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花の咲く身体

作者:
掲載日:2026/04/18

世界中の人口のおよそ四分の一ぐらいは、体の一部から花が咲く病気にかかっている。

それはとても大きくて美しい花で、ある者はうなじに咲き、ある者は手首から咲く、咲く場所はみんなそれぞれ違っているが大切なことがある。

一日に必ず三リットル半、水を摂取しないと枯れてしまう。


枯れてしまったものは自身の身体も枯れていってしまい、最期には枯れ木のような体になって死んでしまう。


俺の妹のいのりは片目から大きな花が咲いている。

それはそれぞれの花弁が虹色に生えていて、とても美しい。

いのりの水分摂取量は俺が毎日管理していた。

いのりはまだ中学生なので、一日三リットル半の水分摂取はかなり難しい。


我が家は父と母がなくなって久しい。

当時高校三年生だった俺は、いのりを一人で育てるために高校を出てすぐ働き出した。


いのりの目から花が咲くようになり、小学生のいのりに水を飲ませるのはもっと大変だった。

飲みきれないのだ。

俺は父や母のようにいのりを亡くしてしまわないように、必死だった。

いのりが嫌がっても、毎日無理やり水を与え続けた。


小学校の修学旅行さえ欠席させたほどだった。


ある日クラスのお調子者が、いのりの水筒を奪って水を洗面台に流し捨てた。

いのりは今までの経験でどれぐらい水を飲んだかわかるようになっていたので、俺には言わなかった。


次の朝から、いのりの花は少しずつ枯れてしまった。

いのりは気丈に振舞っていたが、俺は平静ではいられなかった。

学校に怒鳴り込み、犯人をあぶりだし、

「調子に乗ってたですむか!」と怒鳴り散らした。



今俺は花の咲く病気について、研究している。

あの時の男に同じ症状を与えるためだ。

研究はもうすぐ完成する。


柱の中、溶液に満たされたそこにいのりは静かに眠っている。

目からは綺麗な虹色の花が咲いていた。






ここまで読んでいただきありがとうございます。

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