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ダイコン無双 〜このダイコン倒せるものなら倒してみろ〜

ツイッターでネタに走ったこと呟いたらいつの間に書き上げてました。


ほとんど勢いで伏線とか回収してないかもしれないけど気にするな。


とにかく勢いだけで楽しめ!!


 あるところに、凄腕の魔法使いがいた。


 凄腕とはいうが、魔法の基本となる四属性──地風水火の分野においては並の魔法使いよりも劣っていた。一対一ともなれば、駆け出しの魔法使いに辛うじて勝利できる程度の腕前しか持っていなかった。


 だが、その四属性とは異なった特殊な魔法に秀でていた。


 植生魔法──文字通り植物を操作することに秀でた珍しい魔法。植物の成長を操作したり、本来ならありえない組み合わせの植物を掛け合わせて全く新しい植物の種を生み出したりすることができる。


 魔法としては少数派マイノリティーであり、戦闘には不向き。どちらかといえば魔法よりも錬金術に近い。戦いよりももっぱら農村で重宝される魔法で、中には領主お抱えとなり、農産業の監督役として抜擢されることもある。


 だが、その魔法使いはそれら内務を担う類ではなく、ガッチガチの戦闘系魔法師であり、彼と相対しあるいは肩を並べて戦ったものは必ず口を揃えてこう言う。


 ──あの魔法使いは、頭がオカシイ。



 

 とある国の片隅に、小さな農村があった。


 その村には昨今、近場に盗賊が住み着き悪さをしていた。農作物や家畜を盗み出し、時には村に入り込み暴力に任せて好き勝手に振る舞う。


 今でこそ村人の被害も怪我で済んでいるが、放っておけば盗賊の狼藉が勢いを増し、村人に死傷者がでるのも時間の問題だ。


 不幸だったのは、その村は王国の首都とは遠く離れた位置にあり、国に助けを呼ぶには時間がかかる。また、助けを呼びに行こうにも村の外は盗賊に見張られており、助けを呼びに行こうものならすぐさま捕まえられて酷い目に合わせられる。


 事実、一人の村人が村からの脱出を試みたが、盗賊にあえなく捕まり一週間は寝たきり生活を余儀なくされるほどん重傷を負わされていた。


 村人の心身はすでに限界し、いつ村が崩壊してもおかしくはない状態だ。


 そんなとき──魔法使いがふらりと現れた。


 ゆったりとした外套ローブを羽織った、軽装の男性。容貌はいたって普通の魔法使いだ。魔法使いそのものが多いわけではないが、一般人が想像するような魔法使いそのものの格好をしていた。


 だが、間違いなく周囲の目を引く男であった。


 なぜなら──。


「うむ、美味びみである」


 男は道を歩きながらあるものをバリボリモッシャモッシャと齧っていた。


 その白く太く緑色の茎が生えた──紛れもないダイコンを。


 魔法使い風の男が、ダイコンを丸かじりしながら道を歩き、ついでに至極満足そうに何度もうなずいていたらそりゃ人の目も引く。


 丸かじりでありながら無駄に洗礼されたような無駄に美麗な動作でダイコンを一つたいあげると。


「……もう一本、いくであるか」


 懐からなんと、新たなダイコンが取り出されたのである。そして、魔法使いがダイコンを持っていない方の手を軽く振るうと──ダイコンの皮が一瞬で剥かれたのだ。


 ──この時点でツッコミどころ満載であったが、タイトルからしてツッコミどころ満点なのでこの程度はまだ序の口であった。


 ダイコンの味に舌鼓を打ちつつも、魔法使いはこの村の異変に気がついていた。特に行くあてもなくふらりと立ち寄っただけではあるが、異様に活気が乏しい。人の気配はあるが出歩いているものは少なく、すれ違ったものはこちらを一瞥するとまるで逃げるように足早に通り過ぎていく。


 決して、ダイコン丸かじり男に警戒心を強めたのではない……と信じたい。


「……あまりよろしくない空気であるな」


 もしゃりと、ダイコンを齧ったところで、付近を通りかかった酒場から悲鳴と怒号、それと破砕音が響いてきた。


 明らかに穏やかな空気では無い。魔法使いは店の中に入った。


 すると、半ば予想通りの光景が広がっていた。


 破壊されたテーブルに砕け散った器や酒瓶。血を流している人間に、右手に剣を持った強面の男。


 そして、その男に手を掴まれて今にも泣き出しそうな女性。彼女は血を流してぐったりとしてる男に向けて手を伸ばそうとするが、反対の手を引かれて近づくことができない。剣を持った男は卑しい笑みを浮かべて、左手で掴む女の必死な様子を逆に楽しんでいる風だ。


