表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

三題噺もどき5

朝食の

作者: 狐彪
掲載日:2026/04/09

三題噺もどき―はっぴゃくごじゅうよん。

 




 机に座っていると、目の前に皿が出された。

 上には、出来立ての目玉焼きが湯気を立てて鎮座している。

 添え物として、申し訳程度の野菜が少々。ブロッコリーと、トマト。

「……」

 鼻が詰まっているのか、匂いがよく分からない。

 そのせいであまり食欲も起こらず、ぼうっとしている。

 手は寒くて太ももの間に埋もれている。

「……」

 机の前に設置されているテレビからは、何かを話しているような声が聞こえる。

 視線だけをそちらにやれば、光っていることは分かるが何が映っているのかはよく分からず、ぼやけている。

 声を聞く限り、何かのニュースを伝えているようだけど、詳しいことは分からない。

「……」

 何故かふわふわと風船が飛んでいる所だけは、はっきりと見えた。

 それがどこを飛んでいるのか、どういう状況でそうなったのか。

 風船が浮かんでいるはずの回りの映像は、ぼやけている。モザイクがかかったように。

「……」

 気付けば、目の前の皿が1つ増えていた。

 目玉焼きの乗った皿の横に。

 しっかり目に焼かれた食パンが1枚。

「……」

 端の方が少し焦げてしまったのか、黒くなっている。

 目玉焼きが出てきた時点で察しはついていたが、今日は食パンが主食のようだ。

 我が家はそうだと決まっている。

「……」

 しかし食パンだとあまり腹が膨れないと言うか、学校につくころには少々お腹がすくと言うか……私があまりパンを好きではないこともあって、朝にパンを食べるのは好きではない。

「……」

 少し離れたところに、バターの入ったケースと、赤いイチゴジャムが置かれている。

 それと、目玉焼きにかけるように、ケチャップとマヨネーズ。

 塩コショウがかかっているからいらないと思うんだけど、いつも用意されている。

「……」

 しかし今日はなんというか……あまりはっきりとしない感じだ。

 ずっとぼんやりとしていると言うか、何かがおかしいような気がするというか。

 そもそも、今が何時で、食べようとしているのが朝食なのかどうかも怪しくなってきた。

「……」

 皿を差し出してくる手が、母の物だと言うことは分かるのだけど。

 顔を見ようとすると、その顔がぼやけてしまう。

 母だと言うことは分かるんだけど、顔だけが上手く見えない。

「……」

 隣に妹……と思われる人が座っていることは分かるのだけど。

 顔がどうにもはっきりしない。そもそも私と同じ時間に朝食を食べることがあっただろうか……朝練とかなかったのかな今日。

「……」

 しかし、何だろうとそろそろ食べなくてはいけない。

 あまりぼうっとしていると、学校に行く時間に遅れてしまう。

 最近、あの子は少し早く登校しているみたいだから、運が良ければ会える。

「……」

 そういえば、時間を確認していなかったけど。

 今何時なんだろう。

 机の端に置いてあったスマホに手を伸ばし。

 伏せていた画面をパッと見る。


 ブーーーブーーー

「……」

 枕元で、スマホが震えている。

「起きなさいよ~」

 リビングから、母の呼ぶ声が聞こえた。

「……」

 なんかよく分からない夢を見たようだ。

 そんなに空腹だったんだろうか……それを証明するように小さく腹が鳴る。

 ……それなら素直に胃に入れてくれればいいのに。どうして拒否するような真似をするのだろう。自分の事ながら、意味の分からない体だ。

「……」

 とりあえず、起きて、動くとしよう。










 お題:目玉焼き・太もも・風船

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