忍の奥の手
「分かっているよ。メイザードは伊達じゃない!」
「『たかが魔法少女一人、押し返してやる!』って奴かな」
「怒られそうなネタはいい加減ほどほどにしてよ」
そういってから忍はかんなに突っ込む。
「なるほど、早いわね。でも、私も最強と呼ばれる魔法少女」
「スピードタイプと戦ってないわけじゃない、とでもいいたげだね」
すると忍は剣を投げた。
「マジカルロッドを投げるなんて、どうかしている……」
かんなは難なく剣をかわすが、直感で何かヤバいと感じた。
「マジカルロッド、リターン!」
「マジカルロッドの呼び戻し機能を攻撃に転用した!?」
戻ってくる剣がかんなをかすめる。
備えていたため戻ってくる剣に突き刺さることは避けたが。
「剣が飛び道具として使えないと思ったら大間違いだよ!」
「なるほど、呼び戻し機能を使って剣をブーメラン代わりに使う」
アニメとかではよくあるけど、とばかりにかんなは続ける。
「科学では不可能なことでも、『魔法』があればある程度再現は可能」
「まあ、呼び戻し機能は何かの拍子でマジカルロッドを落とした際の手段」
だから、と忍は続ける。
「範囲には限りがあるんだよね。だから多用はできない」
「奥の手みたいな技を最初から使うなんてね」
「あなたがスピードタイプだろうと相手どれると思っているならまずは」
「意表を突く、とでもいいたげね」
「それは事実だよ。でも、ボクを舐めないでってことをいいたいんだよ」
それを聞いたかんなは返す。
「いいわ、私にもクラス最強の誇りがある。あなたの噛ませ犬にはさせないわ」
「そういう人って大概噛ませ犬になるんだけどな……」
それとも、と忍は続ける。
「まさかその杖、遠隔操作できたりするのかな?」
「さすがにそこまではできないわ。けど、見せてあげる」
「ミラージュ、オールレンジ!」
忍は咄嗟に下へと動く。
「校舎にはマジックバリアがあるから、下に逃げようが構わないわ」
「だけどこの手の物は大概上に避ける。だから下は比較的薄くなる」
「そのくらい、読めてないとでも?」
しかし、忍はそのままかんなの後ろに回る。
「まさか、うわあああ!」
かんなは自分の曲げたビームに当たってしまいそうになる。
だが、彼女は咄嗟にかわしてみせた。
「誘導兵器使うのは負けフラグと聞いたことあるけど、本当にやられるなんて」
振り返った彼女の目前には、忍が迫っていた。
「ビームをかわして安心したようだね。悪いけど、隙だらけだよ」
流石に目前の忍をかんなは避けることができず、彼女は切られてしまった。