 状況はいまいち飲み込めない。何が起こったのかも想像するしか無い。


 だが──。


「泣いている女性を放っておくなど、紳士の名折れである」


 もしゃりとダイコンを齧り、魔法使いは剣を持つ男の元へ近づいていく。


 彼の足音に気がついたのか、剣を持った男がそちらの方を振り向く。


「──? なんだてめ──」

「その手を離すのである」


 男が言葉を発し終える前に、魔法使いは今しがたまでかじっていたダイコンを男に向けて投擲した。


 軽い動作で投げ放たれたダイコンはしかし、先端を男に向けて一直線に空を走る。それはまさに一本の矢のごとし。


 ダイコンは女性を掴んでいた腕に命中した。


 ──ゴギンッ!!


「は? 何の音──」


 男は最初、何が起こったのか分からなかった。魔法使いが何を投げたのかすらよくわかっていなかった。ダイコンそれがあまりにも早すぎるのも理由の一つだが、ダイコンは投げるものでは無いとという先入観もあった。


 ただ、左手に違和感を覚えそちらに目をやると、腕の関節が一つ──肘と手首の間に増えていた。


 僅かに呆けた男だったが──少しの間を置いてから悲鳴をあげた。


 周囲で見ていた他の客も、絶叫する男を目にして唖然としていた。


 先ほどの鈍い音は、男の左腕の骨がへし折れる音だったのだ。それも──投げられた大根によって。


 骨が折れた拍子に力が抜けたのか、女性はすでに男の手から解放されている。血を流して倒れている者の側に駆け寄ったが、男の悲鳴にそちらを向いて、やはり他の客と同じく唖然となっていた。


「て、てめぇぇ。何しやがるんだ……」


 剣を持った男は骨折からくる激痛に脂汗を流しながらも、魔法使いを睨みつけた。

 

 何が起こったかは不明であっても、痛みのあまりに剣を落とさない点。そして骨が折れた原因が魔法使いにあると判断した点。この二点からして、単なる粗野な乱暴者で無いことがうかがえた。


「我輩、これでも紳士の端くれを自認している」

「んだとぉ──」

「故に!!」


 魔法使いは妙にスタイリッシュでキレのある動作で外套ローブの内側に手を突っ込んだ。男は『武器を取り出す気か!』と右手の剣先を魔法使いに向けて警戒心を強める。


 だが──魔法使いの懐から取り出されたのはやはりダイコンであった。


「──我がダイコンが純白の輝きを持つ限り、目の前の狼藉者を見逃す通りは無いのである」

「は?」


 この時ばかりは狼藉者である男の気持ちと店内に入る客の心が一つになった。


 ──この魔法使いはナニをいってるのだ?


 登場シーンからかっ飛ばしている魔法使いは、周囲の(心の)ツッコミをまるっと無視し、妙に堂に入った動きで男の懐に飛び込んだ。


 魔法使いの接近に気がつき、どうにかツッコミから立ち直った男は咄嗟に右手の剣を振るった。


 ガギンッ!!


 硬質な衝突音が店内に響き渡った。


 男の剣は、魔法使いが翳したダイコンによって見事に防がれたのだ。


「「「いや、ねぇよ!!」」」


 男と客たちの心がまた一つになり、あまりのことに今度は声を抑えきれなかった。


 男の持っている剣は業物とは言い難い。骨を絶つほどは鋭くは無いが、人の肉を切り裂くほどの切れ味は有していた。だというのに、魔法使いの持つダイコンの半ばに衝突したまま僅かも食い込む様子が無い。


「覚えておけ、狼藉者よ」


 魔法使いは鋭く男を睨み付けていた。手に持っているのがダイコンである以上、滑稽極まりない光景だが、少なくとも魔法使いは真剣だった。


「我輩のダイコンは、投げれば矢の如し。そして──」


 ダイコンを持つ手に力を込めると、男の剣を勢いよく押し返すとそのままダイコンを縦横無尽に振るう。


「──振るえば名剣の如し、である」


 次の瞬間、男の持っている剣は半ばから折れ、男は白目を剥いて倒れた。


「安心せい。峰打ちである。狼藉者とはいえ無為に命を奪おうとは思わん」


『『『いや、ダイコンのどこに『峰』があるんだよと!!』』』この場にいる全員が心の中で荒ぶるツッコミを入れた。男も気を失っていなければ同じことを考えていたに違い無い。


