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錯綜する運命
その日の放課後。
忍は拓夢が倒れたということで様子を見に行かされていた。
「何で拓夢が倒れたからってボクが見に行かなきゃいけないの?」
「まあ、ちょっと訳ありでね」
「そんなんじゃ納得いかないよ」
「納得がいかなくてもそういう物よ」
するとかすみが忍に伝える。
「つまり、政府絡みだということよ」
「それは何となく分かっていたけど、まさか拓夢も性別を隠していたりするの?」
「そういうことよ。察しがいいのがいいことかは分からないけど……」
「やっぱり『彼』は美夢なんだね」
「だったら行くの?ずいぶんと現金ね」
「親和性を感じただけだよ」
するとかすみはあきれたように行く。
「そういう理由で受けるあたり、結構単純なのね」