康太視点② / 外伝愛視点
康太視点②が思った以上に短かったので、愛視点も書きました。是非評価お願いします!
「ねぇ、愛ちゃんを桜井くんの物にしない?」
「どういうことだ?」
「あなたが愛ちゃんを好きだってことは分かってる」
「……………」
俺は愛のように見てわかるほど好意は出してないと思うが、この女なんでわかったんだ?カマかけてるのか?
「カマかけてるわけでもないのよ」
こいつエスパーか?
「私は人の好意を読み取れるの。長年好きな人がいることで知らずに育った洞察力ね」
超能力じゃねーか
「聞いてやる。わざわざ声かけたってことはお前も話したいことあるんだろ?」
「話が早いわね」
前から変わった女だと思ってた。愛と同じようにこの女も創のことを見る目が人とは違う。愛に比べてドス黒い視線だったけど。
なんにせよ、俺にメリットのある話なら是非聞きたい
「まずは、愛ちゃんについて話があるの」
「創のことじゃないのか?」
「いいえ。愛ちゃんについてよ。実は愛ちゃんはね………
これは、、これはやばい。
そう思うほどに綾香が語った話と見せてくれた写真は衝撃的なことだった。
「おい、その話俺以外に話したりしてねぇだろうな」
「桜井君以外には話していないわ」
どうやって調べたのかもわからない。この写真が広まったら愛の人生は確実に終わる。
「さっきの話の通りなら愛は本当は創のことが好きじゃ無いんだな?」
「そうよ。あとこの写真を使えば確実に創を陥れることができる」
「俺がすることは何がある?」
「特に無いわ。今まで通り創君と仲良くしてあげて。そしてその時が来たら確実に愛ちゃんを手に入れてね」
「わかった」
あの写真をどう使うのかは気になるところだが、俺は愛を手に入れるためならなんだってやる。
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外伝 愛視点
創が綾香ちゃんを傷付けたことがあると聞いた時は正直ショックだった。どんなことをしたのかはわからないけど、思い描いていた創とは違う。
その反面、嬉しくもあった。創の弱い部分が見れたし、綾香ちゃんとの関係もなんとなく見えた。
私は初めて創を見た時から惹かれていた。運命かと思った。直感で私たちが付き合う未来が見えた。性格も優しい創をどんどん好きになっていった。
だからこそ、創が綾香ちゃんを意識していることもすぐに気付いた。どんな意識をしているのかは分からないけど、明らかに特別な目で綾香ちゃんを見ていた。同様に綾香ちゃんも創に対しての態度は他の人と違っていた。
誰にでも優しくて愛想が良いみんなの人気者な綾香ちゃん。だけど、誰に対してもバリアを張ってるように見えた。みんなを受け入れてるようで、誰にも本心を見せない。そんな綾香ちゃんが明らかに創に対して特別な思いを持っていることに気付いた。
授業中、ふと創を見ると創の視線が綾香ちゃんに向いていることは何回もあった。
私が創と話している時に視線を感じる時、いつも目が合うのは綾香ちゃんだった。
2人はどんな関係なんだろう?両想いなのかな?もしかしたら隠れて付き合ってる?だったら嫌だな
せっかく見つけた運命の相手を絶対に手に入れたい
綾香ちゃんが相手だったら絶対叶わないから、2人の間には何もありませんようにと、毎日願ってた。
そんな私にカラオケでの騒動はショックの感情の後に、嬉しさが込み上げて来た。
2人の関係は良くない。少なくとも創は綾香ちゃんのことを良く思っていない。それが確認できただけでも嬉しかった。
創には悪いけどチャンスだと思った。創がクラスで孤立すればするほど、私くらいしか話しかける人はいない。創を独り占めできる。落ち込んだ創を慰めて私だけのものにしたい。
今誰も教室にいない。創の寝顔を1人だけで堪能できる
名残惜しいけど、そろそろ1時限目の体育が始まるから起こさなきゃ。
「わっ」
「!!!」
びっくりしている創も可愛い。
「なんだ。愛か」
「なんだとは何よ。驚きすぎて声出てなかったじゃない」
「お前の幼稚な行動に言葉出なかった、だ、け、だ」
こんな軽口を言い合える関係を一生続けて行きたい
だからこそ、
だからこそ、
「私だけは創の味方だからね」
一生離れないから。そんなことを創に抱きつきながら思った。