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忘れて  作者: yukko
6/15

俺の気持ち

この選択が間違っているかどうかなど、あの時は分からなかった。

一番愛した女性が自殺未遂をした。

俺に連絡してきたのは、彼女の母親だった。


「あ……出てくれたんだ。」

「どうしました?」

「あの子ね。自殺未遂してね。」

「えっ?」

「今、病院なのよ。」

「どこですか?」

「ショートメール送るわ。来てね。」

「はい。」

「それから、後のこと頼むわね。」

「俺にですか?」

「貴方、あの子の夫でしょ。」

「元、夫です。」

「一緒じゃない。」

「違いますよ。」

「じゃあ、頼むわね。貴方にしか頼めないから……。

 よろしくね。」

「あ……切られた。」


⦅自殺未遂?……どうして? 幸せじゃなかったのか?⦆


俺は病院へ急いだ。

入院手続きなどして、今日が彼女の誕生日で約束してたことに気付いた。


⦅忘れてた。ヤバ。 電話しよう。⦆


その時まで別れた元妻のために過ごすことなど頭に無かったんだ。



電話をして彼女の声を聞いた。

言いにくかったが言わないといけなかった。

段々、彼女の様子が可笑しくなった。

当然だ!と今は思うが、その時は元妻の容態と今後のことが頭の中を占めていた。


「良かったね。彼女と二人で幸せになってね。さようなら。」


そう彼女が言った。

その彼女の言葉を聞いて、この恋を俺が終わらせたと分かった。

それがあの時の俺の選択だった。

だから、「すまなかった。」と言って、電話を切った。

後で店をキャンセルしてくれた彼女に「ありがとう。」とメッセージを送ろうとしたが、送れなかった。

慌てて電話した。

電話は着信拒否されているようだった。

メッセージは送れなくなった。

その時に「終わったんだ。」ということがハッキリした。

胸に苦しい痛みが生じた。

失いたくなかったんだと……分かった。


元妻とまた生きていく……彼女を……捨てるようなことまでして……俺は「今度こそは守る。」と心に決めた。

ただ、元妻は視線すら合わせなかった。

「また、リストカットしたら……。」という想いだった。

愛されていないことは承知の上だった。

元妻のスマホは見なかった。怖かったのだ。

退院が決まった時、元妻の母親は「お願いね。」と全て俺に任せた。

父親も同意の上だということだった。


「俺の家しかないけど……。」

「嫌よ!」

「……そうだね。……でも、行く先が無いんだろう?」

「………。」

「行く先が見つかるまで居なよ。それしか今のところ仕方ないんだから、ね。」

「………。」


返事はなかったが、親からの連絡が無かったことで仕方ないと思ったようだった。

元妻は退院すると暫くの間、俺と一緒に暮らした。

ある日会社から帰宅すると居なかった。

「あぁ~、前と同じだ。」と思った。

この選択は、彼女を傷つけただけだった。

謝りたかった。


元妻が退院後暫く居た俺の家を出て行った日、元妻の父親が入院費用を持参してきた。


「どうして、今頃なんですか?」

「すまない。君には申し訳ないことをした。」

「もう、出て行った後ですよ。」

「……出て行った………。」

「今はどこに居るのか分かりません。」

「そうか……遅かったんだな。」

「もう、俺は何もしません。俺には俺の人生があるので……。」

「そうだね。今まで甘えて申しわかなかった。」

「もうお会いしたくありません。」

「そうだね。………本当に申し訳ない。」



元妻がどうなったのか分からない。

どこかで生きていてくれればと願っている。

もう二度と命を絶つというようなことをしないで欲しい。

俺は間違っていた。

自惚れていた。

俺なら元妻の心を理解し、守ることが出来ると思っていた。

家庭の複雑な事情を教えて貰ったから……。

だが、違っていた。

救えなかった。

他の男性の方が俺よりも相応しかったんだと分かった。

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