天喰らいのアルテマ
ネタバレあります。気をつけてください
天喰らいのアルテマとは、天災と呼ばれる化け物の一体である。
アルテマは旧世界の生物であるだけでなく、旧世界でも遥か太古の時代から生き続けている化け物だ。
その見た目は四足歩行の生き物であるが、現在繁栄しているどの生物とも似ても似つかない。
全身を黒い毛皮と思われるもので覆われているのだが、光の吸収率がとても高く、どんな光も飲み込んでしまう。
そのため、アルテマの姿を視認することは出来ず、その場に黒いモヤがかかっているように見える。
アルテマはその体毛のせいで全身を見ることが出来ないため、その大きさを測ることが出来ないが、最低でも体長は10メートルを超えていると推測されている。
その戦闘力も恐ろしく、アルテマの命を狙った天理を葬り去ることが出来るほどである。
そして、アルテマは天理を葬り去る際、彼のことを喰らい、その力を奪っていることから天喰らいと呼ばれている。
これほどまでの力を持っているアルテマであるが、その性格はとても温厚である。
基本的に人前に姿を現すようなことはせず、世界のどこかでひっそりと隠れながら暮らしている。
あまり殺生なども好んでおらず、ただ平穏に暮らしたいと思っている。
アルテマは普段は誰にも見つからない場所で一人ひっそりと暮らしているが、時に神や人間などの知能指数の高い生物が支配する世界にやってくる。
これは彼らのような生物たちが形成する社会を気に入っているためであり、アルテマは人間たちに紛れて散策している。
特に食べ物や歴史的建造物が好きであり、食べ歩きをしながら歴史的建造物を見て回っている。
そんな知的生命体を愛し、平和主義者である反面、その強力な力を欲する者やアルテマのことを危険視する者たちに命を狙われている。
常に命を狙われているため、平和主義で争いを好まないアルテマはその姿を隠すことを強要されてしまう。
アルテマは望むならば、この知的生命体が支配する世界にその身を置きたいと考えているが、その願いは叶うことはない。
基本的にアルテマは自分の命を狙う者と戦闘になっても逃げるか、相手を戦闘不能にして逃げることが多い。
しかし、天理のように世界最高峰にして絶対に逃げ切ることが不可能な相手が来た場合にのみ、相手をこの世から葬り去る。
アルテマは本当に心優しいため、最後の最後まで相手のことを説得しようと試みるが、その試みは基本的に失敗に終わっている。
中には彼女の説得に応じ、見逃す(アルテマよりは弱いため、見逃されると言った方が的確)者もおり、そういう者はアルテマの協力者になってくれる場合もある。
だが、アルテマの協力者になった者の全ては彼女を狙う者たちの手によって命を落としてしまった。
そのため、アルテマはいつしか協力者を作ることはなかった。
そのようにして、逃亡生活を続けてきたアルテマであるが、ついにその逃亡生活に終止符が打たれる時が来た。
最強にして最恐、無敵にして頂点、究極生命体である創に見つかってしまった。
創は遥か昔からアルテマのことを狙っていた。
それは力を奪うためではなく、自分のテリトリーの危険を排除するためである。
いや、それはあくまでも大義名分のための言い訳であり、ただ目障りに思っただけなのだろう。
創はアルテマに襲いかかった。
アルテマは創のことを説得しようと必死に言葉を投げかけた。
しかし、創にはその声が届かない。
いつもならどんな相手でも言葉に耳を貸す彼であるが、何故か今回の彼は全く聞く耳を持たない。
きっと、空腹による暴走状態にも陥っていたのだろう。
そうして、アルテマは創との戦いに臨まざるおえなかった。
だが、アルテマも最初から分かっていた。
彼にはどう足掻いても勝てないと。
最初のうちはアルテマの方が優位であった。
それも圧倒的にだ。
しかし、創は不死身である。
そのため、いくらアルテマが殺したところで彼を仕留めることは出来ない。
それに、創は一度殺した程度で止まるような男でもない。
彼は無限に立ち上がり続ける。
アルテマが逃げる隙を作ろうと全身を吹き飛ばそうとも、拘束しようが創が止まることはない。
そして、彼には最強たらしめるその圧倒的な適応力により、アルテマは少しずつ押されていく。
最終的に創は完全にアルテマの力に適応し、一方的に嬲り殺した。
そうして、アルテマと創との戦いは幕を閉じ、アルテマは死んだかのように思えた。
だが、アルテマは生きていた。
アルテマは創の天地創造に巻き込まれる前、己の分体を生み出し、外へ逃がしていた。
そして、創に殺される前にその分体へ魂を移動させていたことで何とか生き残ることが出来た。
しかし、生き残ったものはいいものの、創に気づかれないように力を大きく削いだ体であったため、その肉体スペックは極めて弱い。
その強さは人間の子供程度だ。
それだけなら良かったのだが、魂の方も創からの攻撃によって大きく削がれ、瀕死寸前まで疲弊しているため、その圧倒的な神秘を振るうことも出来ない。
そのため、アルテマは根源の中でも比較的安全であるオリジンかつ、弱小生物しかいない下位の世界である人界に流れ着くことを願っていた。
アルテマと創が争った場所は根源の外にある虚無の世界である。
虚無の世界には何もないことから、生き残ったとしても長く彷徨っていると創に見つかってしまう。
彼の索敵能力は異常そのものだ。
なので、アルテマは創から逃げ切るためにも多くの生物たちが住まう根源に辿り着くことが生き残るための最低条件である。
その中でも比較的安全であるオリジンにアルテマは辿り着きたいと思っていたのだ。
まあ、オリジンは創のホームグラウンドであるため、辿り着いたとしても直ぐに別の根源へ移らなければならないのだが。
それでもある程度力を取り戻すために隠れるのには向いており、根源であるオリジンも創のことが好きであるながらも行き過ぎた行動は止める。
そして、創からアルテマへの仕打ちは行き過ぎたものであるため、オリジンが創に見つからずに他の根源へ移動できるようサポートする可能性は高い。
だが、アルテマは源理に見放された。
アルテマが辿り着いた先は現在でも未開とされ、天理だけでなく、原理ですら開拓していない世界であった。
その世界はどの根源にも所属していない特殊な世界であり、名前すらも決まっていない。
アルテマもこの世界のことは知っており、流れ着いた際、絶望した。
それでもアルテマは必死に生き残ろうと頑張ったのだが、その頑張りも虚しく、直ぐに捕食者に見つかってしまう。
必死に抵抗し、逃げようと奮闘するも今のアルテマでは捕食者から逃げ切るなど不可能であり、直ぐに捕まる。
そして、命の終わりが見え、今まで我慢していた涙が溢れ出し、その生涯で一度も使ったことのない助けを小さな声で呟いた時、彼女を狙っていた捕食者は何者かの攻撃によって生き絶えた。
アルテマが状況が分からずに困惑していると一人の男がやってくる。
その人物は神国アヴァロンの現宰相にして、特務機関パンドラの所長であった。
アルテマは所長に助けられた後、特務機関パンドラの秘匿部隊に所属することになり、今では思い人と結ばれたのだった。
今でも創のことはトラウマであるらしく、彼と会うことは出来ていない。
色々と知らない単語出てきたと思いますけど、その解説回を待つか、アヴァロンの更新が進み、出てくることを願ってください。質問してもらえれば、答えれるものは答えます。質問はX(旧Twitter)のDMなどで受け付けております。別にこの話のコメントでも構いませんよ。後22日に設定資料集の更新あります。