おせっかい?
「へぇー、一ノ瀬君って本好きなのね」
「そ、そうなんだよ」
「意外とイメージあってるかも」
「私、本読むの苦手だから読めるの尊敬できる」
「そ、そんな大したものじゃないよ」
教室の一角が男女の声で盛り上がっている
「むー」
「こらっ、そんな目で見ないのっ」
舞が私の頭を小突く
「痛いよ〜」
「あんたが人殺しそうな勢いで睨んでたからでしょっ」
「だって〜」
「だってじゃない、めっ」
子供に対して叱っているようだ
「でも、綾香の思い通りじゃない?一ノ瀬がクラスに馴染めてるのは」
「思い通りなんてそんなことないよ〜」
「また謙遜して〜、あんたは策士よ策士よ」
策士か、、、そうかもしれない。
創君の良さを知って欲しい
ただそれだけの思いで、私はクラスのみんなに創君の良さを教えたり、馴染めるように積極的に行動した。
きっかけは私が作ったかもしれない。けど、馴染めたのは創君が良い人だったからだ。
私がいくら良さを触れ回っても、それだけではみんなの心までは動かせない。私はただ創君がみんなと話せる機会を作っただけだ。その機会をちゃんと活かしたのは創君自身だ。
「けどなぁ…………はぁ」
「ため息ついてどうしたの?」
「やっぱり、嫉妬しちゃうなぁ」
「あぁ、一ノ瀬が女子と話してることね」
「……うん」
「それが嫌だったから中々女子と仲良くするようには動かなかったのね」
「そ、そ、そんなことは〜ないけど〜」
「明らかに動揺しているのバレバレよ」
舞の言う通りだ。創君が私以外の女子と仲良くするのが嫌すぎて、中々行動に移せなかった。けど、やっぱりクラスに馴染んで欲しい気持ちが勝ったのでやっとの思いで行動した。
「綾香が動けば、すぐみんな仲良くなるなんてね」
「やっぱり、創君は魅力ある人だったんだね」
「そんなことは無いと思うけどね」
「どういうことよ」
「…………綾香は自分の影響力の大きさに気付いた方がいいよ」
「ん?何か言った?声小さくて聞こえなかった」
「ううん。なんでもないよ」
そう答えた舞は明るい話題とは裏腹に複雑な顔をしていた、、、
「綾香ちゃーん」
「あ、綾香のこと呼んでるよ」
創君と話していたクラスの女の子が私を呼んでいる。
さっきまで創君と話していたけど、話終わった様子だ。
な、なにかな?創君もいるから緊張するなぁ
「な、なにかな?」
「綾香ちゃんの言う通り、一ノ瀬君思ってたイメージと全然違うね」
「そ、そうなんだ」
「話しやすいよー」
「そうだよね!」
「綾香ちゃんのおかげだよ。ありがとうね」
「そ、そんなことはないよ〜」
やっぱり嬉しいな。創君が褒められているのは嬉しい。
「あ、高梨」
「は、はい?」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。
「は、創君?」
振り向くと創君だった。
「そのさ、、、」
「う、うん」
「あ、ありがとな」
「え、、、」
「高梨がいろいろしてくれたんだろ?」
「い、いや私は大したことは、、、」
「いや、わかるよ。高梨が俺がクラスに馴染めるように行動してくれたことはさ」
「………………」
「本当は自分で行動しなきゃいけないのに、高梨にやってもらって本当に申し訳ない」
「だ、大丈夫だから」
「なんか、高梨に迷惑かけてばっかりだな」
「そ、そんなことないよ!」
「前もグループ活動の時に変な空気にさせてしまったし」
「あれは私も悪いから、、、」
「いやいや、本当にありがとう」
私も伝えなきゃ
「は、はじめくん」
「なに?」
頑張れ私、勇気を出すんだ
「私ともまた仲良くしてくれますか?」
「………………」
「ど、どうかな?」
「………………」
「や、やっぱりダメだよね。私なんかと仲良くしたくないよね」
「いや」
「え?」
「もちろん、仲良くしようよ。別に仲悪くなってたわけじゃないけど、変に避けちゃってたからさ」
「…………ありがとう」
やっと、クラスでも誰の目も気にせず創君と話せる日がやってきた。
「あ、あと一ついいかな?」
「え、なに?」
「創君のLINE教えて欲しいな」
「え?」
「や、やっぱりダメだよね。仲良くするからといっても厚かましいよね。ごめん忘れて」
「いやいやいや、そんなことでいいのか?全然教えるよ」
「え、いいの?」
「当たり前だよ。てか、俺から教えればよかったよね」
嬉しい。ついに創君の連絡先を知ることが出来た。
「はい、QRコード」
差し出されたQRコードを読み込むと、アイコンの写真が設定されていない【一ノ瀬】と名前が設定されているアカウントが表示された。
創君って名字でLINEしているタイプなんだ、、、
可愛いな、、、
ピコン
LINEの通知音が鳴った
見ると創君からスタンプでメッセージが来ていた
創君の顔を見ると照れくさそうにしている。
「よろしくな」
「う、うん」
今日はなんていい日なんだろう。
創君との心の距離が縮まった気がする。




