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昔は仲が良かったヤンデレ美少女幼馴染になぜかいじめられてます  作者: アレクサンダー
フッたはずの幼馴染がなぜか一緒の高校にいて、俺のことをいじめてくる件
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怖くないです

「わかったわかった。あんたが一ノ瀬と話せて嬉しいのは伝わっているから」


 舞が投げやりに私に言う。


「そんなこと言わないでよ〜」

「何回も同じ話聞かされてる私の身にもなってよ」

「むー」

「けど、やっぱり不思議だよね。綾香のことあんなに嫌っていたのに話しかけてくるなんて」

「うーん」


 私としては、話せるようになっただけで嬉しいけど、舞の疑問も分かる。


「私からすれば、都合良いようにしか見えないよね」

「え、どういうこと?」

「だって、綾香が人気者で可愛いから擦り寄ってる可能性もあるじゃない」

「そんなことない!私が全部悪かったから創君が嫌うのも仕方なかったんだよ」

「全部悪いって、、、あんたが何したのよ」


 それはわからない。何で急に創君が私に冷たくなったのかは全然わからない。

 けど、知らないうちに私が傷つけちゃったんだろう


「まぁ、一ノ瀬に何か心境の変化があったんだろうね」

「そうだといいな、、、」

「私は綾香が幸せになるならどんな道でも応援するから」

「ありがとう舞」


 それからも度々、図書委員長の代理として創君が集まりに出席することがあった。

 生徒会では私が図書委員への説明を担当しているので、自然に会話する機会も増えていった。

 もちろん私から話しかけることはない。創君が話しかけてくれたら会話をしている。


 この、月に1度あるか無いかの時間が私にとって楽しみになっていた。


 けど、今日は創君が話しかけてこない。

 久しぶりに創君が代理で出席したので話せるのを楽しみにしてたのにな、、、


 話したい。話したい。話したい。

 けど、私なんかが話しかけたらダメだよね。


 いつも創君と話す時間を作るために、早めに作業を終わらしている。そのおかげで、毎回15分程度は雑談したりする時間ある。

 最初は当たり障りない話しかできなかったけど、今は学校での話や勉強の話までできるようになった。

 

 私のことも「高梨さん」呼びだったけど、今は「高梨」呼びになっている。本音を言えば「綾香」呼びをして欲しい。プリント拾ってくれた時にしてくれたけど、あれ以来呼んでくれたことはない。

 けど、呼び捨てにしてくれるってことは距離縮まっている証拠だよね?


 今日は、全く話しかけてこない。

 どんどん時間だけが過ぎる。

 何か元気が無さそうだし、無理に話しかけない方がいいのかな?

 けど、話したいよ。

 話しかけてもいいかな?ダメかな?

 どうしよう。なんて声かければいいの?

 あと少ししか時間はない。


「あ、あの、元気無いですけど大丈夫ですか?」


 振り絞って声をかけた。


「ん?」

「元気が無さそうに見えたので、声かけちゃいました。」

「………………」

「そうですよね。私なんかに心配されても迷惑ですよね。話しかけて本当にごめんなさい」

「………………」

「私はどこか行くので安心してください。本当に余計なことしてすいません。」


 選択間違えちゃった。

 あーあ、せっかく距離縮まったと思ったのにな。

 また元通りだな。


 泣きそうになるのを堪えてその場を離れる。

 その時だった。


「待ってよ」

「え?」

「俺何にも言ってないじゃん。どこかに行けとか言ってないしさ」

「返事が無かったので、余計なことしてしまったと思いまして、、、」

「いやそんなことないよ。ちょっと考え事しててさ」


 よかった。私のこと不快に思ったわけではなさそう


「そうだ。高梨って頭良かったよね」

「い、いえいえ」

「前もテスト1番だったじゃん」


「だからさ、勉強教えてくれない?」

「えっ?」


 どういうこと?どういうこと?どういうこと?

 創君に勉強を教える?誰が?もしかして私?


「ダメかな?」

「も、もちろん。い、いいですよ」




 集まりが終わった後、なぜか私と創君は2人で図書室にいる。昨日の私に教えてあげても信じないだろう。


「じゃあ今日元気無かったのは、勉強のことで悩んでたからなんですね?」

「そうなんだよ。赤点になりそうな教科があってさ、そのこと考えてたら暗い気持ちになっちゃって」

「そうだったんですね」


 よかったぁ、私のせいだと思っちゃった。


「けど俺、クラスで頼れる人いなくてどうしようかと悩んでたんだよ」


 それで私に勉強教えてくれって言ってくれたのかな


「で、悩んでたら高梨が声かけてくれてさ。よく考えたら高梨って頭めちゃくちゃ良いし教えてもらえたら最高だなって思ってさ」

「逆に私なんかでいいのかな?って思ってます」

「いやいや、十分だよ。本当にありがとう」


 嬉しいな。こんなに幸せな時間があるなんて。


「高梨、ここの問題なんだけどさ」

「はい」

「これって解き方これで合ってる?」

「はい。その解き方も素晴らしいのですが、私が1番解きやすい方法はこの解き方です」

「えっそうなの?」


 あっ、余計なこと言ったかな?こっちの解き方の方が早く解けると思ったけど、余計なこと言っちゃったかな


「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

「何急に?」

「私なんかが余計な提案して申し訳ないです」

「え?」

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」

「いや怒ってないし、余計な提案とも思ってないよ」

「そうなんですか?では、勘違いしてしまって本当にごめんなさい」

「大丈夫だから」


 しばらく勉強を進め、今日は終わることにした。

 図書室を出て、自然な形で並んで歩く。

 もしかして、一緒に帰るなんてあるかな?

 そんなこと起きたら今日が命日だよ。

 

「高梨、本当にありがとな」

「いえいえ、私なんかが一ノ瀬君のお役に立てたかは分からないですが、、、」

「そんなことないよ」


「あのさ」

「はい」

「ごめん」

「え?」

「高梨俺のことビビってたでしょ?」

 

「別に大したことしてないのに謝ったり、ずっと俺の機嫌伺ってたりしてたし」

 

「けどさ」

 

「高梨が俺に萎縮するの当たり前だよな。あんなに避けてた奴が急に話しかけたら怖いよな」

「い、いや、そんなことは、、、」

「ごめん。もう話しかけないから安心して。高梨もこんな陰キャに絡まれるの嫌だよな」


「本当にごめん。今までのこともごめんな。それじゃ」


 創君が急いで私の前からいなくなろうとする。


「待って」


 創君は歩みを止めないで去ろうとする。


「待ってよ」


 創君に私の声は届かない


「待ってって言ってるでしょ」

「お、おい」


 私は走って創君に後ろから抱きついた。


 

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