男の娘の下着事情
男は股間にふくらみがあるが、忍の場合補正下着を着用している。
ふくらみを抑える薬もあるが、失敗するとある意味ヤバい。
そのため手軽にふくらみを抑えられる補正下着は便利なのだ。
ともかく忍はその補正下着から、
さらにショーツやら何やらを履くことになる。
下着の上に下着を重ねるというのは奇妙だが、
性別を偽装するというのはそれだけ大変なのだ。
忍のそういう苦労はニューハーフといわれる人々と似通っているが、
本人にそんなこといったらぶち切れるのはいうまでもない。
「しかし今日は大分疲れたよ」
「この手の買い物って疲れる物なの?」
「あたりまえだよね?こういう場に出るのは並大抵じゃいかないし」
「まあその気持ちは分かるわ。ゲーセンに連れて行ってあげるから」
「なら着替えていいかな?多目的トイレで」
「そんなことできるの?」
「今日は休日だし、誰も分からないと思うよ」
「着替えはあるの?」
「ボクが何のためにリュックを背負っていると思っているの?」
そんな忍に理香子は突っ込む。
「抜け目がないのね……単にあなたが楽しみたいだけだろうけど」
「そりゃ、休日だしね」
というわけで忍は多目的トイレで着替えてくる。
「ふう。さすがにいつまでも偽装しているのは疲れる」
ちなみに買った物はリュックに収め、分からないようにしている。
着替えを出したのでその分のスペースが開くから、
買った服を入れることは難しいことじゃないわけだ。
「その言い種は別の意味で疑われるわ」
「まあ何にせよ、どこに行く?」
「五丁堀まで歩いていかない?そこの地下にゲーセンがあるのよ」
「バンキヒョーテの地下一階にあるんだっけ?広島のバンキはあそこだけだし」
「まあ、他県民のあなたでも興味があれば調べるかしらね」
「激安の殿堂だからね。寺通にはマフトップがあるしコミマイトもあるからね」
マフトップはパソコン類が、コミマイトはアニメ関連の物がある。
いわゆるオタク向けのショップだ。
広島は政令指定都市の割にそういう店が少なかったわけであるものの、
10年以上前ころにそういう店が充実し始めたのだ。
これでいわいる『難民』の発生率は激減したらしい。
それでも深夜アニメがあまり入らないのは変わらないため、
広島に住む人々はネットでそれを見ていた。
しかしここに中保台学園が入るということもあり、
最近ようやく深夜アニメが入ってきたのだ。
「それまで何もしなかったっていうのも情けない話ではあるけどな」
「まあ、地方都市といえば地方都市だしね」




