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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百十七話 ゴーバー

「スゲぇなコレやっぱり兄貴が作ったのか」


アモン2000を見て

ヨハンが声を上げた。


「ああ、細かい説明は面倒だから省くが

魔力で動く馬の要らない車だ。」


「流石ですわお兄様」


おお久々だ。


「ただ、コレは無い方が恰好良いんじゃ」


バロードで装着した俺の胸像を

使ったエンブレムを指さして

ヨハンは残念そうにそう言った。


わざと言ってるなら殺す。

そう思ったが返事の変わりに

1番のスイッチを押した。


「はい。マイケル」


「「喋ったあああああ」」


満足だ。


1人乗りのアモン2000に

ヨハンは俺の後ろに

ストレガはボンネット部に

横から腰掛けて

無理やり乗る。


アモンの塊発進。


走り出してすぐストレガが

キャーキャー騒ぐ。


「火吹いて飛ぶ方が怖いだろうが」


俺はそう言ったのだが

ストレガ曰く怖さの種類が違うのと

自分でコントロールしてないのは

皆、怖いそうだ。


「兄貴、前より弱いって言っていたが

モノづくりはむしろ前より

腕が上がってないか」


アモン2000の細部をあちこち

しげしげと観察しながら

ヨハンは言って来た。


「だからだ。今回は物に大きく

頼っているんだよ。」


と、言うか今回は部品一つにも

チマチマ時間が掛かっている。

そのせいで細部にこだわりが反映する。


不自然な体制で二人を乗せているので俺は

アモン2000を本来の性能を発揮させず

ゆっくりと流した。

初めは大騒ぎになったが

大分、魔族市民も馴れて来た感じだが

子供は指さして何か大声を上げている。

乗りたいだろうな。


いつもの駐車場に車を回すと

また人族のあの整備士が叫んだ。


「お戻りになられたぞー」


またか

まだ時間あるだろうに


例によって掘っ立て小屋から

ゾロゾロと人が出てきた。


「おいてけぼりなんてヒドいですマスター」


子供かお前は


俺が何か言う前にナリ君は

声のトーンを変えて続けた。


「そちらの二人は・・・。」


「自己紹介させよう。」


メンツはナリ君とルークスとミカリンだ。

俺は手の平で促す様に二人に向ける。


ストレガが一歩前へ出て

顔を半分隠していたフードを

後ろに回した。


「ゲェ!!」

ルークスだ。知っている様だな。


「・・・ふつくしい。」

ナリ君だ。趣味が合うと思うよ。


「綺麗。」

ミカリンだ。

おぉ天使に綺麗と言わしめるとは

俺がスゴイのかストレガが凄いのか


「魔導院で院長をしております。

ストレガ・アモンと申します。

兄ゼータがお世話になっております。」


余所行きな感じで優雅に

かつ妖しく自己紹介したストレガ。

このモードだと年齢が上に見えるぞ。


「兄貴。俺どっち?」


小声でヨハンが聞いてきた。

だから身分を幾つも持つなと

言っているんだ。


「ブルグブルグ。司教でいけ」


俺の指示を聞いたヨハンは一歩前へ出て

ストレガに並ぶと同じく余所行き態度で

ヨハンは自己紹介をした。


「9大司教・最高指導者をしている。

ヨハン・ブルグだ。」


ヨハンの自己紹介を聞いた三人は

小走りで距離を取り

すんごいスピードで手招きだ。


俺だけ来いって事だよな。


俺は自分を指さして

確認を取ると

三人は手招きと同じスピードで頷く


この二人相手にその距離じゃ

筒抜けなんだが

隠す気は無いので二人に「ちょっと待ってろ」

と言って近づいた。



「どういう事ですかな!!」

「妹さん。美しくないですか」

「あれがストレガちゃん?!超カワイーんだけど」


俺は返事が面倒くさいので

要件だけ先に言い放った。


「あいつらも会議参加させるから。

ダメなら俺も出ない。三人で遊び行く」


「ゲェ!!」

「我も行きたいです。マスター」

「あたしも行くー」


言い直す俺。


「五人で遊び行く」


何故か両こぶしを頭上に上げ

勝利したボクサーか

クイズで正解した人みたいになるナリ君。


「アルコとブリも連れて行ってあげようよ」


ミカリンの言葉に更に言い直す俺。


「・・・7人で遊びに行く」


アモンキャリアなら余裕だろ。


「で、ドコに遊びに行くのー?」


ミカリンの目はキラキラだ。

俺は少し考え込むと言った。


「海だな。ヒタ・・・なんだっけな」


「ヒタイングか。あそこの海はオススメだぜ」

「もう少し足を伸ばせばクリシアですね。

海水浴ならそっちの方が良い浜辺がありますよ」


いつの間にか俺の後ろまで来ていた

ヨハンとストレガがそう言ってきた。


「兄貴、ヒタイング行った事ないのか」


「ああ、上空から目にしただけで

足を付けて海に訪れた事は無い」


おいブルグ。

その身分で俺を兄貴呼ばわりしていいのか


「漁港があってな。海産物が美味ぇぞ」


「本当?!やった」


ヨハンの言葉にミカリンの目は

更に光り輝く

・・・ビームだすなよ。


「マスター。海とは・・・」


ナリ君が首を傾げてそう言った。

ああ

君の人生、山と森がメインだったよね。


俺はナリ君に海をざっと説明し

ついでにルークス、ミカリン

そしてナリ君を紹介した。


「おっとぉなんで王様がいるんだ」

「これは失礼を致しました。」


今度は二人が咄嗟に距離を取った。


「こちらのセリフでもありますぞ。

一体どうして魔導院・院長

魔法鬼神ストレガ様と

最高指導者・鉄拳のヨハン様が

ここに、どどどどういう理由で」


ルークスはパニくっていた。

それにしても魔法鬼神とか

ストレガちゃんMAP兵器使いそうだな。


俺は一歩下がってミカリンに囁いた。


「なんか俺ら二人だけ雑魚だな」


ミカリンは不敵に笑って答えた。


「意地悪だねアモン。本来の力が

戻れば僕等の相手になる奴なんて居ないよ」


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