発現した能力
この世界のことはよくわかった。というより、この世界の歴史といったほうがいいか。で、俺は争いを止めた英雄アランの意思を持っているとイグナイルは言ってるが、
「まじ?」
(大マジだ。我には感じると言ったであろう?この我が嘘をつくことはない。
………たまにあるけど)
今、小さくボソッと変な事が聞こえたけど。でも、イグナイルの顔を見るからに、嘘っぽくはないな。
だって、目が何よりの証拠だ。
めっちゃ鋭い!怖い!
「わかった。信じるから、その目やめて。ちびりそう」
(おっと、すまん。つい、な)
つい、な。ってなんだよ。アランの意思がどうちゃらこうちゃらって言った後から、俺を見る目が変わったんだけど。
急にんな事言われてもな………どうしたものか。
もし、もし本当にアランの意思が俺の中にあるなら、この世界で俺って結構最強じゃね?いや、だめだ自惚れちゃ。
自惚れていいことは一つもないんだからな。
そういえば、中学の頃可愛い女の子とよく目が合う事があった。あ、ここから俺のちょっとした昔話をするよ。
可愛い女の子とよく目が合う事があって、中学の頃の自意識過剰な俺は、その女の子が俺のことを好きだと思いこんでいた。
そこから、俺はその子が告ってくるであろうと思って、待っていた。
でも、告ってくるのはブスばっかりで、あの子は中々告ってこない。
ある日、その女の子に呼び出された。とうとう告白が来たか!と俺はいつも以上に髪の毛をセットし、花を一つ持ってその子の元に行った。
そして、とうとうこの時が来た!と思ったその時、その子からかけられた言葉が、
「いつも、チラチラ見てこないでくれる?不愉快!キモいから!」
その子は俺に、それだけ言い残して、走り去ってしまった。あんな黒歴史を残してしまった中学時代。
だから、俺は自惚れない。
もう、あんな思いをしないために!!
(それと、優希、お主はどうやら妙な能力を持っているように見える)
「能力?どんな能力なんだ?」
(簡単に言うと、ミミック能力。触った相手の能力を真似る能力だ。真似る能力だから、その相手の能力を完全にコピーできるわけではない。技や力、ステータスを真似る。
聞いた事がある能力だが、今まで見た事はないな)
ここに来て能力来ましたー!!
でもミミック能力って、姿形はコピーできないのか?そこんとこ気になる。
でもかなりチートだな…………無双できそうだけど………
(まぁ、お主が思うより、上手くはいかんだろうな)
何!?心を読んだだと!?イグナイル………お前、中々やりおる。
(顔に出てるぞ。顔に。さっきも言ったとうりこの能力はお主が思うほど万能ではない。
それはなぜかと言うと、限られた種族しか、真似る事ができないからだ。
その対象は、そう我たちドラゴンの種族だけだ!
だから、その能力はほぼ使えん!)
「………………いらねぇわ!!んな能力!ドラゴンだけって!おかしいだろ!」
期待して損だったぜ………。はぁ、この期待度マックスの所から一気に落ちてくるこの感情、もう最悪。
(まぁまぁ、そう落ち込むでない。ドラゴンなら目の前にいるだろ?)
「あ、そっか!お前ドラゴンか!」
(何を言っておる!我はドラゴンだ!5種のうちの一種!爆炎竜・イグナ「あー、それはもうわかった。2回目は結構です」
言わせよ……)
目の前のドラゴンっつったって、イグナイルは封印されてるし、ミミック能力使っても…………って、別に問題ないか!全然いけるじゃん!
「じゃあ!試してみていいか?」
(うむ、来るがよい!我をミミック対象にするとは、お主も中々やるの)
「他のドラゴンより強いの?」
その言い方だと、イグナイルが他の奴よりも強い解釈になってしまうけど。
そもそも、ドラゴンの話をあまり聞いてなかったな。イグナイルの説明って魔王族とか勇者のことしか詳しくは聞いてないしな。
(我は、5種の中で2番目に強い)
一番ではないのね。いまいち強さはわからんけど、ドラゴンだから相当強いんだろうな。
多分、一番下のドラゴンでも、かなり強い気がしてきた。
(一番強いのは、憎き暴君竜ヴェリオル。こやつの実力は本物だが、性格が悪い!
我はあやつとは絶対に分かり合えん!)
そんなに………仲悪いんだね。
5種しかいないんだから、仲良くしなよ。俺も兄貴と喧嘩別れだったからな。
後悔は別にしてないよ!