表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーマーリングを左手に。  作者: 蜂蜜 林檎
2/14

アーマーリングを左手に。 2話。

今回のお話は以前自サイトに載せていたものの2話を

投稿するにいたり手直ししたものです。


今回のお話は夜未さまとのコラボ作品となります。

夜未さま、コラボありがとうございます。

この場を借りて改めてお礼を。

今回コラボさせていただいた夜未さまの作品は

「世界に忘れられて…自然消滅!?」

です。

気になった方はぜひ、検索してください!!

もしも、世界が、終わるなら。

大嫌いな、愛するアナタへ。




・・・今日も、いつもと変わらぬココの朝。しかも雨。

ザアザアいってる空をあてがわれた自室のベッドの上でぼーっと見てるあたし。

・・・・・眠いっ!!!

「あー・・・朝の三時までゲームしてるんじゃなかった・・・。」

だって、ボス戦まであと少しだったから!!部屋の隅にあるゲーム機とTVをちらりと見ると、あたしはまた雨の降る空を眺めた。

なんでだろう、普通に憂鬱になるのに少し・・・嬉しいのは。

ピロリロリン。ピロリロリン・・・

「ぅお!!!??」

思わず声を上げて驚いてしまった。静けさに水を差したのはマイパソコン。

どうやらメールが届いたらしい。なんとなく、静かにベッドから下りてパソコンに向かうとマウスに手を置き、クリックする。

パソコンの画面にはただ短い文章と添付の資料。

《但馬組に、制裁を。》

制裁・・・依頼主は警察か・・・同業者か・・・まぁ後者だろうケド。

ようはやりすぎは禁物。出る杭は打たれるというわけだ。

世の中は異なもので。

あたしの知り合いに同系列のごくごく純朴なおじいさんがいる。

最近、孫娘が可愛くて可愛くて・・というメールのやりとりまでする仲だが、

その孫が通った後には草の根一つ残らず、苔すら生えない。

とかなんとか。ほぼ伝説に近いが・・

おじいさん。あたしは、その孫娘が心配です。色々な意味合いで。

ざっと添付の資料に目を通すと、メールを閉じて、のろのろと着替え始める。

まぁ、なんだ。腹が減っては戦はできぬ。ってね。

今日のスタイルはシンプルにピンクの二段スカートをふわふわさせて、セーラー襟の白いブラウスを着ている。

ポイントは首から下げた天使の羽根のはえた黒いハートのネックレス。もちろん、重装備とまではいかないがそれなりの武装はしている。


今日も食堂はざわざわしている。いつもよりは静かだが・・・。

「片目。」

厨房にいる、片目に眼帯をした、そしてなぜだかパティシエ風のゴシックエプロンを着た青年にあたしは声をかけた。

「よぉ、姫。おはよう・・・かこんにちはってところかな?」

フライパンを器用にかえしながら、あたしの方に振り返る。

よく見れば、時計の針は十二時だ。・・・何時間寝てたんだ?あたし・・・。

「おいしそうね。なに?」

なんだか片目の持つフライパンからいいにおいがする。あたしがそう聞くと片目はなぜか軽く胸を張りつつ、

「卵チャーハン、魚肉ソーセージ入りだ。ちなみにまかないだぞ?」

これからご飯だったんだ・・・

「あたしにも頂戴。おいしそう。」

卵チャーハンが出てくるのを目で追いながら、ふと思ったことを口にしてみた。

「ねぇ?片目・・・ずっと気になってたんだけど、その腰に下げてるのなに?」

あたしの目線の先・・片目のゴシック風蜘蛛の巣模様のコック服のウエストに下がっている大工さんの用具入れのような・・・。

なんかの柄みたいのとかが見えるんですけど・・・

「これか?調理器具入れに決まってるだろ。」

そう言って彼の腰からは出るわ出るわ。おたまにさいばし、泡だて器。包丁がキッチンナイフにフルーツナイフ、出刃包丁なんかまで。

そして魚肉ソーセージ・魚肉ソーセージ。魚肉ソーセージ。

・・・・・・・・魚肉。

「・・・・・魚肉・・・なんだ・・?」

「これだけじゃないぞ?」

なにぃ!!???

んばっっっ!!!

片目が着ていたコック服の前を豪快に開く!お父さん方はけっしてまねはしないように。変態といわれても仕方がなくなるので・・・

それはともかく、そのコック服の内側にはびっっっしりとそう、ところせましと。

魚肉っ・・・ソーセージ・・!!!

