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声明
「何かがあったらまずいのかな?」
「復興の最中は不穏分子が生まれやすい時世だから巻き込まれるよね?」
そんな忍に女子生徒はいう。
「またクローン大戦のようなことが起こるっていうの?」
「ここはそれに対処するための学校だよ」
「だからといって戦いに巻き込まれるなんて、やっぱり怖いよ」
「それは分かるよ。けど、何か起こる時は僕達で何とかしないといけない」
すると、先生がいう。
「緊急事態です。テレビを付けますよ」
「中保台学園の魔法少女に告ぐ!」
「我々は腐りきった民主主義を終わらせ、ナチスの再興を行う者だ!」
「ありきたりな声明だな」
忍の感想など当然向こうには聞こえないので、声明はつつがなく続く。
「我らはネオナチスとでも呼べばいい。ナチス残党だと響きが悪いからな!」
「同志たちよ立ち上がれ!ユダヤ人の弱っている今こそ世界を手にする好機!」
「ハイルナチス!」
声明を行った少女に続き、他の少女達も一斉に叫ぶ。
テレビに映る旗には黒十字がしっかりと刻まれていた。