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昔は仲が良かったヤンデレ美少女幼馴染になぜかいじめられてます  作者: アレクサンダー
フッたはずの幼馴染がなぜか一緒の高校にいて、俺のことをいじめてくる件
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友達作り

 今日も憂鬱だ。毎朝毎朝、この男と一緒にいないといけないことが本当に苦痛だ。


「綾香は今日もかわいいね」

「はぁ、どうも」

「ところで、いつ僕に優しくしてくれるんだい?」

「そんな日は来ないです」

「冷たいねぇ」

「…………」

「クラスはどうだい?楽しいかい?」

「そうですね。この時間の何倍も楽しいですよ」

「君は一会話につき、一回は皮肉を入れないと死んじゃうのかい?」

「そうかもしれないですね」

「そんなことより、一ノ瀬君とはどうだい?」

「は、はい?」


 急に創君の名前を出されるもんだから焦ってしまう。


「君は本当に一ノ瀬君のことが好きなんだね」


 会長はニヤニヤしながら話を続ける。


「でも、仲良くされたら妬けちゃうなぁ」

「してません。彼とはクラスメイトなだけです」


 この男に会話の主導権を握らせてはいけない。

 私が焦ったり、動揺することでこの男が調子に乗ってしまう。


「彼に彼女とかできたらどうするんだい?」


 嫌なことばかり言ってくる。

 そんなことが起きたら私はどうなっちゃうんだろう


「…………別にどうもしないですよ」

「ふーん。じゃあ大丈夫だね」

「なにが大丈夫なんで…………

「そろそろ会長選の準備もしないとね」


 話を遮られた。この人の嫌いな部分はこういった部分でもある。


「まぁ次の会長は綾香でほぼ決まりだと思うけど」


 そうだ。会長選もある。まだ時間はあるけど、私の心構えも含めて色々準備が必要だ。


 生徒会に入った当初は、会長になりたいなんて思っていなかった。けど、生徒会の仕事を続ける内にどんどんこの活動に誇りを持ち始めた。

 この学校をより良くしたい。そんな気持ちも芽生えてきた。だから、そのためにはどうしても会長になりたい。

 

 会長の脅しを断れなかった理由の一つでもある。会長選に勝つためには現会長の力添えも必要だ。今の私に会長に歯向かう勇気は無かった。


 

    ◇

 


 あれから1週間が経った。創君はより孤立している。前まではクラスのおとなしい男子という位置付けだったけど、今は完全にクラスから浮いている。理由はクラスの中心となっているメンバーに目をつけられているからだ。どうにかして私はこの状況を変えたいけど舞の忠告もあってか、中々行動に移すことができない。


 いつも、1人で楽しくなそうにしている創君を見て心が痛い。彼は1人でいることは慣れているとは思うけど、人から嫌われたりすることには慣れていないみたいだ。


 いじめのようにあからさまに無視されたり、暴力や暴言が浴びせられているわけではないから難しい。

 クラスメイトの印象が良くないだけ。


 舞の言う通り、私の行動は不自然だった。何をするにも創君を気にして意識してしまう。

 

 だから、やり方を変える。

 

 今の私と創君が仲良くしたり、話したりすると違和感があるらしい(私は納得いかないけど)。だから、私と仲良くしても誰も文句が言えないような状況にしたい。

 そのためには、このクラスのみんなと創君に仲良くなってもらいたい。


 まずは舞にこの話を伝えた。


「というわけだから、創君をクラスに馴染ませるように手伝って」

「はぁー、仕方ないわね。………わかったわよ。やるわ」

「ありがとう舞。本当にありがとう」

「あ、く、ま、で、これは綾香のために行動するわけであって一ノ瀬のためではないんだからね」

「も〜、舞はツンデレ大魔神だね」

「なにそのあだ名。手伝うのやめようかなぁ〜」

「ごめんって〜」


 私はこの計画のために、クラスの人間観察を始めた。

 クラスには当たり前だけど、いろんな人がいる。明るい人、おとなしい人、面白い人、真面目な人、こんな言葉では振り分けられないほど様々な要素を持った人間が集まっている。


 そりゃ、クラス全員が仲良くなることなんて不可能だ。こんだけいろんな人がいると、やっぱり合う合わないは存在する。

 逆を言えば、創君にもきっと波長が合う人はいるはずだ。その人と仲良くすることでクラスに馴染む突破口を開けるはず。


 創君と合いそうな人はあの人がいるなぁ。

 この数週間の人間観察によって、創君に合いそうな人を見つけた。同じ読書好きで、おとなしい性格の人。


 山田 真二(やまだ しんじ)君。この人しかいない。


 いつも山田君は放課後に教室に残って読書をしている。その時を狙って声をかけよう。



    ◇



「ねぇ、山田君。何読んでるの?」

「わっ、びっくりした。えっ、なんで高梨さんが?」

「いつも、山田君が放課後残って本読んでるから気になって声かけちゃった」

「あ、え、えーと、その」

「ごめんね〜、急に声かけて、私も本好きだからお友達になりたくてさ」

「そ、そうだったの」

「うん。何読んでるの?」

「あ、これは、その」


 山田君が本を私に見せないように隠す。


「えー、何の本か気になるなぁ」


 私がそう言うと観念したように私に本を見せてきた。


「あの、これライトノベルなんだけど、こんなの読んでるの気持ち悪いよね」

「えー、そんなことないよー」


 知ってる。君が読んでるその本、創君も好きなシリーズだから、、、もちろん私も全巻読んでいる。


「あっ、私も読んだことあるよー」

「えっ、ほんとに?」

「うん」

「高梨さんみたいな子が読んでるの意外だなぁ」

「全巻読んだけど面白いよねぇ」

「そ、そうなんだよ。僕はハマりすぎて何周も読んでるんだ!」


 そこから、そのラノベについて話して盛り上がった


「いやぁ、高梨さんがここまで語れるほど詳しいとは思わなかったよ」

「私も山田君と話せて嬉しいよ」

「高梨さんが、幼馴染の優子推しなのは意外だなぁ」

「えっ、なんで?」

「だって、優子って負けヒロインだからあんまり人気ないんだよね」

「ふーん。私は優子選ばない主人公にイライラするけどねぇ」

「えっ?」

「だって、こんなに小さい頃から仲良くて尽くして1番主人公のこと好きな優子が報われないのおかしいじゃない。間違ってる。世界の物理に反していると思うの。」

「ね、熱量が高いね。まぁ優子は最終的に主人公に選ばれなくて、狂っちゃっておかしくなっちゃうんだけどね」

「私ならそんなことならないけどね」

「えっ?何か言った?」

「なんでもない。なんでもない。それより、一ノ瀬君っているじゃない?」

「う、うん。いるね」

「彼も読書好きらしいから話合うと思うのよ。私以上に詳しいわよ」

「えっそうなの?」


 私の思い通り山田君は目をキラキラしている。

 私の観察では彼は趣味を語れる友達を欲していた。

 だから、彼に創君の話をすれば食いつくと思った。


「話してみたいなぁ」

「話しかけたら?一ノ瀬君も友達欲しいと思うし」

「う、うん。わかった。話してみる。ありがとう」


 これで計画の第一歩が進んだ。創君がクラスに馴染むための一歩だ。

 

 

 

 

 



短編書いたので、興味ある方は是非お願いします!

「幼馴染は俺と付き合いたいらしい」


僕のページから見れるので是非見てください

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