俺
再婚してから何となく日々を過ごしている。
今の妻の連れ子は男の子で、結婚した当初は小学1年生だった。
その後、子どもには恵まれなかった。
子どもは一人だけだ。
急に父と呼べなかったと思う。
俺も父親と呼ばれたいと願って結婚したわけではない。
だが……息子は愛らしかった。
「お父さん」と初めて呼んでくれた日は嬉しかった。
40歳になって、息子と酒を飲める幸せを感じている。
今の妻は、経済面と周囲の人の評判で俺を選んだと最初に言っていた。
経済面と虐待をしない人との結婚をすると決め、周囲の人から薦めらたからだ。
母親として当たり前なのかもしれない。
息子を「俺の息子」と思えない夫だった。
夫として最低だったと思う。
何かにつけ息子に「流石。お父さんね。」と言ってくれていた。
今の妻は妻なりに「この結婚で息子を不幸にしない。」と決めていた。
それも、結婚当初に言われていたから知っている。
「妻」は「妻」よりも「母」なのだと思っている。
俺の心の中に誰かが住んでいることを妻は気づいているが、知らぬ顔をしてくれている。
その心の中の彼女も俺の心の中で変化していって……今は、「若い頃に深く傷つけた女性」になっている。
「愛している女性」ではなくなって、「愛していた女性」に変わったのだ。
妻と息子との日々が、現実が、俺の心の中を変えたのだと思う。
ただ………今も彼女の幸せを願っている。
それだけは、これから先、何十年経っても変わらないだろう。
「君を大切に出来なかった俺が、今の家族を大切にしている。
君から見れば、許したくないことだと思う。
許してくれなどと言えないことも……知っている。
ただ、君の幸せを願る気持ちに、祈る気持ちに嘘はない。
愛していたから………。
今、君は幸せ?
君には不幸から遠い人生を歩んで欲しい。
幸せで……いてほしい。」