 表現しがたい物凄く微妙な空気を余所に、魔法使いは倒れている男性と側で膝をついている女性に近づいた。


「え? あの? ありがとうございます?」

「当然のことをしたまでである」


 例の言葉に些か疑問系が混ざっていたようにも聞こえたが、魔法使いは全く気にせずに男性に目を向けた。


「ふむ、かなり深く斬られているな。早く治療せねば命の関わる」

「──っ、そうだ! ……えっと、魔法使い様でよろしいのですか?」

「うむ。我輩はまごう事なき魔法使いである」

「で、では彼に回復魔法を!!」

「申し訳ないが、我輩。一般的な魔法はからっきしであるからして」

「そ……そんな……」


 女性は絶望に心を支配されかけるも


「だから、ダイコンを使うのである」


 魔法使いの発した言葉に、絶望感が完全に吹っ飛んだ。……思考が停止した感じで。


 女性が硬直している間に、魔法使いは男性の服を破り、傷を露出させる。今なお血を流している男性の血色は悪く、一刻の猶予も許されない状態だ。


 魔法使いは懐に手を突っ込むと、今度は『下し金』を取り出した。ご家庭の台所にひとつはありそうなアレである。


「ほーれ、じょりじょりじょり」


 なんと、魔法使いはその下し金で手にしていたダイコンを削り、男性の傷口に『大根下ろし(ダイコンオロシ)』を振りかけていく。


『何やってんだこの魔法使いダイコン!?』


 もはや周囲の人間の同調率は上昇の一途を辿る。


 そして、予想はしたくなかったが予想通り、大根下ろし(ダイコンオロシ)が降りかかった部分の傷口が瞬く間に小さくなっていく。


 やがて、流れ出した血の跡がなければそこに大きな傷があったと誰もわかならいほどに、跡一つ残さずに綺麗さっぱりに男性の傷は塞がってしまった。


「お……俺は?」

「──っ! よかった、気がついたのね!!」


 意識を取り戻した男性に、女性が涙を流しながら歓喜した。救い方にはどうしてもツッコミを入れたかったが、それよりも男性が無事でいてくれた事の方が重要だった。


「あなたが……助けてくれたのですか? ありがとうございます」

「うむ。そこの女性にも言ったが、当然の事をしたまでで礼には及ばないのである」


 男性はお礼の言葉を口にするが、寸前までの大怪我で血を大量に失い顔色は悪かった。そこで魔法使いは下し金で半分になったダイコンを男性に差し出した。


「──えっと?」

「食べるのである」

「──あの」

「食べるのである」

「──な、なんでダイコ」

「食べるのである」


 魔法使いの有無言わせぬ迫力に負けた男性はダイコンを受け取ると、恐る恐ると白い実に刃を突き立て、齧り取った。


 もしゃもしゃもしゃ──ごくん。


 ダイコンを咀嚼し飲み込むと、男の変化は劇的だった。


 蒼白だった顔には瞬く間に血色が戻り、四肢に力が漲っていく。怪我をする前よりもはるかに体の調子が良くなっていくのを実感していった。数秒後には立ち上がれるほどに回復する。


「我輩のダイコンは、食せば最高の万能薬になるのである」


 なんかもうみんな諦めて『ダイコンすげぇな』と感心し始めていた。


「さて、そこの男は一体なんだったのであるか?」


 本当に今更であるが、魔法使いは狼藉者の正体を男性に尋ねた。


 男性は、この村の付近に盗賊が住み着いた事。いま魔法使いが倒したのはその一員である事。男は恋人を連れ去られそうになったところを止めようとしたところで、盗賊の男に切りつけられた事を伝えた。


