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忘れて  作者: yukko
8/15

娘が生まれたのに、夫は不倫していた。

離婚だけは嫌!

愛してるから嫌!

貴方の妻で居たい!

でも、夫は帰宅しても見向きもしない。

私は、私と娘は捨てられた?

その日、全ての家事を終えて眠れなかったからコーヒーでも飲もうと思った。

台所で料理酒が目に入った。


「これを飲んだら眠られる?」


料理酒を料理にしか使わなかったのに飲んでしまった。


「お酒、飲んだこと無いけど……なんかフワフワ……。」


その日からお酒が無いと眠れなくなった。

料理酒ではなく日本酒を買って飲んだ。

美味しいと思って飲んでいたのではない。

飲まないと生きていかれなかった。

生きていかれないと思っていた。


娘に暴言を吐くようになっていったらしい。

覚えていない。

娘が手首を切った。

慌てて救急車を呼んだ。

それを娘は幾度も繰り返した。


「もう、止めて!

 そんなにお母さんを責めるの?

 お母さんだけが悪いの?」


泣きながら横たわっている娘に言っていたそうだ。

娘が結婚した時、夫は出席した。

内情を知らなかったら娘を嫁がせる父と母……仲が良い家族に見えたのかも……。

あれから、直ぐに娘が不倫して家を出て行ったと聞いた時、「父親の血を引いているからだ!」と叫んでいたそうだ。

飲酒によって記憶が定かではなくなっていた。

娘が不倫して出て行ったと聞いてから、より一層、飲まないと生きられなくなった。

あの日、娘から電話が架かって来た。

不倫して出て行ってから初めてだった。


「手首、切っちゃった……。」

「どこにいるの?」

「家……。」

「家ってどこなの?」

「………あのね……。」


途切れ途切れに娘が住所を言った。

私はタクシーを呼んで娘の家に行った。

娘は手首から血を流していた。

直ぐに手首をタオルで縛り付けた。

そして、救急車を呼んだ。

救急車が到着するまでの間、私は浴室に流れている娘の血を洗うようにシャワーで流した。

それからは……救急搬送された病院で茫然として居たら、病院の事務の人から入院の手続きをしないといけないと言われた。

私はちゃんと文字を書く自信が無かった。


「そうだ。彼なら……。」


そう思って、娘の元夫に電話した。

元夫は来てくれた。

後は全て元夫に委ねた。

これなら安心できる、そう思ったから家に帰った。


私が悪かったのだろうか?

私のせいで娘はリストカットを繰り返すのだろうか?


ただ、一つ嬉しかった。

娘が私に電話を架けてくれたこと……嬉しかった。


あれから、娘は元夫の所から出て行ったそうだ。

今は、どこに居るのだろう?


お母さんが真面(まとも)だったら、違っていたって娘は怒るだろう。

酷い母だったと今は思う。


「お母さんね。今、精神科で治療してるのよ。

 治ったら、治ったら……謝らせて……。」


治ったら娘に会いたい。

許して貰えるなら………

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