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俺、また馬に生まれました

俺、また馬に生まれました――雨の坂道

掲載日:2026/08/24

「俺、また馬に生まれました」の続編にあたります。

本編はこちら↓

【俺、また馬に生まれましたシリーズ】

https://ncode.syosetu.com/s7414k/

蒸し暑い雨の中パドックを回る。

雨の中走るのは前世のカイザーの時以来だ。

そう、俺には前世の記憶がある。

前世の俺も競走馬だったのだ。しかも伝説の無敗馬。

いまの俺もすごいのか?って、いや、1勝すらあやしい能力の馬だ。


パドック、返し馬と、俺はまわりの馬の顔を確認する。

よし、前に一緒に走った奴はいない。

ゲートに入ると、周りの奴に話しかける。話題は何でもいい。

だけど、話題は適当なことを言うと大変なことになると学習した俺は、毎回頭を悩ませていた。

ある日、ひらめいた。

メンバーが違うなら、使いまわしたっていいんじゃない?

俺、頭いいかも。

話で引きつけて、スタートダッシュを決める。


最初の直線300メートル、いきなりの上り坂、いつも坂路トレーニングをしている俺はひるまずに駆け上がる。

よし、ここでいつもの折り合いを欠いた演技をしようと口を開けた。口に雨粒が入った。ぺっ。

これじゃ口も目も開けられないじゃないか。俺の必殺技が封じられてしまった。

昨日から続いていた雨のせいで芝も重たい。だけど以前と比べるとずっと楽に感じられる。

後続を引き離す形にもっていけた。もしかして芝が重たい坂道ってみんな苦手なのかなぁ。


最初のコーナーに入る。

このコーナーは狭いから、上手くまわらないと外側に膨らんでしまう。

俺にとってはチャンスだ。狭いコーナーと上り坂。この間にどれだけ差を広げられるかがキーになる。

ここまで単独で俺は走り抜けることができた。今までは上り坂だったが3コーナーからは下り坂になる。

一気にみんなが近づいてくる気配がする。俺の余裕がなくなってきた。

最後のコーナーはゆるやかなカーブだから、みんなロスが少ない。

後ろの馬の呼吸が聞こえるような気がしてきた。


追いつかれる!!最後のコーナーをまわったときに前にかわされた。

だけど最後の直線はスタートと同じ300メートルのきつい上り坂だ。

重たい芝を蹴って俺は前に食らいつく。

いける!!スピードのない俺だけど、坂道だけは毎日走っているんだ。

しっかりと先頭の馬にすがりつくように走る。あと200メートル。前の馬までは体ひとつ分。

あと100メートル、前の馬の動きが鈍った気がした。あと体半分。

いけるいけるいけるいける!!!!ゴール板を抜けたとき、体半分俺が前に出た。


湯気がでる体に雨は冷たく優しかった。

俺、2勝目勝ったんだ。

あんちゃんは今日は泣かなかった。今日だったら濡れてるし、鼻水もましだったんだけどなぁ。

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