 と、話を聞き終えたところで店の外が騒がしくなってきた。魔法使いがそちらに目を向けると、タイミングを合わせたかのように店の扉が乱暴に開け放たれる。


 ヒゲと髪をボサボサに伸ばしたがたいの良い男だ。筋肉が歩いているかのようなその男は急所を守るような軽装を身につけ、背中には大ぶりの斧を背負っていた。


 斧を背負っている男は店内を見渡す。視線を浴びせられた客は震え上がったが、やがてその視線が倒れている者とそのそばにいる魔法使いに止まると、鋭く細まった。


「テメェか。俺の仲間に手をぉぉぉぉぉぉ……」


 最後まで言葉は紡がれなかった。なぜなら、その最中に魔法使いが投擲したダイコンが胴体に突き刺さり、店外へと吹き飛ばされたからだ。


「え、ちょっと!?」

「どうせぶっ飛ばすのであるからして、前口上など聞く意味ないのである」


「え〜〜」ともはや驚くのも馬鹿らしくなり生ぬるい視線を一身に浴びながら、魔法使いは颯爽と立ち上がり、店の外へと赴く。


 店外には、魔法使いがダイコンで吹き飛ばされた男と、男と同じく荒くれた雰囲気を発する集団が待ち受けていた。おそらく、先ほど教えられた盗賊たちだろう。


 盗賊たちは無言だ。なにせ店に入ろうとした仲間の一人がいきなり吹き飛ばされたのだ。何が起こったのか理解するのに少しの間が必要だった。


 吹き飛ばされた男はまだ意識を保っているのか、ダイコンがぶち当たった胴体を抑えながらどうにか立ち上がろうと身を起こした。


「こ、このやろ──」

「寝てるのである」


 無慈悲に告げると、先ほど投げて道に落ちているダイコンを拾い上げ再び投擲。今度は顔面にぶち当たると、鼻血を撒き散らしながら斧の男は今度こそ気絶した。


 仲間がやられた事にどうにか思考が再起動したようで、盗賊たちの殺気が一気に膨れ上がった。各々が武器を手にすると、その矛先を魔法使いに向ける。


「ふむ、やる気であるか」


 魔法使いはふっと、凄みのある笑みを浮かべた。


「いいであろう。我輩、集団戦は得意中の得意であるがゆえ」


 彼は懐に手を突っ込んだ。盗賊たちはその行動に警戒心を強めたが、勘の良い者なら予想がついただろう。


 そう、魔法使いが取り出したのはやはり──ダイコンであった。


「……こいつは馬鹿なのか?」という盗賊たちの視線をまるっと無視した魔法使いは、勢い良く手にしたダイコンを地面に向けて投げた。


 普通、そんな事したらダイコンが「ぐしゃっ!」と砕けるのだが、魔法使いのダイコンは「土ごときがなんぼのもんじゃい!」とばかりに見事に半ばまで突き刺さった。


「いでよ! 我がダイコン戦士ソルジャーたちよ!」


 魔法使いの高らかな叫びに呼応するかのように、地面に突き刺さったダイコンの周囲に、にょっきりと無数の緑色の茎が生えてきた。そしてそれらは間をおかずに「すぽんっ」と音を立てて人の手も借りず地面から抜け出した。


 現れたのは──時折に畑で見かける、白い胴体に小さな手と足が生えたような奇形ダイコン。しかも、あろう事かそのダイコンの手足が動いているではないか。


 大きさそのものは普通のダイコン。足を使って器用に立ち上がり、短い手をちょこちょこと動かす光景は、見ようによっては「可愛い」と表現できたかもしれない。


 だが、その数が30近くもあり、一斉に動いているとあればまず誰もがひたすらに「不気味」と感じるほかないだろう。


 魔法使いは軍に号令を発するように手を振るうと、ダイコンたちに命を下した。


「我が親愛なる眷属ダイコンたちよ! 無辜の民を苦しめる狼藉者たちを成敗するのだ!!」


 動くダイコンたちは主人の命を果たすために、一斉に盗賊たちへと飛び掛った!


