絶え間なく成長する陰
第八降臨者【絶え間なく成長する陰】とは、最強にして最悪の寄生型概念生命体である。
絶え間なく成長する陰は第八世界で誕生した概念生命体であり、種族はドッペルゲンガーと呼ばれるものだ。
このドッペルゲンガーの由来は絶え間なく成長する陰であり、彼の者の名がそのまま種族名として定着した。
このドッペルゲンガーという種族は寄生型概念生命体であり、他人に寄生し、第二の人格となる。
そのため、このドッペルゲンガーに寄生された者は後天的な多重人格者となる。
そして、ドッペルゲンガーは他人に寄生しても寄生した宿主を乗っ取ることは出来ず、あくまでも共生という形となる。
なので、ドッペルゲンガーに寄生されたからと言って宿主の人格がなくなるという実質的な死は起こり得ない。
逆に、寄生している宿主が死んだ場合、ドッペルゲンガーも死んでしまう可能性が高いため、彼らは友好的である。
ドッペルゲンガーは全員共通の能力として、寄生した宿主の影を媒介として瓜二つの分身を作り出し、それを操ることが出来る。
この影は寄生した宿主と全く同じ性能をしており、見た目だけでなく、魂まで瓜二つのため、他人が見分けることは難しい。
巷でよく聞くドッペルゲンガーはこのドッペルゲンガー種が元ネタだ。
ちなみに、ドッペルゲンガーに会ったら近いうちに死ぬというのはただの噂だ。
実際はドッペルゲンガー種に寄生されると強力な力を手に入れるため、死ぬどころか寿命は大幅に伸びる。
何なら、強力な不死性を手に入れられる。
強力な不死性を手に入るなら、宿主が死ぬことはないのではと考えるかもしれないが、それは間違っている。
あくまでも強力な不死性であり、完璧な不死性ではない。
そのため、何らかの手段を用いれば、殺すことが出来るということだ。
この世で完璧な不死性を持っている者などただ一人しか存在しておらず、源理イデアですらも完璧な不死性ではない。
まあ、彼の場合はほぼ完璧な不死性と言っても過言ではないが。
他にも既に死んでいることから、これ以上死ぬことはない天国の番人なども存在しているが、あくまでも完璧な不死性に近いだけであり、完全ではない。
完全な不死性を持っているのは源理の代行者のみだ。
ドッペルゲンガーだが、誰しもが寄生されるわけではない。
あくまでも個々のドッペルゲンガーたちと相性が良い者のみが寄生することができ、適性がない者に寄生すると、拒否反応により、死に至る。
そして、ドッペルゲンガーと相性のいい者たちはそのドッペルゲンガーたちと性格や価値観面も相性が良いため、寄生される方も快く了承することがほとんどだ。
ドッペルゲンガーと寄生された者は一つの体を共にすることもあり、仲が深まり、彼らは家族のような存在になる。
兄弟であり、親子のようでもある。
ドッペルゲンガーは他人に寄生して生きる生命体にしては気性はとても穏やかであり、平和主義者が多い。
これは相手により寄生しやすくするための進化であると窺える。
これが一番大きな点であるが、ドッペルゲンガーは相手に無理やり寄生することはしない。
無理やり寄生したところで宿主との仲が悪くなってしまうため、ドッペルゲンガー間でも推奨されていない。
これは時と場合であり、寄生しようとしている宿主が危機的な状況に陥っている時などは例外である。
この無理やり寄生しないことが功をなし、宿主とドッペルゲンガー間での問題はほとんど起こらない。
そして、ドッペルゲンガーという種族は概念生命体であることから、何かしらの概念を司っている。
炎を司っている場合、ドッペルゲンガーに寄生された者は炎の権能を手に入れる。
それも神、いや、超越者と同程度の権能だ。
中には超越者をも超え、天理と同程度の権能を持つドッペルゲンガーも存在していた。
そして、この絶え間なく成長する陰は天理すらも超え、原理と同程度の力を持つとされている。
それに、絶え間なく成長する陰は普通のドッペルゲンガーと違い、三つの権能を保有していた。
普通ならば、一人のドッペルゲンガーにつき、権能は一つであり、ごく稀に二つ持つ者もいた。
しかし、歴史上絶え間なく成長する陰以外で三つの権能を持つ者は存在しておらず、彼がいかに異質かを象徴している。
そんな絶え間なく成長する陰の持つ権能は進化、増殖、模擬の三つだ。
永遠に止まることのない成長を続け、全てを模擬していき、増殖するという圧倒的な力。
そんな絶え間なく成長する陰に寄生され、共生できた者は存在していなかった。
彼の圧倒的な力に誰も耐えられなかったのだ。
しかし、ある時から絶え間なく成長する陰の存在が消えた。
絶え間なく成長する陰が消滅したからではない。
これは絶え間なく成長する陰が誰かに寄生したことで起こる現象だ。
そして、現在まで絶え間なく成長する陰は捉えられていない。
そのことから、ついに絶え間なく成長する陰の適合者が現れたことが分かった。
それは一体誰なのだろうか?
いまだにその詳細は不明である。