ドラゴンの憂鬱
リゼお嬢様は城を抜け出して一人で森の中を彷徨っていたらしい。
全く悪い子だ。何したのか知らんけど。
俺がいなかったら、多分死んでたね?お嬢様が簡単に殺されるってそれはそれでヤバイわ。
「ユウキさんは何故そのような格好をしているんですか?少し珍しいです」
あ、そういえば自分の格好忘れてたわ。気づけばドラゴンと出会って、話して、使い魔にしてで色々あったからな。
そう、今俺は赤と黒のジャージを着たこの世界では珍しい格好をしているのだ。
てか イグナイル俺のこの服に関しては何も触れなかったよな?
(特に気にならなかったからな。別にどうこういう必要もないじゃろ)
確かにそうだけども。
「この服はちょっとした事情で、あれがあれでこんな格好をしているんだ」
ダメだ。自分で何言ってるか全く分からん。俺ちゃんと日本語喋れてる?
「そうなんですか!他の勇者さんに比べたら少しおかしいですけど」
説得できちゃったよ…………。
この子はあれか?天然か?天然金髪ヒロイン………………いいね!
中々キャラの濃いヒロインと出会ったのか、運命だろう。この運命!絶対に無駄にはしない!!
「他の勇者達はやっぱり鎧とか着てるのか?」
「そうですね。硬い鎧で覆われています。鎧は重くて動きづらいので、そのために日々鍛錬しています。みんな頑張ってますよ」
「結構知ってるんだね。やっぱりお城には勇者がいっぱいいるのか?」
「城の護衛として、10人はいますね」
結構な量だな。少ないとはいえど、10以上はいるのか。もっとこの世界に5人とかそんな感じだと思ってたんだけど。案外勇者って簡単になれたり?
いや、それはないか。そうだとしたらこの世界の勇者が数え切れないほどの数になるな。そんな簡単になれたら面白くない!!
って、俺もう勇者なんだけどね。
「それに比べて、ユウキさんの鎧は軽くて動きやすそうですね」
「え?鎧?」
どうやらこのジャージを鎧と見られたらしい。これが鎧ならどれだけいいことか。
防御最高のジャージ鎧!!動きやすさ最高!軽さ最高!!って言いたいけど
「これは鎧じゃないよ。俺の故郷の伝統服なんだ。これを着ていけって親がうるさくて。ははっ」
伝統服なんて言っちゃったよ。てか、伝統服ってなんだよ!!
ジャージが日本の伝統服だったら、日本も終わりだな………社会的に。
「ユウキさんと故郷はどこにあるんですか?」
おっと、ここでまずい質問が来ちゃった………
どうしよ。なんて言おう。日本なんてこの世界にないしな。
イグナイルさーん!!助けてください!!
(適当に言っておけ。あの天然ぶりじゃ、気づかれないだろう)
お前!なんでも知ってるんじゃなかったのかよ!!
役に立たねぇな………
「えと…………極東だよ極東!!そこから来たんだ」
「え!?そんなに遠いところから!?よく来れましたね………ここに来るまで大変だったでしょう。見たところ、歩いて来た感じで」
「あ、ドラゴンできたんだよ」
ここは、嘘つく必要ないよな。
嘘つく理由もないし、嘘ついたところで疑われそう………いや、ないな。リゼは天然だからそれはないか。
「ドラゴンナイトなんですか!?すごいです!5種しかいないドラゴンを使い魔にするなんて!」
ドラゴンナイト。めっちゃかっこいいじゃん!勇者でドラゴンナイトで英雄……俺の異世界勝ち組。
イグナイルは使い士とか言ってたけど、ドラゴンナイトの方が名前かっこいいな。
「一体何者なんですか!?」
「いや、ただの勇者ですけど」
そんな質問されても、勇者って言うしかないよね?返答に困る質問をしないでほしい。
そんなキラキラした目で見ないで!
お嬢様だから、勇者のことなら知っているんだろう。勇者がどのような存在なのかを。
「で!!何のドラゴンなんですか!もしかして暴君竜ヴェリオルですか!」
グイグイ来るな……この子。
「いや、爆炎竜イグナイルだよ」
「それでも、二番目に強いドラゴンさんですね!」
「お、おう」
やっぱり暴君竜ヴェリオルは強いのか?一番はじめに名前が出て来るってことは。
イグナイルのやつどんな反応をするだろう。
きっと、何であいつばっかりとか言ってるんだろうな。
(何で我ではなくあんな暴君野郎なのだ)ブツブツ
ほらね。




