不幸な星の下
今思えばあの日は不自然だったんだ。
「あれっ、課題忘れた」
絶対に持ったはずの、課題が無くなっていたり
「まぁ、後でいいか」
「いや、教室に探しに行った方がいいぞ」
「面倒だなぁ」
「絶対教室にあるって」
「じゃあ行くかぁ」
康太が執拗に教室に課題を探しに行くように促したり
「あれ、誰もいない」
普段は数名は教室に残ってるはずなのにいなかったり
「静かだなぁ」
小さな違和感が潜んでいた
「俺絶対、バッグに入れたはずだけどなぁ」
結局、課題のプリントは机の上に置かれていた
急いで、正門で待ってる康太のところへ戻った
「机の上にあったわ」
「だろ。絶対あるんだって」
いやお前の目の前でバッグに課題のプリント入れたけどなぁ。俺の勘違いかな?
気になるところはあったが、気のせいだと思い込んで、帰路についた。
「また明日な創」
「おう、またな」
その日は久しぶりに自然に眠れた。
久しぶりに熟睡できた。気分良く目覚めていつものように登校をした。そんな気分の良い朝だったが、教室がとんでもない騒ぎになっていた。
『誰が盗んだんだ』
『このクラスに変態がいるぞ』
『愛ちゃん可哀想ね』
何があったんだ?愛がどうかしたのか?
「おい、康太。何の騒ぎなんだこれ?」
「おう、創じゃねーか。俺もよくわからないんだが、最近クラスの女子の私物が無くなることがあるって前話しただろ?」
「そんな話あったな」
「今日は、愛の物が盗まれてるらしいんだよ。」
「ええっ」
「それも体操服らしいぞ。愛が昨日使って、持って帰るのを忘れてたらしいんだが、今日見たら無くなってるらしい」
「やばいなそれ」
愛を見ると明らかに元気がない様子で、クラスの女子に慰められていた。
後で話聞きに行こう。今ちょっと人が多いから近寄れないけど、、、
「みんなちょっといいですか」
クラスの級長が教室の前に立ち大きな声で呼びかける
「今、クラスの異常事態だと思うんです。だから一度クラス全体で話し合いの機会を作ろうと思います。」
なんだなんだ。級長ってあんなこと提案するタイプじゃなかったよな。級長だって誰もやらないから押し付けられたはずだし、、、
「あと、この話し合いの機会を作ろうと提案してくれたのは綾香ちゃんです。話し合いは綾香ちゃんが仕切ることになるので、みんなちゃんと話聞いてください」
おとなしい級長がこんな提案するとは思えない。
何か嫌な予感がするな。
「級長から話にあった通り、今クラスの緊急事態だと思います。前からクラスの女子の私物が盗まれることは度々ありましたが、体操服は一線を超えています。先生に許可も取っているので詳しい話は6時限目のHRの時間で話し合いましょう。」
綾香は驚くほどにクラスを掌握していた。誰1人綾香の意見に異を唱える人はおらず、賛同の声さえ上がっていた。
『さすが綾香ちゃん』
『綾香ちゃんみたいな人がクラスにいてくれてよかった』
何が流石だよ。どうせ何かあるに決まってる
その日1日は授業に一切身が入らず、嫌な予感だけがしていた。
【6限目のHR】
「はい、みんな朝に言った通り話し合いをしたいと思います。」
綾香が教壇に立ち、クラスを見渡して話す。
「最近、このクラスで女子の私物が盗まれることが多々起こっています。盗まれた状況を見ても他のクラスの人の犯行とは思えません。不審者の情報も無いことから、このクラスに犯人がいると考えられます。」
綾香の話していることの筋は通っている。だけど、教室に監視カメラも無いんだし、どうやって犯人特定とかできるんだ?
「そして昨日、池田愛さんの体操服が盗まれました。目的は何かわかりませんが愛ちゃんは非常に嫌な思いをしています。」
愛を見ると恥ずかしそうにうつむいている
『体操服狙うのはマジの変態じゃん笑』
『キモすぎる』
確かに体操服は変態感強いな。俺は気持ちわからないけど
「愛ちゃん、昨日のいつ頃まで体操服はあったの?」
「昨日は、、、帰りの準備するまでは体操服があったのは覚えているの。忘れないように机の横に掛けておいたんだけど、他の人に呼ばれて話したりしてたら掛けたこと忘れちゃったの」
綾香の問いに対して愛は恥ずかしそうに答える
「ということは、放課後クラスに入った人が犯人であることが濃厚かもね」
いや、そんなの何人いるんだよ。たくさんいて逆に絞れないだろ。俺もそうだし
「だったら絞れるわね」
委員長が自信満々に言う。
「そうだね。昨日の放課後はクラス全体でコンピュータ室で、2学期の学祭に向けて話し合いしてて、全員教室の鍵が閉まる18時までコンピュータ室にいたからね。」
は?聞いてないぞ。そんな会があったことなんて
「えっと、その会に参加していない人は確か10人くらいいたわね」
「その内、5人は部活動で参加できなくて、3人は病欠よね。後2人は、桜井君と一ノ瀬君だけじゃない?」
俺の学校の教室は防犯上18時で警備員が閉める。だから、その時間までコンピュータ室にいたクラスの大半は体操服を盗むことなんて不可能なんだ。
「一ノ瀬君と桜井君は昨日なにしてたの?」
綾香が俺たちに問いかける。
そうだ。俺は康太と一緒に帰った。俺の潔白は康太が知ってるはずだ。
「昨日はー、創と2人で帰っただけかなぁ」
そうだよな。俺ら2人は関係ない
「けど、創は忘れ物したから教室に戻ってたなぁ」
康太?
「それは本当なの一ノ瀬君?」
戻ったのは本当だ。けど、けど、
「…………教室に戻ったのは本当だ。けど、俺は一切盗んだ覚えはないし何も知らない」
クラスがざわついている。一気に俺が犯人だと疑われている。
「そうね。一ノ瀬君が盗んだところを見た人はいないし、戻っただけでは何の証拠にもならないわね」
そうだ。現に俺は何もしていない。
「だったら、持ち物検査でもすればいい。創も俺も潔白を証明したいし」
康太が提案をする。
これは良い提案かもしれない。
「じゃあ昨日休んだ3人以外の荷物チェックとロッカーの確認をしましょう」
そうして、荷物チェックが始まった。部活動でいなかった5人と俺ら2人の荷物チェックが終わり、あとはロッカーの確認のみとなった。
部活動組のロッカーには何もなく、次は俺の番になった
「この中にいないのかもね。不審者の線もありえるかも」
そう呟く級長。まぁ俺もその意見に賛同だ。
「あれっ」
俺のロッカーを調べていたクラスメイトが声を上げる
「一ノ瀬君のロッカーから、、、」
そう言って取り出したのは愛の体操服だった。
「はぁ?あ、あり得ないって」
思わず叫んでしまった。あり得ないのだ。今日何度かロッカーを開けたが体操服なんてなかったはずだ。
「一ノ瀬君これはどういうことかな?」
級長が俺に問いかける。それと同時にクラスメイトの厳しい視線が俺に突き刺さる
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