元妻
どうして?
どうして、あんな親なの?
父は家に居ない時がある。
お金には不自由しないくらい家に入れている父。
でも、父不在のような家庭。
母は昼間からお酒を飲んでいる。ずっと前から……
二言目には言われる。
「あんたが居るから離婚できないのよ。
あんたのために離婚しないでいるんだからね。」
感謝しろとでも言うの? お母さん……。
何故? 帰って来ない日があるの? お父さん……。
私のせいで離婚できないの?
離婚したいのに出来ないの?
じゃあ、私が居なくなればいいのよね。
居なくなるわ。消えるわ。
そうしたら、お母さん、お父さんと離婚できるでしょう。
そう思って初めてリストカットした日。
助けてくれたのが、元夫だった。
まだ、大学の頃……。
その頃、「付き合って!」と言ってくれた元夫と付き合い始めたばかりだった。
あれから……大学を卒業して直ぐに元夫がプロポーズしてくれた。
家を出られるのだ。
OKした。
元夫のことを嫌いではなかったけれど、愛していたのか分からない。
自分のことだけで精一杯だった。
結婚して直ぐに、心ときめく相手に出逢ってしまった。
私が急に明るくなって、元夫は喜んでくれたけど……
それは、愛する男性が与えてくれた喜びだったからだ。
そして、私は家を出て愛する男性の元へ走った。
もう、何も要らない。
あの人さえ居てくれれば他には何も要らない。
そう思っていた。
記入済みの離婚届を置いて家を出たから、きっと直ぐに離婚出来ていると思っていた。
でも、現実には直ぐじゃなかった。
1年程かかってしまった。
離婚出来てから1年後に愛する男性と籍を入れた。
でも……夫になった彼のことを信じられない駄目な私だった。
浮気していないのに、夫がほんの少し帰宅時間が遅くなると不安が大きくなって……。
愛されるという自信が無かった。
あの日も振り向いてもらいたくて手首を切った。
でも、慌てて……「こんなことしたら嫌われる!」と思って、何故だか母に電話してた。
母はずっと怒ってた。
そして、病院へ入院させられた。
そこからは、夫に会えないまま……
何故か元夫が居た。
もう訳が分からなかった。
流れるままに、流されるままに、私は退院後少しだけ元夫の家に居た。
スマホを返してもらって、スマホを見ると夫からの着信履歴が一杯だった。
メッセージも一杯だった。
「どこに居るんだ?」
「既読になっていないから不安だ。」
「警察に相談した。」
帰ろう! 夫は私を待っていてくれる。
私はそのままで夫との家に向かって走った。
着いて入ると、部屋は目茶苦茶だった。
片付けながら、メッセージを送った。
直ぐに電話が架かって来た。
「どこに行ってたんだ? 探したんだぞ。」
「ごめん。……愛してるわ。貴方だけよ。」
「急に、どうしたんだ?
俺が愛してないと思った?
俺が愛してるのはお前だけだよ。
早く帰るから、待ってて!」
「うん。待ってるわ。」
やっぱり、夫でないと私は駄目。
世話をしてくれた元夫には悪いけれども……。
二度と会うことは無いわ。
私は今やっと幸せになれたのよ。
もう二度と間違えないわ。




