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昔は仲が良かったヤンデレ美少女幼馴染になぜかいじめられてます  作者: アレクサンダー
フッたはずの幼馴染がなぜか一緒の高校にいて、俺のことをいじめてくる件
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振り向かせたい

「釣り合ってないかぁ」


 さっき舞に言われた言葉が頭に響くように忘れられない。

 そのせいで、授業にも集中できない。


 どういう意味なんだろう。

 私なんかじゃ創君の彼女になれないってこと?

 もっと勉強とか頑張って創君に見合う相手にならないとダメなのかなぁ?


 下校中に、さっきの言葉の真意を舞に聞いてみた。


「舞」

「ん、なに?」

「さっきの釣り合ってないってどういうこと?」

「へ?」

「舞が私と創君が釣り合ってないって言ったじゃん」

「ああ、あれね」

「うん。私なんかじゃ創君につりあってないってこと?」

「逆よ逆。一ノ瀬が綾香と釣り合ってないってことよ」

「?」

「なんで分からないのよ」

「分からないよ」

「はぁ、そもそも綾香はお嬢様じゃない」

「まぁうん」

「その時点で一ノ瀬とは釣り合わないんだけど」

「え、なんで?」

「いや一ノ瀬って普通の家庭じゃん。お嬢様の綾香とは生活のレベルが違うし」

「そんなのさ、、、」


 舞が話していることは事実だ。だからといって、釣り合わないというのはよく分からない。家の話であって私達には関係ないと思う。


「けど、それはお父さんがすごいだけで私は普通だよ。別に釣り合ってないとか意味分かんないよ」

「そうだね。ここまでは家の話。だから別にお金持ちじゃなくても一ノ瀬が釣り合うほどの人間だったら問題はないよ」

「え?」

「一ノ瀬って秀でた能力が無いじゃない。かっこいいわけでもないし、頭が良いわけでもない。スポーツも出来ない。全て出来る綾香とは全く釣り合ってないのよ」

「そ、そんな」

「性格も暗いし、私からしてみれば人間性も終わってる。綾香とは正反対よ。」

「ひどいよ、そんなことない」

「これは私の意見じゃなくて、みんな思ってることよ」

「そんなことないよ」

「綾香は盲目になってるから気付かないだろうね」

「なんでそんなこと言うの?」

「私は綾香のためを思って話してる。もっと言うと、一ノ瀬のためでもある」

「どういうこと?」

「一ノ瀬が綾香と付き合ったら不幸になる未来しか見えないわよ」

「わかんない、全然わかんないよ」

「わかった。じゃあ、今度から一ノ瀬と話す時に周りの目も気にしてみて」

「どうして?」

「私の言ってる意味も分かるはずだから」

「…………」

「一ノ瀬の幸せが綾香の幸せなら関わらないことが一ノ瀬の幸せになると思うわよ」

「…………考えとく」


 舞の話には納得出来る部分と出来ない部分が混在していた。創君の幸せが私の幸せなのは本当だ。

 けど、私達が釣り合ってないって理由だけで創君を諦めたくはない。お互い好きだったらそんなことはどうでもいいと思うから。


 とにかく、舞の言う通り明日から創君と接する時は周りの反応もちゃんと見てみよう。



【翌日】


「あっ創君だ」

「あんた、一ノ瀬見つける速度早すぎるわよ」

「そ、そうかな」


 話しかけてもいいよね?

 舞に言われたこと、ちゃんと気をつけながら話せばなんの問題も無いと思うし。


「創君」

「あ、綾香」

「あ、あのね。創君がおすすめしてくれた本読んだよ」

「そ、そうなのか」

「予想外の展開すぎて面白かった」

「お、おう」


「綾香、周り周り」


 舞がまた囁いてくれた。

 周りを見ると、確かに私たちは注目を浴びていた。

 こんな廊下で話してたら目立っちゃうかな?


「ごめん創君。あっちの人気の少ないところで話そう」

「う、うん」

「さっきの続きだけど……」

「ちょっと待って綾香」

「え、なに?」

「綾香大丈夫?俺なんかと話してて」

「え、どうして?」

「いや、だって、、、」


 創君が何か言いたそうだ。


「まぁ、お前がいいならいいけどさ」

「う、うん」


 しばらく創君と話していたが、創君は会話に集中できてない様子だった。


「は、はじめ君」

「ご、ごめん。なんの話だっけ?」

「いやいいよ。ごめんね。また今度話そうね」

「じゃ、じゃあまたな」


 そう言うと、創君は安心したように去っていった。

 舞が言ってる意味がなんとなく分かってきた。


「わかった?」

「うん」

「綾香と話すだけで、あんなに注目されちゃうのよ。一ノ瀬の性格的に耐えられるかしら?」

「…………うん」


 否が応でも理解できた。確かに創君とは仲直りできた。けど、あの頃とは全てが変わってしまっているのだ。私を引っ張ってくれた創君はもういない。注目されることを嫌う彼にとって私と話すことは、はたして楽しいのかな?


「けど、けどさ」

「うん」

「やっぱり私は仲良くしたいよ。創君とせっかく仲直りしたんだからさ」

「綾香は一ノ瀬とどうなりたいの?」

「そ、それは…………もっと友達になりたい」

「それだけ?」

「え?」

「友達止まりでいいの?」


 私は悩んでいた。前までは少しでも話したい、関われたらそれでいいって思ってた。けど、いざ仲直りしたらもっと欲しくなってる自分がいた。

 デートしたい、手繋ぎたい、ハグしたい、もっともっとそれ以上の欲も出てきてしまった。


「い、いやだ」

「何が嫌なの?」

「友達のままは嫌。友達以上の関係になりたい。」

「一ノ瀬がそう思っているかは分からないよ」

「そ、それは」

「どうするの?」


 前までは、創君の幸せが私の幸せって即答できていた。けど、今は違う。私にとっての幸せを創君の幸せにしたい。私と恋人になることが、創君にとっての幸せであってほしい。


「創君を振り向かせる」

「どうやって?」

「そ、それは、まだわかんないけど」

「一ノ瀬以外なら簡単なんだけどね」


 思いつかない。まだ()()に戻っただけで、数年間離れていた心の距離は存在している。


「正直、綾香と一ノ瀬の距離感って昔仲良かった友達みたいな感じだよね?」

「そ、そうかも」

「連絡先とか知ってるの?」

「知らない」

「学校でしか繋がりないの?」

「う、うん」

「うーん。どうしたらいいのかね。周りの目もあるから学校では話しずらいし」

「それだ」

「綾香急にどうしたの?」

「そうだよ。周りから納得させないとダメなんだ。」

「どういうことよ」

「外堀から埋めていけばいいのよ」

「どうやるのよ?」

「これは徐々に実行しないとダメかも。卒業まであと2年くらいあるから、その間にみんなの目が気にならないくらいにする」

「そんなこと出来るのかね」


 創君と結ばれるためならなんだってやる。

 私は心に決めた。

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