勇者になっちゃったよ
ポンコツ能力を手に入れたが、一つ気になることがあった。
それは、
「他にも能力を得ることはできるの?何かのスキル?みたいな感じのやつ」
こんな能力だけじゃ、俺は生き残れないと、感じた俺は他にも能力かスキルを得ることはできないのかと思った。
そうじゃないと、この洞窟から出ても、すぐに死んじゃうだろ?さっき死んだばっかなのに、またすぐ死んだらそれこそ次は魂だけになって、天国に連れ行かれそうだし。
こんな異世界に来れたのは本当に奇跡と言っていいくらいの幸運だ。
このチャンスを無駄にはできない。
昔、母さんから
「お父さんのように働かず家でゲームしてる人は、死んだら地獄に行くのよ」
と、散々言い聞かされてきた。
それなのに、俺は引きニートになってしまったのだ。クズだろ?笑いたきゃ存分に笑え!
俺はそんな過ちは繰り返さん!
(それは、できる。だが、戦職によって得られる能力は変わる。
例えば、ウィザードはそれこそ魔力が高い。魔法系の能力を得ることができる。
次はパラディン。
これは勇者より劣化した戦職。勇者よりも弱い能力を得る。言わば、勇者の劣化版みたいな感じだな。
次にヒーラー。
これは、主にサポートに回る職だ。怪我した者を回復させる。この戦職は必須だ。そして、回復系の能力しか得られない。
そして、最後に勇者。
これはもうわかるだろう?お主には、散々説明したからな。
主にこの4つが主流だ。他にも色々あるが、言っていたらきりがない)
ミミック能力が勇者限定の能力って………勇者能力も案外………いや、言わないでおこう。
「じゃあ、能力を得るためには戦職につかなきゃダメだってことか?」
(そういうことになるが)
「まじかー、俺、どの戦職につけるかな?」
(何言っておる。お主はもうなっているではないか)
は?何言ってるんだよ。就いてるわけないじゃん今ここに来たばっかなのに。
(お主は既に勇者となっているぞ?言ったであろう、勇者は生まれた時から決められていると、な。
そして、お主がアランの意思とともに生まれてきたことで、お主は勇者になったのだ)
冗談きついぜ……俺が勇者だって?
数少ない勇者の中に俺が入ってるのか?想像しただけでも考えられない。
「なんの冗談だよ。俺が勇者なわけないじゃん」
(お主の中にアランの意思がある限り、お主は勇者だ。これは変わらん。
お主の中にはアランの力も宿っている。それは、いつか発揮される。魔王族が危惧すべき人物になるかもしれんな)
魔王族となんて戦いたくないぜ。
そんな命知らずな奴じゃないんだ俺は。しっかりと現実を見据えてこれから真っ当に生きていくんだよ!
「勇者なんて重い肩書き、俺に背負えるかよ」
(心配することはない。お主は強い。我が保障しよう。
お主の中に宿る本当の力はアランの力をも超えてしまうだろう)
イグナイル…………
俺はここで会ったのが、他のドラゴンじゃなく、イグナイルで良かったと心から思った。
人と分かち合い、話し合えるドラゴン初めて出会えたことに感謝した。
そして、いつかは来るであろう別れの時。
「俺、行くよ。イグナイルの言葉、胸に来たぜ!
少しチャレンジしてみようと思う。前世では、引きニートだったけど、この世界では英雄になってみせるよ!」
(ふっ、それでこそ優希だ。お主の健闘、しっかりと見させてもらおうか!
というわけで、お主の使い魔になる)
「え?」
イグナイルは一つの光となって、俺の掌の上に入っていったのだ。
(これで、我はお主の使い魔。その手で必要な時に、召喚すれば、我はいつだってで来ることができる。
お主が死ねば、我も滅びる。これは固い契約だ。
爆炎竜・イグナイルを使い魔にできたことを光栄に思うことだな!ふっはっはーー!!)
「…………お、おう」
イグナイルが俺を使い士として、認めた瞬間契約は交わされ、使い魔、使い士の関係になった。
さっきまで居た大きなドラゴンは居なくなり、この洞窟が一気に広くなった気がする。
こんなあっさりと、5種のうち、1種のドラゴンを使い魔にしちゃったよ。
《勇者、英雄の称号を手に入れました。
爆炎竜イグナイルを使い魔にしました》
あ、また聞こえた。