やっぱり嫌いだ
「愛ちゃん、一ノ瀬君と楽しそうに何話してるの?」
動悸が激しくなる。聞き覚えのある声だ。あいつと1番離れた席に座ったはずなのに、、、
「あっ、綾香ちゃんじゃん。こいつが私のことでやきもち妬いてるってからかってたんだぁ」
「へぇ〜やきもちね。愛ちゃんと一ノ瀬君って仲良いよね」
「そんなことないよ〜。陰キャな創が可哀想だから絡んでるだけ〜。ねー」
「……………………」
「えっ、黙ってないでツッコミなさいよ。これじゃ私嫌な女みたいになるじゃん笑」
「………あぁ」
話が頭に入ってこない。綾香が近くにいると気分が悪くなる。小さい頃のトラウマを思い出してしまう。
「ねぇ愛ちゃん。私前から愛ちゃんと仲良くしたいと思ってたんだぁ」
やめてくれ
「嬉しい〜。綾香ちゃんみたいな可愛い子と仲良くできるの嬉しいよ〜」
「連絡先教えて〜」
「もちろん」
やめろよ
「今度遊びに行かない?」
「えっいいの?」
「どうせなら康太君とかも誘ってみんなで遊ぶのはどう?」
「それいいかもね」
やめろ
「創も一緒でいい?」
「もちろん。じゃあ今度愛ちゃんと私と康太君、一ノ瀬君の4人で遊びましょう」
「やめろよ。気持ち悪いんだよ」
気付かず、大声を出していた。一気に静寂が訪れた。
クラスメイトの視線が俺に集まる
「あっ、、、ごめ、」
すぐに謝るが場の空気は元には戻らない
「………どうしたのよ創。急に大声出して」
愛が心配そうな顔で俺のことを見る。
『何急に大声出して』
『一ノ瀬ってなんかおかしいと思ってたんだよな』
『あいつ急にキレたりするタイプ?』
クラスメイトのざわついた会話が聞こえる
やばい。やってしまった。そんなつもりはなかった。
綾香がまた俺の日常を奪うと思ってつい声が出た。
その時だった、
「おいお前、また高梨を傷付けるのか?」
なんだ「また」って。てか誰だよ。
声をする方を向くとクラス1のイケメンでサッカー部の平野が俺のことを睨んでいた。
「お前誰だよって目だな。お前のことは色々噂流れてきてるんだよ。お前が中学の時高梨のこと傷付けて泣かせるまで追い込んだって」
なんでこいつが知ってるんだよ。噂って県外まで広まるか?ほら案の定クラスメイトがざわついている。
『一ノ瀬と高梨さんって同じ中学だったの?』
『だから、前に高梨さん連れ出したりしてたのか』
『あれも、無理やりだったし高梨さん大丈夫かな?』
また好き勝手言われてる。何が無理やりだ。だから、綾香と関わるのは嫌だったんだ。全て嫌な方向にしか物事が進まない。
「ちょっと待ってよ。その話が本当かわからないし、創にも何か事情があったんじゃない?」
「そうだよ。噂だけで責めるのはおかしいよ」
こんな状況でも康太と愛は俺のことを庇ってくれている。俺は本当にいい友達を持った
「じゃあどうなんだ。お前が高梨を傷付けて泣かせたのは嘘なのか?」
詰んだ。
傷付けて泣かせたのは本当の話だ。ここで嘘をついても綾香と舞が本当の話をすればみんなはそっちの話を信じるし、本当の話と認めて事情を話しても、綾香の隣にいることの劣等感でボロクソ言ってフったことの事情なんて誰が理解してくれるんだ?
何を答えても俺は最低な人間でしかない。
「おい答えろよ」
最善手を取るしかないか。事情を話さず認める。これしかない
「その噂は本当だ。色々と事情はあるがそれは俺たち2人の問題で話せない。だが、綾香を傷付けることを言って泣かせたのは事実だ。」
「クズじゃねぇか。どんな事情でも泣かせるまで追い込むのは男として最低だ。」
「………………わかってる」
「高梨。こう言ってるが話は合ってるか?」
「彼の言うとおりよ。だけど私は許してるからみんなは気にしないで」
これで周りはこんなクズにも優しくする女神のように映るだろう。
嫌いだ。こいつの言動全てが鼻に付く。
「創、本当なの?綾香ちゃん傷付けたって本当?創がそんなことするようには見えな
「こいつはクズよ」
愛の言葉を山下舞が遮る
「中学の時、クラスで浮いていたこいつをみんなの輪に入れてあげたりしたのに最後にこいつは綾香を傷付けた。こいつのせいで綾香はどんなに悩んでたか、、、」
「本当なの創?」
「…………………本当だ」
「おい、創どうしてそんなことしたんだ」
もう俺はこのクラスでは居場所は無いかもな。
康太と愛でさえ俺に愛想尽かすに違いない。
帰ろう、、
「みんな楽しいクラス会の雰囲気壊してごめん。俺帰るからみんな気にせず楽しんで」
そう言い残し、俺はカラオケルームを去った
モチベにつながるので是非、評価お願いします
山下 舞・・・中学からの綾香の親友。めちゃくちゃ可愛い
平野・・・めちゃくちゃイケメン。1年生にしてサッカー部のエース。