二人で野宿Ⅱ
荒野に差す日はすっかり無くなり、俺の炎がないと何も見えないほどの暗さになっていた。
あ、ちなみにどうやって炎を灯しているのかというと、たまたま転がっていた木に火を付けた。それだけだ。
ちょうどいいタイミングで木が見つかった。
そろそろ剣探しを終えようと思い、リゼに声を掛ける。
「そろそろ切り上げて、今日はここで野宿にするか」
「そうですね。これ以上はいくら探しても見つかる感じはありませんし」
「取り敢えず焚き火を作るか!」
「はい!」
今ある松明だけでは、足りないと判断した俺は、周りに転がっている枝や木を出来るだけ多く集める。
リゼにも枝と木を集めさせたのだが、よくよく考えればミルバーナ王国のお嬢様だという事を忘れていた。
足元に転がっている石を蹴飛ばしながら、そんな事を考える。
「枝いっぱい集まりました!」
無邪気な笑顔で枝を抱え俺に向かって走って来るリゼ。
その笑顔からは現状況を楽しんでいるように見える。野宿という、貴族なら滅多に体験しない出来事。それを存分に楽しむお嬢様。
うん、まずお嬢様が野宿することなんて何があってもないね。
「じゃあ、ここに置いてくれ。俺が火をつけよう」
適当に置かれた枝を真ん中に集め、俺は炎息を小さく放ち焚き火を作った。
その炎からは俺たちの作った血と汗と涙が……………そんな苦労してません。少なくとも自分たちで作り上げたという悪いものではなかった。
「暖かいですね」
「そうだな。じゃあ、飯にするか!ちなみにそのバックの中何が入ってるんだ?」
「あ、はい!このバックにはトカゲの干し肉とバールの卵です!」
「………………はい?」
トカゲの干し肉?バールの卵?いや、トカゲの干し肉って、トカゲ食えんのか?
さっき倒したリザードマンじゃないよな?
バックの中から取り出してきた、トカゲが丸々一匹干された肉。そして、よくわからないバールという生物の卵。
この卵が衝撃的だった。
形は本来の卵の形をしているものの、色だ。色がやばい。赤やら青やら黄色やら色んな色がごっちゃごちゃになってる卵だ。
「なぁ、持ってきてて悪いんだけど………それ美味いの?」
「この卵は一級食材ですよ!超貴重な卵です!バールという希少鳥から取れる高級卵!私のお屋敷には沢山ありましたので、待ってきました!」
「そ、そうか。じゃあトカゲは?」
「これは、どこにでもある普通の干し肉ですよ」
どうやらこの卵は超高級らしい。
とても食べようとは思わない色をしているんだが。
食べるものはそれしか持ってきていない。
米は?いや、この世界に米って存在するのかな?
「米ってないのか?」
「米?ですか?米ってなんですか?」
「いや、何でもない」
やっぱりないのね…………
日本人の主食、米!この世界にないと言われた瞬間絶望したけど、何処かに米とよく似たものがあるだろと開き直る。
「いただきます!」
隣でリゼがトカゲの干し肉を食べ出す。その様子はまるで弱肉強食の世界にいるようだった。
お嬢様とは思えぬ程の食いっぷりに思わず涎が出てしまう。
うまそうに食いやがる!俺も一口。
俺はトカゲの干し肉を一つ手に取り、かぶりついた。
「!?うめぇ!これは!革命だ!俺の中で革命した!」
「でしょ!あ、すいません」
「ん?何で謝ったんだ?」
「いえ、言葉遣いが少し」
なんだ、そんなことか。でもさすがお嬢様と言ったところか。言葉遣いはしっかり気にするんだな。
「大丈夫だよ。そんな丁寧に言葉遣いなんてせず。どんどんタメ口でいいなよ」
「ですが」
「堅苦しいだろ?俺そういうのはあまり好きじゃない」
「わかりました」
「そうそう、もっと気楽にしよう」
「はい!」
食べていた手を再度動かす。一匹、また一匹とどんどん手は進み。
大量にあったトカゲの干し肉はほぼ無くなってしまった。
「あ、ごめん!食い過ぎちまった」
「構いません。元々はその日のうちに帰ろうと思ってましたから」
あー、そうだったリゼは白から逃げ出したんだった。
まだ、言葉遣いは治らないか。まぁこれからだな。ぼちぼち行こう。
そういえば、イグナイルのやつ剣探しが始まってから一度も話していない。
流石に使い過ぎたのか疲れてたのか。ドラゴンの睡眠は恐ろしいほどない長い。
じゃあ俺もそろそろ寝るか!




