魔法のそうぞう
落ちていったマルギットは地上すれすれで着地するも、
魔力切れで昏睡状態に陥った。
「とりあえず、騒乱罪の現行犯で私人逮捕させて貰うわ」
そういって忍たちの先生は犯人をひったてる。
「くっ、お前の名前は?」
「丸橋かすみ、あの子達の生徒よ」
「まるばし……まあいい、ロッド抜きで魔法の使えない大人に興味は無い」
「そういや、大人には魔法は使えないの?」
「ロッドがあれば体内にある成長因子を無理やり活性化させれるけどね」
そんなかすみに忍はいう。
「ロッドがあれば男でも……」
「ロッドがあっても『使い方すら分からない』男性には想像できないのよ」
「魔力があっても想像ができなきゃ魔法は使えないからね」
「質問を振ったのはあなただけど、理解できたの?」
「少なくとも、このロッドが原因じゃないことはね」
周囲には意味が分からないようないい方で、
魔法が使える理由がロッドでないことをいった忍だった。
「いずれにしろ、ネオナチスは侮れないわね」
「そうだけど、とりあえず船に突入しないかな?」
「それは無理よ」
すると、そこに一人の少年がやってくる。
「それなら、俺に任せることだな」
「あなたは一体……」
すると、かすみは少年について紹介する。
「彼はクローン大戦で捕虜となったクローン、芹田拓夢よ」
「捕虜を偵察に使うなんて、裏切られたらどうするの?」
そんなかんなの言葉も忍は上の空で聞いていた。
(せりだたくむ……確か芹田洸はマジックロッドの開発者)
(一人娘に芹田美夢が居るが、本人のクローンという可能性も充分ありえる)
なので、拓夢を美夢だと決めつけることはできない。
自分と似た雰囲気も感じたが、
自分が一卵性双生児かもしれないのでそっち方面かもしれない。
少なくとも忍はそう思っていたからだ。
「『ニューワールド』としても『ネオナチス』は目の上のたんこぶなのよ」
少なくとも、とかすみは続ける。
「利害が一致している状況で、裏切ることは無いと思うわ」
するとそこに理香子が口を挟む。
「こいつが政府筋の人間みたいないい種ね。そういうのは間に合っているわよ」
「ネオナチスに対抗するなら、二人くらいは送ってきても不思議じゃないよ」
それに、と忍は続ける。
「『放課後のメイザード』の『弟』であるボクは素性も割れやすいしね」
「あいつがあなたと同類だというの?」
「それは分からない。本当にクローンなのかもしれない」
一ついえるとするなら、と忍は続ける。
「むしろクローンだからこそ偵察の捨て駒に使えるのかもしれないしね」