぁお終いだぁ」


ここで満を持して俺が一歩前出た。


「金物屋メタめたオーナー

ゼータ・アモン!

ドーマにお越しの際は是非

うちで買い物してね。」


緊迫した空気が一瞬で腐った。


「・・・アモンさん。」

「・・・お兄様。」

「・・・マスター。」


先に名乗った三人が

判を押したかのように同じ表情で俺を責めた。


しょうがないだろ

今の俺にはそれしか身分が無いんだ。


「ミカリン、やっぱり俺らだけしょぼいよ。」


俺は泣きそうになりながら

振り返ってミカリンに助けを求めた。


「ぼぼぼ僕等が本当の力をとっとりもど」


横を向いてブツブツ言っているミカリン。

ああ

ミカリンが僕を見ない。


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