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03新しい護衛


「ジュリア!」


重々しい会議が終わるや否や、ウィリアムはジュリアのもとに急ぎ足で駆け寄った。


「今朝は顔色が悪かったが、体調でも崩したのか?」


ジュリアを見つめる緑の瞳は、不安を隠しきれず揺れていた。

ジュリアは一瞬躊躇したが、やがて静かに目を伏せた。


「怖い夢を見たの」


その言葉を聞いた瞬間、ウィリアムの表情が曇る。

彼はジュリアが見る悪夢を知っていた。

悪夢――それは、父王の死の記憶だった。

父の最期を最初に目撃した幼かったジュリアは、その光景があまりに衝撃的で、今でもその記憶が彼女を苛むのだ。


「花の匂いがしたの。お父様の部屋中…」


ジュリアの言葉を聞いてウィリアムの胸は痛む。

父は母が死んでから、徐々に憔悴していった。

部屋で亡くなったのを発見された時も、誰もが愛する妻を亡くしたからだと納得した。

しかしジュリアが父の部屋で嗅いだと言う花の香りの話を聞くたびに、ウィリアムは父の死の謎に向き合わざるを得なかった。

あの時、開け放たれた窓、そしてジュリアが感じたという花の香り――それらは兵士たちにも確認されなかった。

そして彼女が動揺していたこともあり、周囲は深く追及せず、父は埋葬された。


ウィリアムはジュリアの頭を撫でる。

歳の離れた妹がもうすぐ18を迎えようというのに、心の中の彼女はいつまでも自分を追いかけてくる小さな少女だった。

もう大丈夫。

甘やかしてくれる兄に、少し恥ずかしさを覚えながら、兄の手を退ける。

笑顔を見せると、ウィリアムは心底ホッとしたような表情になった。



だが、穏やかなひとときはすぐに破られた。

後ろから二人の男が現れる。

一人は先ほどの会議にも出席していたトネール領の領主。

そしてその後ろに、静かな佇まいを持つ黒髪の青年が控えていた。


「陛下、レオンをお連れしました。年はかなり若いですが、我がトネール領が誇る最も腕の立つ武人です」


領主がそう紹介すると、青年は一歩前に進み、ウィリアムに深々と最敬礼した。


「よく来てくれたね、レオン。会えて嬉しいよ」


ウィリアムは朗らかにそういい、右手を差し出す。

レオンも少し戸惑いながら左手を差し出して握手を交わした。

ウィリアムは自身の後ろに立つジュリアの背を優しく押し、彼女をレオンの前に促した。


「さぁ紹介しよう。私の妹ジュリアだ」


レオンは再び剣の柄を握り、ジュリアに最敬礼した。

ジュリアは背の高いレオンを見上げ、少し戸惑いながらも、礼儀正しく会釈をする。


「ジュリア、こちらは君の新しい護衛のレオンだ。これからとにかく何をする時も、彼をそばに置きなさい」


ジュリアは苦笑しながら軽く肩をすくめた。


「護衛だなんて、大げさだわ。何も危険なんてないでしょう?戦争でも起きるの?」


だが、ウィリアムはその軽口に微笑むことなく真剣な眼差しを向けた。


「最近、他国で争いが続いているし、物騒なことが多い。だからこれは兄としてのお願いではなく、王命だ」


過保護すぎると反論しようとしたが、王命と言われると逆らえない。

納得がいかないまま、ウィリアムに頷いた。


ジュリア ー ネフェルタリ王国の王女。この物語の主人公

レオン ー ジュリアの護衛。ネフェルタリ王国最強の男

ウィリアム ー ネフェルタリ王国の現国王。ジュリアの兄

アルナム卿 ー 宰相。政治の中心地を治めるアルナム領領主

オーベン卿 ー 交易の拠点として栄えるオーベン領の領主

ベルク卿 ー 穀倉地帯を持つベルク領の領主

レガロ卿 ー 土木技術が優れるレガロ領の領主

トネール卿 ー 騎士たちを率いるトネール領の領主

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