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ぞくデビ  作者: Tetra1031
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第百十五話 青春ひな人形

「で、兄貴は会議をどう結論づけるんだ。」


「オブザーバーだ。意見は言わんよ。」


ヨハンは方眉を上げて言い直した。


「魔族側なんだよな。魔族の連中に

何て言ってあるんだ。」


俺は昨日の魔族会議の結論を話して

更に続けた。


「そう言ってはあるが、どうなるかは

分からんぞ。」


ヨハンは笑顔で答えた。


「いや、そうなるぜ。ただ魔族って言っても

魔法を使う奴が多いワケじゃないぜ」


「ああ、その件なんだが」


俺は魔導院での魔力を伝達し

常に纏う武具の生産の話をした。


「そんな事出来るのか?!」


「さっきマリオマリオ騒いでいたろ」


俺はマリオの義手について説明した。


「ケツの穴は何の関係があるんだ?」


「無い。勘違いをしている。」


俺達は笑った。


「しかし、初見で良く俺だと分かったな」


このチンチクリンになってから

ずっと悩んでいる案件だ。

俺を俺だと認識してくれるかどうか

ヨハンは遠目から一発で見抜いた。


「良くも何も、そのままだぜ

若い以外の相違点が無ぇ」


「チャッキーにも会ったが

分からなかったようだぞ。」


夜で良く見えなかったかもしれないが

俺だとは分かっていない様子だった。


「チャッキーに会ったのか?!

いつ?どこで?!」


「なんだ、あいつがどうかしたのか」


ヨハンの剣幕に驚いた俺は

返事の前に聞いてしまった。


「もう・・・十年以上も音沙汰が無ぇんだ」


「落ち着きの無さは相変わらずなんだな」


ここでストレガが目覚めた。

背後のベッドから声がした。


「ヨハン・・・お兄様」


「おぅ気が付いたか」


そう返事をしてヨハンは椅子から立ち上がり

ストレガの方に歩いて行く。


「私・・・また夢を見ていたようです

ゼータお兄様が帰ってきてくれる夢を」


睡眠もすれば夢も見るのか

スゴイ進化だな。


「・・・気をしっかり持って前を見て見な」


ヨハンはそう言ってストレガを促す。

ベッドから起き上がる音が聞こえたので

俺は例の気持ちの悪い笑顔で

ベッド側に座ったまま振り向いてやった。


「お兄様!!」


爆音と共に踵から炎を吹き上げ

ミサイルの如く俺に突っ込んで来るストレガ

お茶を味わう為人状態だった俺は

咄嗟に半魔化し受け止めた。

間に合って良かった

人状態ではひとたまりもない。

目の隅にスローモーションで

爆散するベッドの破片の中に

巻き込まれ空中で回転している

ヨハンが確認できた。


「だから落ち着けって」


なんか文句も言っていた。


ストレガが泣き止むの待ってから

破片を片付け

復帰したストレガを交えて

お話し再開だ。


「えーっと、どこまで話したっけ」


ストレガミサイルに記憶が

スッ飛んだ俺はヨハンにそう聞いた。


「・・・チャッキーの奴に会ったって」


「お兄様、チャッキーさんに会ったんですか?!」


ストレガのリアクションから

ヨハンと同様に十年以上会っておらず

どこで何をしているのか

ストレガにも音信不通状態なのが窺えた。


「そうだな。最初から話そうか」


チャッキーの部分だけくり抜く時

魔族の王たるナリ君も登場してしまう。

湖のリスタートから全部話してしまおう

この二人ならいいだろ。


俺は二人に今までの事を話した。

バングはさも知っていたかのように

だから魔法使いメインで来たみたいに

誘導しつつ話した。


「という訳でガッカリさせるようだが

今の俺はそんなに強く無い。」


ヨハンは頭を掻いて残念そうに答えた。


「そうかー俺が追い越したんじゃ無ぇのか

おかしいとは思ったんだよ。」


ヨハンは体感的に相手の強さを判別しているようだ

前回は圧倒的に俺が強かったが

今回の俺は脅威になっていないのだろう。


「今度は私達が体を張って戦う番です。

お兄様はどうぞお好きな玉座に座って

私達の報告を待っていてください。」


素敵な笑顔でストレガは言った。


「お好きな玉座って、玉座なんて一個も無いぞ」


俺は笑ってそう返事したが

ストレガは何か瞳の奥に

怪しい輝きを秘め笑顔で答えた。


「お兄様がいなければ、今の全ては

存在していません。言ってみれば

全てはお兄様のお陰

バルバリスも教会も魔導院も

魔族の保護地区もエルフの里だって

ベターマンの集落だって

みんなみんなお兄様のモノです。

選んで下さい。文句を言う口を粉砕して

取ってきます。」


変わらないな。

マジ基地ワロエナイ妹だ。

ベアーマンな

何ベターマンって

より良い人って事

いいね


「座りたい玉座なんて無いよ」


膝枕がいいな

俺はデートでしてもらった

ババァルの膝枕を思い出す。


はぁーあれはえがったなー

普段運動しない大人の女性って

柔らかいんだよね。

下っ腹のポヨンポヨン具合も

最高だったな。


『お止めになって下さいな』


ふふ

幻聴のクセに恥ずかしがるとか

幻聴ババァルもレベルが上がるのかな。


俺の現実逃避に関わらず

ヨハンが返事をした。


「だよな。兄貴は座ってるより

常に駆け抜けているもんな」


俺は青春か。


「相応しい玉座は必要です。」


ストレガは

どうにも俺を座らせたいらしい

俺はひな人形じゃないんだが


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