表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぞくデビ  作者: Tetra1031
121/524

第百二十話 堂々と裏口

会議は滞りなく終了した。

ほぼ想定した通りで決着だ。

その後は親睦を深める雑談だ。


俺達のテーブルにハンスを筆頭に

例の定例報告会の三人ががやって来た。


「おかえりなさい。アモンさん」


ハンス君だ。


「おう、少し老けたな。」


「ハハ。苦労していますからね。

・・・あの、ヴィータ様は」


俺達のテーブルを見回して

ハンスはそう言った。


「天界だ。」


俺はそう返事をした。

確かに俺・ハンスとくれば

ヴィータに居て欲しい気持ちは

俺にも分かる。


「そうですか。息災でおられるといいのですが」


あからさまに残念そうにハンスは言った。

前回もヴィータには献身的に尽くしていたからな

ハンス君は


「ああ、他の女神と毎日お茶してるそうだ。

天使に聞いたので間違いないぞ。」


なんか

あいつは健康面で心配は要らない気がする。


「そうですか。それは何よりです」


安心したような笑顔になるハンス。

このハンスの笑顔なんだが

見わけが難しい

糸目と呼ばれる瞳が外から見えない目

かといって閉じているワケでもない目で

基本いつも笑顔なので変化が極々微妙なのだ

俺くらいの上級者になると

怒ってる笑顔のハンスの判別もかのうだが

初対面の人には全て同じ笑顔に見えるだろう。


「先程は醜態を晒しました。

どうかお許しを」


頭を下げるパウル。


「いや、戻ってからこっち

泣いて喜ぶ奴なんてパウルだけだ。

嬉しかったぞ。」


俺がそう言うとパウルはまた泣きそうな顔になった。

面白い

泣かそう。


「私だって泣いて喜びました」


ストレガが膨れて主張した。

いや、初見は冷酷な表情だったぞ。


「俺だって泣きまくりだぜ」


見た事無いぞヨハン。


「我だって泣きました。」


いや、ナリ君は前回の俺知らないでしょ

君が泣いて喜んだのは

ボーシスさんに踏み踏みされてた時だけだよ。


「それにしても魔族側の交換条件が

何も無いに等しいのは、どうしてなんでしょうか」


ここでユーが王と俺を見ながら

そう言った。


「ああ、魔族側には我慢してもらって

俺の条件を優先させてもらった。」


そう言った俺にユーは首を捻りながら答えた。


「・・・会議後では意味が無いのでは

こちらがその条件を今から飲むとは限りませんよ。」


交渉としてはその通りだ。

そんなの後から言われてもと

堂々と断れるだろう。


「飲みます。」

「何でもお申しつけ下さい。」


横からそう言ったハンスとパウルに

ユーが突っ込みを入れた。


「あなた達はちょっと黙っていてもらえますか」


俺はニヤニヤと笑いながら言った。


「後でも大丈夫みたいだぞ。」


俺の方に振り返りユーは

毅然とした態度で言った。


「9大司教とはいえ個人では決定出来ません。

残りの司教の賛成・同意が必要です。

例え最高指導者であってもです。」


これはヨハンをチラ見しながら言った。

牽制しているのだろう。


「9大司教が出張る程の条件じゃないのさ」


更に首を傾げるユー。


「益々分かりませんねぇ。一体何を

要求する気なのですか。」


俺は咳払いを一つするとお願いした。


「学園に入学したいです。もちろん

試験は受けて正々堂々とはいる

つもりだが、ホラこう言うのって

貴族とかが相応しくないとか言って

変な横やりが入る時とかあるじゃん。」


俺はベレン観光の全てを水に流す事件を

思い出していた。

あの時に絡んで来た学生連中は

いわゆる不良って感じでは無かった。

いいトコの坊ちゃんお嬢ちゃんだったのだ。

ミカリンの肌の色、それだけでアレだ。

出来れば学園は水没させたくない。


「学園・・・ガルド学園の事ですか」


ユーはそう確認してきた。

他にも学園あるのか


「そうです。」


「その為にその年齢に変化されたのですか」


パウルが真顔で聞いて来た。

そんなワケあるか。


「そうです。」


「アモンさんが私の学園に?!」


ハンスが素っ頓狂な声で言った。


「ハンス君。なんだ私の学園って」


ユーが説明してくれた。


「考案者にそのまま責任を取ってもらう形で

学園の初代園長ですよ。創始者と言う事で

ハンス・ガルド、その名を学園の名にしたのですよ」


何ハンス君、苗字あったの

あるか

あるよな


「言い出しっぺなだけで、殆どの案は

ユーさん頼みでした。創始者は恥ずかしいです。」


腰をクネクネさせて恐縮しているハンス。

ちょっと気持ち悪い。


「そのハンス君の学園に入りたいのだ。」


「アモンさんなら、今ここで卒業証書渡しますよ」


素敵な笑顔でハンス君は言った。

俺はキレた。


「出せっつてんじゃねぇ、入れろって言ってんだ。

入れさせろよハンス!!」


後ろで皿を落っことして割るメイドが居た。


「入れさせろハンス・・・。」


メイドは青ざめて

俺の言葉を復唱した。


良く見ればモナちゃんだ。

なんでいっつもそういうタイミングでいるの

なんで研究員がメイドなの

大方、マリーの命令で会議をスパイ中って

トコロか、良く働く子だな感心感心。


って違う

感心している場合じゃない。

変な誤解すんな。


「はい。」


ハンスもそう返事した。

俺は続けてキレる。


「普通に返事しろよ。なんで頬を

赤く染めて言うんだよ。」


そのやり取りの間

ずっと目頭を押さえていたユーが呟いた。


「益々分かりません。これでも人を見抜く目には

自信があったのですが、全く見えてきません。

なんで二国間の同盟、その代償が個人の

学園入学の条件なんですか・・・。」


これは説明しなくてもいいかな。

いい加減、魔族側からの過剰な救世主扱いに

申し訳なさが限界なので

巨大な俺のわがままでチャラにしてしまう作戦なのだ。


しかし、パウルは手の平に

もう片方の手でトンカチをして言った。


「成程。」


分かるの

嘘だろ。


「分かるのですか。教えて頂けませんかねぇ」


ヤケクソ気味にユーがそう言った。

俺にも教えろパウル。


「今年は、あのお方が入学されるでしょう。

それに合わせて来た。」


「「・・・あ。」」


パウルの言葉にユーとハンスは

納得言ったようだ。


誰だ。

あのお方って


「皇太子セドリックと勇者ガバガバの血を引く

帝国きってのサラブレッド。」


「勇者姫 ウリハル・ヒリング・バルバリス様」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