魔法のありか
西暦2025年。
2022年におけるクローン大戦とその余波で人口の半数が死滅した世界。
クローン大戦においては2018年にその存在が確認された『魔法』が、
戦闘の肝として使われた。
魔法が使えるのは基本的に女性かクローンのいずれかに限られていた。
狭義のクローンである一卵性双生児にも使えるのだが、
それは成長因子の一つが関与しているようだ。
ともかくクローン大戦において現人類最後の砦となった日本は、
他国の復興の中心となることで食料を確保していた。
だが未だ世界はクローン大戦の傷跡から癒えきれておらず、
それはネオナチスの台頭を許すことになっていた。
中保台学園の生徒はそうとは知らずに今日も魔法の演習をしていた。
中保台学園は有事に備え魔法少女を養成するための学園なのだが、
そこに通う生徒はあまりその実感を持っては居なかったのだ。
だがそこに一人の生徒が現れることで、物語は大きく動き出すのだった。
「転入生を紹介します」
先生にそういわれ促されるまま出て来たのは、清宮忍。
「清宮忍です。よろしくお願いします」
もちろんただの転校生ではない。
何しろ忍は男の娘だからだ。
「4月の最初に『転入生』?怪しいわね……」
「そうでもないんじゃないかな。ここは魔法少女の養成校だし」
「元がきな臭いだけに、何か起こりそうな予感がむんむんなのよ」
「少なくとも素性ははっきりしてるわ。政府のお墨付きだし」
「結局それって『何か起こる』フラグじゃない」