数秒間・・・あたしの脳は動くのをやめた。


カツンカツン・・ピチョン。なんだか未知なる洞窟にいる気分になるのはなぜだろう。ダンジョン的な。

いつものようにドアをノックすると十夜はすぐに顔を出した。

「あら、サーティーン。なにか用?新兵器ならまだもう少しだけど?」

「そうじゃないの。特製睡眠弾、もらえる?今回はちょっと大きな仕事になりそうなの。」

「制裁かなにかかしら?」

う~ん、分かってるなぁ。

「・・・・・薬は?足りないなら作るわよ?」

「大丈夫。まだ残ってるか・・」

ぴひぎゅううぅぅぅ・・・

鳥か、はたまた獣なのか・・

足して2で割ったような、それでいて腹に響く声?

「あら?ちょっと待ってよ、今、サーティーンが来てるの。」

ぴひうぅぅ・・・・・

なんか、言葉通じてマスか?


「但馬組事務所。」

暗闇に浮かぶその看板の文字を読み上げるとあたしはおもむろに拳を上げ、

コンコンコンッ・・・・・コンコンコンッ・・・・・・・・

返事は・・・あるはずがない。事務所の鉄の扉の前であたしは深呼吸をひとつ。

ドゴッォォォォォンン・・・

鉄でできていた扉はあっさりと内側へと倒れていった。

倒れたその扉には、あたしの拳の跡が残っていたりする。

倒れた扉の先に一人の男。チンピラを絵に描いたような男だ。

「なっ、なんだこいつ!!?」

ごっ!

鈍い音を立てて、男の顔面に拳をめり込ませる。

「おいっ!どうした!!?」

階段から降りてきたチンピラ(仮にBとしておく。)が拳銃を片手に降りてきた。

そしてその声を聞きながら、あたしはまっすぐ地下の電気室へと向かった。


今夜のドレスの色は漆黒。ワンピースで、首周りの襟と姫袖に二重の白いレース。、前ボタンでピンタッグがボタンを真ん中に左右対称に三本寄せてある。もちろん、たなびく裾にも白いレース。その少し上には黒いリボンの通ったはしごレースがあしらってある。

そして、ヒラヒラのレースの下には完全な武装。危険をスカートの下に隠し、姫袖から伸びる腕を暴力へと変えて、あたしは走る。

時々・・・思う。

なぜ、自分はほぼすべての銃器類、刀剣類を扱えるのか・・・なぜ、 体術・武術までもがここまで体に染み付いているのか・・・

そんなことを考えながら、横から飛び出してきた男のわき腹を左足を軸に蹴り飛ばす。こんなことぐらいなら、考え事をしながらでもできてしまうのだ・・、・あたしは。

「電気室・・・あそこか。」

廊下の突き当たり。灰色のドアを勢いのまま蹴り飛ばす。

「ブレーカー・・・ブレーカー・・・・・あった。」

ガコンッ!

「なんだ?」

「電気が消えたぞ!」

そんなありきたりなセリフが、動揺しきった声で聞こえてくる。 あたしが走り抜けてきた廊下から。

「ここかっっ!!」

一人の男が拳銃を構え、暗闇となった電気室に駆け込んでくる。


「みつかっちゃった。」


平然と言うと、あたしはスカートの下にすばやく手を伸ばし・・・

ガゥン・・・

「ただの麻酔弾よ。・・・十夜特製のね。」

銃弾とあつかいは一切変わらないスグレモノ。

倒れている男の上をまたいで電気室の外の暗闇に躍り出る。

「・・・暗闇でも、あたしは見える。」

一人つぶやくと倒れている男たちをしりめに廊下を抜け、階段を上へと駆け上った。


「見ろ!!」

「おい!制裁だ!!」

「金の瞳だっ!!」

「金の瞳の悪魔だ!!!」

暗い廊下に男たちの上ずった声があちこちから上がる。

ブレーカーを落とした暗闇の中。あたしの目が、ネコの目のように金色に光る。

そう、あたしの目は両目ともに金色なのだ。突然変異・・・と、まつり先生は言うが。まだ母体の中にいた頃、目が形成される時期になにかあったのだろうと。普段はコンタクトをしているのだが仕事のとき、あたしはコンタクトを外し金の瞳で相手を射る。

ので、付いた名のひとつが今あいつらが言った「金の瞳の悪魔。」

ひねりも何もないが・・・昔から縁起の悪い色の眼ではある。古今東西どこかは忘れたが「悪魔の瞳の色は金色。」だという地域がかなりある。そんないわれのある目でもあたしはこの金の瞳を気に入っている。

