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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百二十五話 そこに隠れていて欲しい いのさ

「呼び出しておいて、何だとは

ヒドイでござる。」


ごもっとも


「いやな。召喚の仕組みがな」


俺はダークに悪魔召喚の説明をした。

それを聞いたダークは笑って背中の忍者刀

「葛飾北祭」を鞘ごと外して差し出して来た。


「で、あるならば、これが原因でござるな。」


この刀は前回降臨時に俺が作成して

ダークにあげた物だ。


「アモン殿の体の一部で拵えた刀でござる。

アモン殿の魔力に最も縁の深い物でござろう」


「成程、納得だ。」


ダークは顎を人差し指と親指でつまむようにして

俺をしげしげと観察した。


「アモン殿・・・いかがされた。

弱体化しておられる様にお見受けするでござる」


デビルアイを起動しているのか。

元々、ダークは忍者だけあって

気配を絶つのが上手い

俺はダークの走査に気づかなかった。


弱いのが早速バレた。


「ああ、実はな・・・。」


純粋な悪魔で無い俺は

魔界に帰れるわけも無く

体の再生に14年掛かり

しかも弱体化までしてしまったと

俺はダークにそう説明した。


ゲームのリスタートを理解させるより

こっちの方が分かりやすいだろう。


「ふむ。そうでござるか、して

どのような最期だったのでござるか。

拙者は早々に燃え尽きてしまって

決着を知らないでござるよ。」


大天使二人掛かりのチャージ攻撃で

東の魔都、デスデバレイズは消し炭になった。

その業火から俺と魔王ババァルを守る形で

ダークは燃え尽きたのだ。


「んーまぁ、結局はやられたんだが・・・。」


俺はその後の決着までダークに

話て聞かせた。


ダークは胡坐をかいて座ったまま

腕を組んで大きく頷きながら聞いていた。

そして俺の話が終わるといきり立った。


「おおおお4大天使を単騎で屠るとは

流石!!流石アモン殿でござる。

拙者の知る限り魔王を始め、いかなる魔神も

成し得なかった偉業でござるよ」


感動で泣いている。

魔神、泣くんだ。


「いや、ミカは厳密には倒せてないし

女神の力による自爆だからなぁ」


あまりの大袈裟なダークの感激っぷりに

俺にしては珍しくつい謙遜してしまう。


「戻って来れぬ場外に放つ

見事なうっちゃり。

物言いのつかぬ勝ちっぷりでござるよ」


両こぶしを強く握りしめ

ダークは熱く語った。


「拙者は忍者、戦力を冷静に判断するでござる。

拙者ならば自分より強い相手には

命令で無い限りこちらからは勝負を

決して仕掛けないでござるよ。

賭け、とはその時点で確実な勝利を

放棄したのと同意であるがゆえ」


ここで大きくため息をつくダーク。

魔神、ため息つくんだ。


「拙者は忍者である事に

誇りを持っているでござる。

バクチなど軽蔑の対象でござるよ。

しかし、この心の奥底から湧き上がる

熱い感情もまた事実。

正直、憧れるでござる。

火中の栗、しかも有るかどうか

ハッキリしない栗に火傷承知で腕を突っ込む」


プルプルしながら語っていたダーク。

ここ等辺で、ようやく冷静さを取り戻し

普通の音量に声が戻った。


「アモン殿にとって強さとは

勝利の絶対条件では無いのでござるな。」


「有利には違いない。」


ホメ殺しだな。

このまま上手く騙せればいいんだが

雲行きが怪しくなってきた。


「で、今は弱っておられるのでござるな。」


「ああ、見ての通りだ。」


俺はしょうがないとしても

モナは逃がしたい

俺は後ろのモナを確認した。


モナは壁に背を預ける恰好で

力無く座った状態だ。

不自然に斜めってる。


駄目だ。

ダークのオーラで気絶しているな

抱えて逃亡・・・させてくれるワケないな。


「ふふふふふ」


不敵に笑い出すダーク。


「これは前回の雪辱を晴らす好機でござるよ」


んーと前回の雪辱って言うと

あれか初見でエルフの里

フルボコにしたっけな。

うーん

ダークにはボコられてもしょうがないか。


警戒しても無意味だ。

俺は自然体でダークの前に立ったまま

仕掛ける素振りも見せない。


そこへダークは方膝をついて畏まった。


「前回はあまりにもアモン殿が強すぎ

何のお役にも立てなかったこの雪辱!!

今回のような事態ならば不肖ながらも拙者

必ずやお役に立てると

お約束する次第でござるよ。」


雪辱って

そっちか


「うん。頼りにしてるぞ」


「ハハッ!!」


気合入りまくりのダークであった。


「早速で済まないが」


「何なりと!」


「オーラ弱く出来るか、連れが気絶してる」


俺は親指を立て、自分の肩越しに

モナを指刺した。


「これは失敬を・・・これでも

絶っている方でござるが」


「普通の人間は、恐ろしく弱い」


前回もチャッキーやヨハンなどとは

会っているダークだが

あいつらを人間の標準と思ってはいけない。


「・・・そんなモンだな」


弱まる悪魔オーラを見て

頃合いで止めた。


「これは心細いでござるな」


人に例えれば鎧を脱いだり

武器を外したりの感覚が近いだろうか

悪魔オーラを控えると

いざと言う時、戦闘態勢に入るまで

どうしても遅れが生じるのだ。


「この辺りにダークが警戒する程の

強者はいないよ。」


「目の前にいるでござるよ」


これは俺に聞こえない様に

呟いたダークだ。

聞こえない振りで俺は続けた。


「これから用事があるんで積る話は後だ。

俺の影に隠れて気配を絶て、彼女を起こす」


このまま起こしても

ダークを見て、また気絶だ。


「ハッ」


そう言うとダークは俺の影に入った。


「ぅおゎ」


何かポケットに他人が手を

突っ込んで来たかのような違和感を覚える。

そういえば影に入った事はあるが

入られたのは初体験だ。


・・・・・

いやぁ変なモノ入れないでェ


「影に接触したのを感知したでござるか」


俺のリアクションを見て

影の中からダークが話しかけて来た。


「これで良くバレないな。」


「失敬、仕事の際はもっと慎重に入るでござるよ。

しかし、この入り方でも気づく者は

同業の忍ぐらいでござる。アモン殿は繊細な感覚を

お持ちでござるな。」


敏感なの


キモいな

言うのは止めよう。


俺はモナの所まで行って

念の為にデビルアイで走査した。

問題無い、気絶しているだけだ。


「せっ」


静電気セーターでモナを起こす。

かなり加減したので痛く無いと思う。

マリオやクフィールには加減無しだが

モナには可哀想だ。


「・・・・あっ」


モナは意識を取り戻した。


「大丈夫か。」


大丈夫なのはデビルアイの走査で分かっているのだが

一応そう話しかけた。


少しぼんやりした感じのモナは

見る見る目の焦点が合っていき

警戒するように辺りを見回した。


「あっあの、悪魔は」


「ああ、召喚は失敗だった。

途中まで出て来たんだが戻っていってしまった。」


「・・・そう・・・ですか。」


そんなハズは無いと思っている様子だが

現にこの場に悪魔はいない

周囲も争った形跡も無い

モナはそれで納得した。


「やっぱりモナの言う通り

ちゃんと準備してやろうか

またの機会にな」


「はい。」


「宴会いけそうか」


「はい、少し休んでからなら

多分、大丈夫だと思います。」


モナの気分が優れるのを待ってから

宴会会場へと移動した。


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