発動した加護
「この大空にー翼を広げー飛んで行きたいよーー!!!」
(うるさいのー。もっと静かに乗れんのか)
だって、今超歌いたい気分なんだもん。
ドラゴンにだってあるだろ?歌いたい気分になるときくらい。
さてさて。
早く争いの地には着かないのか?
リザードマンとの戦いで時間が削られたけど、未だに着かない様子だ。
それに、また知性を持つ魔獣達と鉢合わせになるのもごめんだ。
誰しも少なからず魔力というものは存在するらしい。
その魔力がなくなってしまえば、身体の機能が鈍くなってしまう。
それならウィザードって結構有利だよね?
「炎息とか翼炎放射とかって魔力使っちまうのか?」
(多少の減りはあるが、身体中の魔力に別状はない。余程のことがない限り、魔力が尽きることはない)
「そうか………魔力…ね」
ん?あそこに誰かいるぞ?
何かに逃げてる?
俺は下の森に見えた、人らしきものを見つけた。
どうやら、何かから追いかけられているようだ。
あれは…………
(あれは、!?あれはオーガじゃ!トロール型の魔獣。オーガはトロールやオークよりも、かなり強い魔獣だ)
「でも、襲われてるぜ…………助けるしか選択肢はない!」
(わかった)
イグナイルは一度真上に上がったと思えば、一気に下に方向を変えて急降下した。
髪の毛吹き飛んでいくかと思いました。
風の加護どうなってんだよ!
(すまぬ。完全に忘れておったわ)
見てる感じ、オーガはそんなに素早くないな。
お!顔が見えてきた。え………、オーガの顔キモッ!!いや、リザードマンの顔はティラノサウルスみたいな顔をしてたけど、あれはひどい………。見ただけで吐きそうだ。
近づきたくないんだけど。
(森の中でこの姿は見せられん。一旦お主の身体に戻るから今からお主には降りてもらう)
ん?なんて?今降りるって聞こえたけど、ここ結構高い位置よ?
いや、確実に死ぬでしょ。何考えてんのイグナイルさんは。
「いや、死ぬから。この高さから落ちて生きてるやつの方がおかしいだろ!?」
(お主ならできる。助けるしか選択肢がないのだろう?)
言ったけど!それは言ったけど!
イグナイルは俺の方を見てサムズアップする。
俺が死ねば、お前も死ぬんだろ!?しゃれにならねぇよ!
え?本当に落とす気?マジでやめてやめて!!
「うぶぉぁぁぁああ!!!」
ヤバイ死ぬ!
ってもうイグナイルいなくなってるし、パラシュートパラシュートってあるわけないわ!!
俺はオーガと少女めがけて真っ逆さまに落ちていった。
そのスピードは言うまでもない。
流星のようなスピードは飛んでいる鳥を丸焦げにしてしまうほどの風熱。
なんとかしないとこのままじゃ本当に死んでしまう。
「頼む!なんか出てくれ!!」
俺は根拠もなくただ手を広げ伸ばした。
俺は信じてるからな!!何か出てきてくれることを!頼む!俺の加護よー!!
《英雄の加護発動・超軽衝撃》
英雄の加護!?
声が聞こえた途端、スピードマックスで落ちてた俺の身体が一気に軽くなり、風圧で身動きが取れなかなった身体が空中で自由に動かせるようになった。
これならいけるぜ!!
「うおりぁぁぁ!!!」
俺はオーガに向かって垂直に拳を突き立てて落ちる。
そして、その拳はオーガの頭に直撃した。
思いのほか、拳が痛かったのは言わないでおこう。
《英雄の加護》
状況に応じて適正能力が発動される。




