王都からの勇者
太陽の光が暗かった視界に差し込む。
その瞬間、意識は覚醒した。
リゼはまだ眠っているようだ。焚き火の火は消えて、少し強い風が吹いている。
すると、少し違和感を感じた。違和感があるのは俺とリゼが被っている布団にあった。
二人で寝ていたはずの布団からピョコっと山ができている。
「なんだこれ?」
布団の中でその何かを触ってみた。
サラサラとした毛のような感触でマシュマロみたいに柔らかい。
その正体を確かめようと、布団を退ける。
「……………なにこれ?」
それは、猫に似ていて猫じゃないような生物だった。
周りは異様な光を放っていて、一言で表せば妖精みたいだ。
「おい、リゼ。起きてくれ」
「ふぁい……なんですか?」
急に起こされリゼはまだ意識が完璧に覚醒していない。曖昧な返事をする。
寝癖がついた髪をグシャグシャと搔くと大きく蹴伸びして、俺が指す生物に目を向けた。
「精霊!なんでこんなのところに精霊がいるんですか!?」
そんなに大声出されても、俺が聞きたいんだが。
朝起きたら、入ってました。
「精霊ってなんだ?」
「精霊はこの世界に祝福をもたらす存在ですよ!精霊術師は存在しますが、そもそも精霊自体希少な存在で精霊術師は勇者よりも少ないです」
「そんなレア生物がこんな所に!」
(精霊は我達と仲が良い)
急に出てくんなよ!びっくりするだろ………
(使い魔として恐れられていた我たちは、勇者以外の人々にも恐れられていた。つまり居場所がなかった。
精霊はそんな我たちを受け入れて、仲良くしてくれた。この恩は償いきれない)
そんな歴史があったんだな。
目の前ですやすやと寝息をたてて、眠っている猫の姿をした精霊を見ていると、心が浄化されるようななんだか不思議な感覚が襲ってくる。
決して嫌な感覚ではない。
「精霊は本の中でしか見たことがなかったんですが、まさか本当に存在しているなんて!私感激です!」
「精霊………か」
精霊は猫だが、人間のような人型をしていて、俺からでもわかる美貌だった。
その美しさはまさに女神のようなもので、精霊相手に恋をしそうだ。俺は人間一筋!!
「!?なんだ!?」
瞬時に頭に感じた波動と魔力。
8時の方向から向かってくる。魔獣からは感じられなかった波動が感じられるということは魔獣ではない。
(勇者が来るぞ。さっきのアイクという奴よりもデカイ波動だ)
「リゼ、その精霊を抱えて今すぐ出発だ!」
「どうしたんですか?」
「いや、早くアランの聖剣を抜きに行こうかと思ってさ!」
リゼには悟られまいと必死に誤魔化す。
あまり、巻き込みたくない。
「とにかく早く!」
何故だかわからないが何処か焦っていた俺はリゼの手を強引に引き、その場から走り出す。
一応精霊は連れて行くことにした。まだ眠っている状態だが。
「見つけた」
小さく呟かれた声だった。
しかし、俺の耳には聞こえていた。
大きな音を立てて、地面に亀裂が入る。砂埃が舞い散る中から一つの人影が見えた。
(これは…………まずいぞ…)
あぁ、かなりデカイ波動だ。今回ばかりはうまくいかないかもしれない。
「ゴホッゴホッ!」
砂埃を吸い込み咳き込むリゼは精霊を抱きしめる力は緩めなかった。
俺は目の前に現れる敵?を待ち受ける。
「やっと見つけました。レインお嬢様」
「アインズさん!」
どうやら、またお嬢様関連のようだ。




