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昔は仲が良かったヤンデレ美少女幼馴染になぜかいじめられてます  作者: アレクサンダー
フッたはずの幼馴染がなぜか一緒の高校にいて、俺のことをいじめてくる件
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幸せな未来のため

「じゃあこうしよう」

「なんですか?」

「僕が卒業するまで、付き合ってくれないか?」


 は?意味がわからない。どのような思考回路で付き合ってくれませんか?なんて言えるんだろう。


「会長。流石に気持ち悪いですよ」

「ははは。冷たいねぇ。そんな君も好きだけど」

「私は好きじゃないです」

「話を最後まで聞いてよ」

「聞きません。さっさと、どこかに行ってください」

「僕は、()()()()付き合ってくれと言ったよね」

「それがどうかしたんですか?」


 卒業までとか関係ない。何で会長と付き合わなくちゃいけないんだ。絶対に嫌だ。


「ゲームをしよう」

「ゲーム?」


 本当にこの人は何を言ってるんだ?


「ゲームの内容は僕の卒業まで君には僕の偽装彼女になってもらう」

「偽装彼女?」

「そうだ。君には僕の彼女のフリをして、僕の卒業まで偽装だと誰にもバレなかったら、その後君に関わらないと約束しよう」

「…………断ったら?」

「そしたら、一ノ瀬君が僕から君を寝取ったと噂を流すだけだ。」

「…………そんなことしたら許さない」

「あぁ怖い怖い。その目で僕を見ないでよ」


「ちなみに、いくら君が人気者でもこの学校においては僕の方が影響力が大きいことは知ってるだろ?」


 それは本当だ。会長の手にかかれば、1人の生徒の印象操作なんて簡単だ。


「デマで一ノ瀬君が追い詰められることになったら、彼どうなっちゃうかな?」


 想像したくない。今の創君は目立つことを嫌う性格だ。そんな状態になったら、耐えられるのだろうか?


 いや無理だ。絶対に耐えられないと思う。

 会長から私を奪ったなんて噂が流されたら、創君の心は壊れてしまう。そんなことになったら、創君との関係は終わってしまう。一生彼と関わることなんて出来ないだろう。

 

 そんなの嫌だ。4年間離れていただけでも私の心は壊れそうなほど辛かった。一生関われないことになったら私の生きる理由が無くなる。


「…………………本当に会長が卒業するまで付き合えば終わるのね?」

「それは約束するよ。まあ、その間に僕のことを好きになってもらうけどね」

「……………………」

「もちろん、家族、友達、そして一ノ瀬君にも偽装カップルだとはバラしてはいけない。バラした時点で噂は流す」

「…………少し考えさせてください」

「明日までは待つよ」


 気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。

 会長と付き合うなんて考えただけで吐き気がする。

 私には創君しかいない。創君しかいないんだ。


 創君以外と付き合うなんて創君に対する裏切りではないのかな?

 誰かと付き合った女なんて相手にしてくれないかも


 けど、


 けど、


 創君が傷付くところは見たくない。会長ほどの人望と影響力があれば創君を陥れることなんて簡単だ。私がどうにかできる問題ではない。


 創君に嫌な思いはさせたくない。

 私なんていくらでも創君の身代わりになれる。


 それに、私たちは絶対に結ばれる運命なんだ。

 運命の相手ならどんな困難も乗り越えられるよね?

 

 思いは決まった。


 けど、最後に、最後に創君に会いたい。


 私は学校へと戻った。



「はぁはぁはぁ、は、はじめ君」

「あれ、綾香。会長と帰ったんじゃなかったの?」

「ちょっと用事があって戻ってきたの」

「そうだったのか。俺も今から帰るとこ」

「そ、そうだよね。私も用は済んだから一緒に帰ろうよ」

「え、大丈夫なのか?」

「う、うん。一緒に帰ろ」


 最後にどうしても創君に会いたかった。


「一緒に帰るのは久しぶりだな」

「そうだね」

「…………」

「ん?創君どうかした?」

「綾香が元気無さそうだと思ってさ」

「そ、そんなことないよ」


 創君には悟られてはダメだ。

 創君の前では明るくて可愛い私でいたい。


「あ、あのさ」

「ん、なんだ?」

「私たちって運命だと思わない?」

「運命?」

「一回離れたけど、またこうやって仲良くなれるの運命だと思うんだ」

「確かにそうだな」

「私たちの運命はどんなことがあっても終わらないよね?」

「ん?まぁそうだな。綾香とは仲良くしたいし」



 創君も運命感じてくれてる!

 私だけの気持ちじゃなかったんだ!嬉しいよぉ


「私はずっと創君のことが好きだから」


 思わず、溢れてしまった言葉。言った瞬間恥ずかしくなってしまった。

 創君の顔が恥ずかしくて見れない。

 キモいって思われてないかな?


「もちろん俺も好きだよ」


 予想外の返答に私は驚いた。


 え!どういうこと?私のこと好きってこと?

 嬉しい、嬉しいよ。私たちやっぱり運命なんだね。


 浮かれていた私は「もちろん友達としてね」という声は聞こえていなかった。


「ねぇ、創君」

「ん?」

「手つなごっか?」

「え、え、えー」

「ダメ?」

「そんな顔されたら断れないよ」


 笑って私に手を差し出してくれた。私も握る。


「なんか昔に戻ったみたいだな」

「ふふふ、そうだね」

「昔はよく綾香が俺に引っ付いて手つないでたよな」

「むー。創君からもつないできてたもん」


 他愛のない話をして一緒に帰る。

 こんな日々が私にとって幸せだ。

 ずっとずっと、こんな関係が続くといいな。


「じゃ、俺の家こっちだから。またね」

「は、はじめ君」

「な、なに?」

「私にとっては創君が1番だから。それはずっと変わらないから」

「う、うん。よくわからないけど気持ちは伝わったよ」


 創君と絶対結婚する。私たちは運命なんだから。

 そのためにも、一つずつ一つずつ試練を乗り越える


 さっき、1年分の創君をチャージ出来たから頑張れる

 頑張れる。頑張れる。頑張れるんだ。

 



 【次の日】


「答えは決まったかな」

「…………はい」

「僕と付き合うかい?」


 私は2人が幸せになれる未来のために動くだけだ。



 

 

「会長が卒業するまで付き合いましょう」

 

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― 新着の感想 ―
偽装だろうが、クズ野郎の提案を飲んでどーするのさ? それこそ今度こそ終わっつしまう…と思えなかったん? 「断る」と殴り飛ばすなり噛み千切るなりして歯向かえよ…。
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