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戦いに備えて
「さて、今日はまず訓練をしないといけないわね」
「ネオナチスが迫ってきているしね」
するとさっきから突っ込みを入れていた女子生徒に、
忍は声を掛けられる。
「忍って戦ったことはあるの?」
「模擬戦はしたことないんだよね。風船相手ならやったことあるけど」
「あの清宮神奈の血縁だから慎重に扱われてたってわけ?」
清宮神奈。彼女は魔法少女メイザード☆かみなを名乗り、
クローン大戦において『ニューワールド』と戦った英雄である。
「そういうあなたはえっと、おくとも……かんなだっけ」
奥友かんな、彼女は忍が居るクラスで最強の魔法少女なのだ。
「私はあなたのような模擬戦をやってない魔法少女に負けないわ」
「魔法少女……まあ、その自信があるなら問題はないと思うよ」
「気取った態度……まるで女性にしか魔法が使えない世界で一人だけ」
「それ以上はいけない」
「まああなたは違うはずよ。例えあなたが男だとしてもね」
かんなは例え話をしただけであることを忍は理解していた。