やつらが金の瞳を恐れるのは、ただ不吉なだけではなくやつらにとって破滅の瞳だからだ。

「金の瞳の悪魔」といえば制裁者としてそれなりに名が通っている。少々その手のやつらには有名人というわけだ・・・破壊の。


執務室の手前、広めのリビングルームのような場所。

飛び掛ってくる男が二人、一人は銃。一人はサバイバルナイフ。

サバイバルナイフの男が切りかかってきたのを左手でナイフをはじき、右足であごを蹴り上げる。銃を構えた男が引き金を引いた瞬間に重心をずらし、その場でくるりとターンを決め、そのまま男の顔面に裏拳を入れる。

さらに三人。物陰からおのおの飛び出してくる。・・・狂ったように吼えながら。

駆けるのは止めず、背中の葛ノ葉を抜き、

一息で踏み込み、胴を薙ぐ。

一瞬の血飛沫。

男のうめき声。

・・・致命傷はさけてある。しばらくは病院の住人と化すだろうが。

その先にあるドアが組長、但馬のいる執務室。

そのドアも・・・蹴り開けた。


周りではべっていた女たちは全員、眠っている。ガードをしていた男たちはうめき声を上げているか、気を失って床に転がっている。・・・まぁ若干一名、壁にめりこんでたりとかもするが。

一人残った成金趣味でごてごての男。但馬。

「そっ・・それ以上来るな!!近づくんじゃない!!うっ・・撃つ・・撃つぞ!!!」

おびえきった声でなけなしの脅しをするとその動きにくそうに肥えた体を動かし、スーツの裏ポケットからわたわたと銃を取り出し、構えようとする。

・・・そして、一陣の風。

「いいわよ・・?」

ぽとっ・・・

「引き金を引く指があれば・・・ね。」

自分の銃を持っている手を見下ろし、突然悲鳴を上げる。引き金を引こうとした右手の人差し指は、嵌めていた成金趣味の純金の指輪と共に、足元の床に転がっていた。


事務所の外に出てみると夜風がやたらと気持ちよくて。

・・・まるで硝煙も血の残り香も流してくれるようだった。

「あーぁ。つまらないわぁ・・・。」

あたしは夜空を振り仰ぐ。

「だって、殺しても殺しても手ごたえのないやつらばかり。」

「十三夜月・・・。」

振り仰いだ先。血に濡れた切っ先を地面へと向け、そのしたたりで地面に紅い水たまりを作っている少女。十三夜月じゅうさんやづき

「お久しぶり、三日月。あなたに会えなくてさみしかったわぁ・・・。」

そう言いながら、彼女はタンクの上から飛び降りた。まるで月の中から浮き出たように。

「・・・ほんと、さみしかったのよ??三日月。返事くらいして頂戴。」

「・・・・・お久しぶりね、十三夜月。あいかわらずのようね・・・。」

その血のしたたる切っ先を睨みながら、あたしはつぶやいた。どうやら、その目線に彼女も気づいたらしく、同じ切っ先をちらりと見ると、

「あぁ。さっき終えてきたところよ。・・・三十人ぐらいだったかしら・・・女もいたかしらね・・・。」

くすり・・・と妖艶に、そして無邪気に笑うと彼女は剣を構えた。それと同時にあたしも葛の葉に手をかける。

っぃんっっっ!!

二つの刃が月光にきらめく。そして、十三夜月はあたしのいた道の上に。あたしは十三夜月のいた、タンクの上にいた。

「あなたとじゃれている暇はないの。さっさとおうちに帰りなさい。」

あたしは月の光を背に浴びて、朗々と言った。

「・・・そうね。あなたももう、おねむでしょうから・・・お帰りなさい?」

彼女が言ったとたん、あたしのワンピースの裾の一部が風にひらめいた。

その破片を風に見送った彼女があたしを見上げるのと、彼女のブラウスの襟が裂けるのは同時だった。



はい。

出てきましたね、「十三夜月」ちゃん。

作者のお気に入りのキャラだったり(笑)

これからの最重要人物です。

そしてこれまた来ました。

「片目」さん。

片目さん=魚肉ソーセージというネタは

当時、挿絵を描いてくださっていた先輩とお茶をしながら

あはははははは!!

とかいうお笑いネタだったり。

その先輩のお気に入りキャラでした(笑)


そして・・・ここ重要です。

コラボ、ありがとうございます!夜未さま!!

どこらへんがコラボしているのかは夜未さまの作品を読んで

確認してください!!


ご拝読、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