戦場のリラックス法
「この辺は本当に男女の違いって奴かな?僕くらいの男子は大体こうだよ」
「ここに居る生徒が女子ばっかだからってそう誑かすのは無駄よ」
「誑かすというか、はぐらかすが正しいけど」
そんな二人にマルギットはいう。
「いい加減夫婦漫才は止めろ。攻撃するぞ」
「できるのかな?してもいいけど」
「サンドクロイツ!」
土の槍が忍に迫る。
「当たるとはいってないよ」
忍は難なくかわす。それを見たマルギットは忍の真意を察する。
「こいつ、リラックスすることでコンディションを上げていたか!」
「戦場でただ無意味に談笑してるほど、ボクはのほほんとしてないよ」
「掴みどころのない奴め!」
「ガチガチに緊張してると実力は出しづらいよ?」
忍は後ろに回る。
「くっ、ちょこまかと!」
忍にマルギットが集中したのを見計らい、理香子が攻撃を仕掛ける。
「ウォタリス、ブラスト!」
水の塊がマルギットに襲いかかる。
「ぐっ、集中攻撃だと!?」
「流石に幼馴染だけあって息が合うのね……」
かんなは関心しつつ、杖を構える。
「ミラージュシューター!」
「サンドガード!あなたの攻撃なんか、効かないわよ!」
「確かに、土はビームを遮蔽する。だが、その分魔力も使うはず!」
「くっ!」
「それに、ここは商工センターの近く。おそらく船から飛んで来たんだよね?」
そして、と忍は続ける。
「その船はあなた以外の魔法少女が居ない。もし居るなら、連れてくるはず!」
「何故後続の魔法少女が来ないと分かった!?」
「かまを掛けさせてもらったんだよ。男の娘とオカマは別物だけどね」
「そっちのかまでダブルミーミングをしたつもりは本当にないの?」
かんなの指摘が聞こえなかったのかマルギットは悔しがる。
「おのれ!さすがは『放課後のメイザード』の弟だけはある!」
放課後のメイザード。
それは神奈が放課後にクローン集団である『ニューワールド』と戦い、
その結果付けられた名前だ。
クローン大戦で日本を防衛した英雄として、
放課後に戦った彼女の二つ名としてその名は付いた。
しかし彼女はクローン大戦における最終決戦により魔力を使い過ぎ、
結果空中からの減速が上手くいかなかった。
彼女は寸前でとっさに減速したため命は助かり後遺症も無かったが、
それでも骨折からのリハビリ中でとても戦える状態ではないのだ。
「聞きだすべき情報は聞きだしたし、とどめを刺すよ。殺しはしないけどね」
そして忍は剣を構える。
「メイザードストラッシュ!」
構えた剣を正面斜めに振り払う、それがメイザードストラッシュである。
「どこかで見たことがあるような技にやられるとは!」
そういいながらマルギットは落ちていった。