 ──そこから先は、盗賊たちにとっては悪夢としか言いようがなかった。


 動くダイコン──ダイコン戦士ソルジャーたちの大きさは成人男性の膝程度の大きさしかない。だというのに、そんな小柄な存在が盗賊を圧倒していた。


 想像してほしい。ダイコンが跳躍し盗賊の頭付近まで到達し、拳を振るう様を。蹴りを見舞う光景を。滑稽極まりないのだが、鼻血や歯を撒き散らしながら本当に盗賊が吹き飛ばされていく。


 どうにか反撃を企てようとする者もいたが、ダイコン戦士ソルジャーの無駄に迸るスタイリッシュな動きとその小柄さに攻撃が空振りし、その隙をついて別のダイコン戦士ソルジャーが小柄に不釣り合いな重い一撃を食らわして沈黙させていくのだ。


 ──さほど時間がかからずに、盗賊たちは全滅した。


「ご苦労であったぞ、ダイコン戦士ソルジャーたちよ」


 ダイコンたちは主人の労いにビシッと敬礼して答えた。


 魔法使いは少し考えてから。


「乗りかかった船である。ついでに盗賊たちの住処とやらも殲滅しておくであるか」


 軽い気持ちでつぶやくと、魔法使い気絶している盗賊を一人選び、ダイコンを口に叩き込んだ。


「──ぶほぁ! な、なんだぁ!?」

「気付にはダイコンに限るである」


 もうとりあえず「ダイコン」と言っとけばなんでもありな空気になり始めていた。


 意識を取り戻した盗賊に、魔法使いは瑞々しいダイコンの先端を突きつけた。彼の周囲には「お? やるか? やったるのか?」と言わんばかりに拳で素振りを始める動くダイコンたち。


 この世のものとは思えない光景に盗賊はもう一度気を失いかけたが、魔法使いはまたも盗賊の口にダイコンをねじり込んで覚醒させた。鬼である。


 顔を蒼白にしガクブルと震える盗賊に、魔法使いは言った。


「貴様の選択肢は二つである。一つは、素直に貴様ら盗賊のアジトの場所を我輩に教えること」

「……も、もう一つは?」

 

 生唾を飲み込む盗賊。


 魔法使いはまるで死刑宣告を言い渡すかのように告げる。


「泣いて叫ぶまで我輩のダイコンを味わってもらう」

「案内させていただきます」


 腹がはち切れるまでダイコンを食わされるのか。それともうごめくダイコンたちにフルボッコにされるのか。どちらにせよ盗賊に未来はない。彼が選べる選択肢は限られていた。


 魔法使いはそのまま盗賊の案内のもとに彼らのアジトを強襲し、そのまま壊滅させてしまった。


 こうして、国の片隅にあった農村に平和が訪れた。



 ──これは、ダイコンをこよなく愛し、ダイコンに全てを捧げた魔法使いのとある日常の一幕である。




人物紹介(一人しかしないけど)


──魔法使い──


 植物を操る植生魔法の達人。

 そのリソースをダイコンへの愛に注いでおり、ダイコンを使わせれば右に出るものはいない(謎)。

 独自に改良した特製ダイコンは様々な場面で活躍し、武器にも回復薬にもなり、時には軍隊ともなる(意味不明)

 実はダイコン以外にもあらゆる植物の操作に精通しており、本気を出すと一国を農業生産大国に押し上げるほどの実力を有する。が、本人は堅苦しいのを嫌い一人旅を楽しんでいる。

 ダイコン狂いであることを除けば紳士の鑑のような男。また自分のダイコンが通常のダイコンとは別物であることもそれなり自覚している様子。


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この作品を気に入ってくれた方は短編だけどブックマーク登録してくれると嬉しいです。

小説下部にある評価点もいただけると幸いです。一手間で終わりますので是非よろしくお願いします。



ナカノムラは他にも小説を連載しているのでこちらもどうぞ。



『カンナのカンナ 異端召喚者はシナリオブレイカー』

書籍化第一号作品

http://ncode.syosetu.com/n3877cq/



『アブソリュート・ストライク 〜防御魔法は伊達じゃない〜』

書籍化第二号作品

https://ncode.syosetu.com/n2159dd/

 


『王道殺しの英雄譚 〜勇者伝説の裏側で俺は英雄伝説を作ります〜』

https://ncode.syosetu.com/n0737ei/

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[良い点] 大根と紳士...! まさに天才的な組み合わせである
[気になる点] > 丸かじりでありながら無駄に洗礼されたような無駄に美麗な動作でダイコンを一つ〝たいあげる〟と。  → 意味が分からなかったので検索したら〝平らげる〟と出てきました。こちらで合っていま…
[良い点] 大根だけど、流石 実力者w ダイコン作品にしないのねw(*≧∀≦) [気になる点] 長ネギが良く無いかな? [一言] 続きが欲しいですぅ。・゜・(ノД`)・゜・。 『魔法使 ベージ・ターリ…
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