第百十六話 知っていても言ってはいけない
「次は二人の俺が居なかった
期間について教えてくれ」
俺の要望に二人は思い出しながら
交互に語ってくれた。
大体が今までの情報収集から
想像する通りだったが
居なくなった直後の
オーベル騒動は想像もしていなく
とても面白かった。
「やっぱり兄貴みたいにはいか無ぇよ」
「上出来だと思うぞ」
ヴィータとベネディクトのコントと
その後の戦闘が思い出された。
あの毒沼に沈んだ城の地下に
そんな秘密があったとはな
その事件後に
九大司教の再編
ドルワルド不可侵条約
審判の慰霊祭
新皇帝就任
魔族差別問題
学園と魔導院の設立が決定
同時に保護地区開発の決定
その最中に
バング問題
ヨハンの話はこんな感じだった。
「私からはですね。」
続くストレガの話は
良く言えば人事。
悪く言うと誰がどうたらの噂話
そんなのが主だった。
「そうか。ガバガバ結婚か」
セドリックは皇太子なので
ゆくゆくは王妃か
・・・・ガバガバ王妃
すんげぇインパクトだ。
タイトルにするなら
なんか足すか。
ガバガバ王妃・細腕繁盛記
ガバガバ王妃と愉快な仲間達
それ行けガバガバ王妃
王妃勇者ガバガバ
キャプテン・ガバガバ しまっていこう
「人の名前で遊ぶんじゃねぇよ」
「私はそれ行けがいいです」
二人とも良い笑顔だ。
「子供はいないのか」
「あ・・・あぁ娘が一人な」
「出産が結構大変だったみたいでした」
二人の話によると一人娘が今年10歳。
名前は
ウリハル・ヒリング・バルバリス
だそうだ。
まさか漢字にすると売春ってオチじゃないよな。
ガバガバを母に売春か
言うとまたヨハンに怒られそうだ。
それにしても名前3パーツってカッコいいいな。
王家も勇者の家系も名前残さないワケには
いかない理由でミドルネームが残った格好だろう。
王家と勇者の血筋が
とんでもないサラブレッドだな。
「と、兄貴そろそろ出た方が良いんじゃねぇか」
まだ少し時間があるが
ギリギリで行くのも良く無い。
「そうだな。行くか・・・
お前らはどうするんだ」
役職的にはどっちも出た方が良い
特に魔導院は巻き込まれるの確定だしな。
「兄貴を見た時のパウルやハンスの顔は
きっと見物だぜ」
ヨハンの言葉にストレガも
飛び入りを希望した。
「断られたらどうしましょう」
二人とも参加予定じゃ無かったからな
その可能性が無くは無い。
「そん時は俺も不参加だ。
世界ほったらかしで三人で
どっか遊びに行くか」
「いいねぇー」
「私そっちの方が良いです」
冗談で言ったんだが
二人とも超乗り気だ。
多分、遊びが足りないんだろうな。
二人とも真面目だからなぁ
真面目に一回遊びに行くのもいいかも知れないな
武器開発の期間、ネルドの状況が許せば
本気で家族旅行をしたい。
部屋を出ると
俺はギョっとしてしまった。
何
ミサでも始めるの
ローブの集団が一列にズラーって並んでいる。
全職員か、こんなに居たんだ。
「お待ちしておりました」
フードで顔は見えないが
声でマリーと分かった。
「これへ」
マリーの言葉に四人がかりで
ある物体が俺達の足元に転がされた。
マリオだ。
可哀想に
逃げ切れなかったのか
哀れマリオは
両手両足を縛られ
口には穴だらけの卓球のボールを
猿ぐつわされていた。
あー
この商品名
咄嗟に思いついて「ボールギャグだろ」って
言っちゃった人
注意してね。
一般の人知らないから
こんなんサラっと出てきたら
趣向を疑われるでマジで
知っていても言わないようにね。
言わない方が良い事もあるの・・・。
昔作者もね
合コンでね
洗面所とか
風呂場とかの水栓に繋がってる鎖
アレをね
「アナルビーズみたいな鎖あるじゃん」
って
思わず言ってしまってだな
爆笑する面々(女子も居た)と
へ?ってなった面々と
綺麗ーっに分かれてね。
へ?ってなった面々から説明を求められてね。
すごく困ったの
後々、爆笑した面々からも怒られてね。
散々だったの
言わない方が良い事もあるの・・・。
知らない振りをして常識人の範疇に留まるんだ。
「せめて優しく・・。」
完全に諦めた表情のマリオは
回らないロレツでそう言った。
いや
せめて人間らしい扱いをだな。
「あのなぁお前ら」
俺は正面を向いて
誤解を解く為
正しい情報を提供した。
あからさまにガッカリした奴に気が付いた。
お前クフィールだろ。
変態めー
このまま三人は会議に行く事を
マリーに告げ、俺達は魔導院を後にした。