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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百二十四話 おっハロぅダークネス

「悪魔の文字をどうやって

習得したのかは納得した。

次は何故、召喚なのかだが・・・。」


これは単純に魔導院の命題で

マリーに言われたからかな。

そう予想したのだが

モナの答えは違った。


「実はですね。」


ここ何か月か

悪魔の夢を見なくなっている状態が

続いているとの事で

向こうの自分の安否が知りたく

なんとか魔界の情報を得る方法を

ずっと模索していたそうだ。


「で、悪魔が呼べれば」


「はい。向こうの私の状況を

何らかの手掛かりでも入手出来ないかと」


向こうの自分が心配。

成程、これでは真剣に取り組んでいるのも納得だ。


「悪魔としての最後記憶は」


そう聞いたが全く覚えていないそうだ。

その日の朝、夢の最後の記述には

「黒に染まる」とだけ記入されていたそうだ。


ヤザワだな。


違うよな。

ボケるのはやめておこう。


「魔界の状況を知りたい。

この事に関しては俺も同じでな。」


ラハやウルに言われたから

と言うワケでは無いのだが。

リスタートしてからこっち

召喚されたバゼルを除き

一切、悪魔に会っていないのだ。


野良悪魔、天然もの悪魔

そう呼べばいいのかな。

とにかく人の手による召喚で無い悪魔

これに遭遇していない。


前回は降臨という事もあり

大量発生していたわけだが

その理由を除いても

ここまで遭遇が無いのは

少し変だと感じているのだ。


魔界に何かあったのか。


「それに俺も悪魔だし、

・・・仲間で悪魔だな。」


「仲間で・・・悪魔。」


俺の言葉を復唱して

微妙な表情になるモナ。


「はい。そうですね。仲間で悪魔です。」


良かった

不評では無いようだ。

・・・・

次は女神に転生出来るといいね。

・・・。


先に合体を試してみ

ややや

これも通じないだろ

黙っておこう。


さて

そう言う事情なら

当初の目的を実行しても

彼女ならば問題あるまい。


むしろ経験者なワケだから

アドバイスも貰える。


俺は当初の目的。

ここ魔導院に訪れた目的を実行する事にした。


「じゃ、これから俺が

何か悪魔呼ぶから手伝ってくれ」


俺の依頼にモナは硬直したまま

動かなくなってしまった。

取り合えず返事を待った。


「・・・・えっ?」


やっとモナは返事をしたが

何だ

通じていないのか


「悪魔呼ぶから手伝え」


「ぅええええええええ?!」


「うえーって、それは了解の返事と解釈するぞ。」


分身の術でも使っているかのように

高速で手足顔を動かして

色々喋り出すモナ。


何とか聞き取り要約すると

嫌がっているようだ。


「魔界の状況を知りたいんじゃ無かったのか」


俺がそう言うと

今度は言い訳を連呼し始めた。


どうも失敗の経験が

彼女に二の足を踏ませる原因だ。


やるのは俺だと強調し

モナは呪文の伝授その他アドバイスを

くれればいいと説得した。


「そそそうですよね。前も

ゼータさんが後始末をしてくれたんですものね」


「怖いなら、逃げていてもいいぞ」


「いいえ、仲間を見捨てるなんて出来ません」


居てもらう必要は無いのだが

モナは気合を入れ始めた。

どうも仲間というキーワードが

モナに何かの変調を促すキーワードになったようだ。


「それにしても、今ですか」


「今がチャンスだ。他の連中の横やりが無い」


研究を中断と院長が宣言してしまった。

ストレガに続行を命じてからとか

面倒くさい。

今ささっと呼んで終わらせたい。


「んー・・・。問題が・・・。」


「大丈夫だ。やるのも俺、責任も俺だ。」


ここに来てまだ

ぐずるか。

そう思ったが

物理的な理由だった。


「・・・触媒が無い?」


俺は思わず聞き返してしまった。


「はい。依り代、同時にしるしとなる

その悪魔に関わりの深い遺物が無いと

成功率が下がるだけでなく

仮に成功したとしても誰が出て来るのか

全く予想が出来ません。」


そういえば、アモンが使ったと言われている錫杖

前回の召喚では、その杖を使っていたっけな

まぁ実際に使っていたのはバゼルだったので

バゼルが出て来てしまったのだ。


「何が出て来るのか分からない・・か」


「はい。」


真剣な面持ちで頷くモナ。

諦めてくれと言わんばかりだ。

残念だったな

俺でなければ引いたろうに


「ガチャみたいで面白そうじゃないか。」


「ガ・・・ガチャ?」


とにかく実行だ。

俺は強引にモナから呪文、その他の

アドバイスを受けると

魔法陣の中に身を置いた。

慌ててモナが止める。


「な中に立つ必要は・・・。」


「ある。俺の魔力が触媒・・・餌だ。」


バゼルも相当飢えていた様だし

魔力に引かれて、掛かりやすいんじゃないか

そう思ったのだ。


「じゃあ、はっじまるよぉおお」


俺は気合を入れて

そう叫ぶと召喚呪文の詠唱に入った。


安全の為に壁際まで下がったモナの

表情は苦虫を噛み潰したような顔だ。

彼女的にはかなりいい加減な術式に

見えるのだろう。


足元の魔法陣は光を増し

俺は変な感触を覚えた。

何か船底に大穴でも開いたかのような

開いてはいけないモノが開いた。

外れてはいけないモノが取れた。

そんな感覚

確実に世界の殻に変化が生じた感じがした。


その途端に魔法陣はバゼル時とは

明らかに様子が違った。

光は高速で回転を始め

魔法陣の外周からは光の輪が

次々と上昇していく


来る

それもヤバいのが


光の環が遂に虹色に眩しく光った。


「虹だ!」


モナも予想外の事態に驚愕して

恐怖を感じる事無く

ただただ目の前の現象に目を

思考を奪われている様子だ。


マズった。

これは絶対、今の俺より

強い悪魔が来る。


もう召喚は止められない。

力ずくでは、言う事を聞かせられない相手が来る。

上手く話で騙せれば良いんだが

あーもっとレベル上げてからにすれば良かった。


完全に後の祭りだ。

もう、諦め

いや覚悟を決めよう。


ドーン


そんな音がしたかどうかは

覚えていない。

光の柱が足元からそそり立ち

暴れる魔法陣は

先程までの暴れっぷりが嘘の様に

静かになった。


光の柱が薄っすらと消えていくと

そこには

1人の男性と思わしき人物が

胡坐をかいて座っていた。


その男は忍者の様な出で立ちで

背中には忍者刀を背負っていた。


座ったまま、ゆっくりと顔を上げ

瞳の無い、全て白い眼球で

俺を見て言った。


「人間如きが拙者を召喚などと

どういう事かと思ってみれば

何とアモン殿でござったか。」


緊張が抜け

俺はその場にヘナヘナと座り込み言った。


「何だ。ダークか。脅かすな」


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