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苦手な方はご注意ください。

kurokuro 短編小説集

バウンティKing

作者: kurokuro

「さぁ、狂いまくれ」


ここは日本。世界最悪国家日本。そして今いる町はそんな日本の中でももっとも最悪な場所。西地区。又の名を犯罪の町。

二千五百年、世界は混乱に満ちた。アメリカの不景気、世界有数の超国家は廃れ、小さな国々は混乱により破滅を迎えて行きそんな国々のことを ≪破滅した国≫、と呼んだ。そして、二千五百五年世界は戦争が行われた。超国家と ≪破滅した国≫ による大きな戦争だ。そして、二千五百五十年、長きに渡る戦争は終結した。そんな中、日本はどことも戦争をしなかった。理由? 簡単。自身の国が内戦を行ったからだ。自由を求める関西と、秩序を守る関東との内戦だ。その内戦は、もっとも恐ろしいものだった。そして、日本のほとんどの県と地域は荒廃し、廃れ、終わったのだ。内戦の結果はもちろんのこと関東が勝利をした。武器と人員そして、統率力による勝利だった。そして、関西は終わったと思ったが、関西の科学技術が関東に目をつけられたことにより、完全なる支配は免れた。だが、関東は関西に ≪関東警察署≫ を置いた。そして今、関西は自由人の集まったことにより出来た町 ≪犯罪の町(オオサカ)≫ となってしまった。自由なのだ、それゆえに犯罪もよく起きるのだ。


<00>


そんな町で過ごす一般人が一人、それが私です。≪犯罪の町≫ で生まれ ≪犯罪の町≫ で育った女です。今年で十八となります。仕事は、ちょっとした工場で働いています。人生それなりに謳歌してます。楽しんでます。

「あ~疲れた~ん? なにニュース?」

家に着くなり早々にベッドにinする私のスマホが鳴る。ニュースの通知だ。

「なに~また ≪賞金首(デッドマン)≫ 最近多いな~なぜでしょうね~物騒な世の中ですね~」

≪賞金首≫ このまちの犯罪者の中の犯罪者であり死人。見つけしだい警察に殺される、その場で。そのようなことが平然とやられるから ≪賞金首≫ と呼ばれる。そして、私のような一般の人たちのことを ≪一般人(ライブマン)≫ と呼ぶ。別に殺されたり捕まったりするわけでもないがこの町だと ≪一般人≫ なんて少ないのだ。絶滅器具種なんて言われたりする。さて、今日はもう寝ますか。とそんな時だった。ピンポーンとチャイムの音がなった。

「・・・こんな時間に、お客さん? 時間を考えてくださいって」

ドアについてる小さな窓 ー名前があるのかは知らないけどー そこから覗く。男の人? ジャージにスポーツパンツ。ポッケに手を突っ込んでる。

「は~い。今開けますね」

チャカ。ん? チャカ? 私は拳銃を突き付けられていた。

「なんで?」

「ア? お前が ≪依頼人(マスター)≫ だろう? まったく、こんな時間に呼び出すとは、世間知らずか?」

は? 何言っちゃてんの? この人。大丈夫かな?

「・・・殺す」

殺すゥ? いきなり、って

「危ないな~当たったらどうするんですか?」

私は二歩下がる。単純。筋肉と、足の動きさえ見れば、予測できる。今のは、右足が一歩前に出たから、左手のストレートって予測できる。犯罪は日常茶飯事だよ? これぐらいの自己防衛術は持っとかないと生きていけない。さて、次は、体が少し、下がる。この動きは拳銃を狙う動き。

「あっ」

「チェックメイト、だ」

この人、強い。最初の動きはハッタリ、拳銃の標準を確実に合わすために。なら、私がすることは、足下を狙った回し蹴り! 少しジャンプして、かわす。空かさず首元を持ち、家の中に投げ入れる。そのまま、彼に向かってのし掛かる。

「これが、チェックメイト、よ」

「・・・ギブアップだ」

「・・・・・・」

「聞こえなかったか? ギブアップと言っている」

ん? ああ、ごめん。あまりに呆気なかったから。そっと手を放す振りをして、拳銃を奪う。

そして、向ける。銃口を。

「なんだ、撃たないのか? なら、返せ。ガキにはまだ、早い」

ちょっと怒った。ガキって身長的には、私の方が上だと思うのだけれど。

「質問。まず、あなたは何歳?」

「・・・十五だ」

年下じゃん! ガキってあんたの方がガキだからね。

「次、何の用?」

「依頼だ」

「何の?」

「・・・・・・殺しの」

じゃあ

「あなたは」

「殺し屋だ」

殺し屋、 ≪賞金首≫ 。賞金、三十億五千万。数々の富豪や ≪関東警察≫ を殺し、裏社会の顔とも、言われている。あの、殺し屋。なんと言うか、

「思ってたのと違う」

「失礼だ」

でも、私殺しの依頼なんてしてないよな。

私はマンションの五階に住んでいる。もしかしてだけど。

「部屋番号は?」

「302」

「ここ、301ね」

・・・部屋間違えてた。賞金、三十億五千万なのに。部屋を間違えていた!

「さて、どうするか?」

「聞かないで」

一応放す。

「もうじき、他のやつも来るってのによ、ハァ」

頭をポリポリとかきながら、言う。え? 他のやつ?

「殺し屋さ~ん!」

女の声! 名前を呼びながら、殺し屋に抱き着く。え~と、多分、十六? ピンクのジャンバーに赤いニット帽。確か、四十六億三千万の掃除屋。

「殺し屋さん。殺し屋さん。この、女は誰ですか? キレイにしますけど」

怖! 目が怖い! 殺される!

「落ち着け、間違えてチャイムを鳴らしてしまった部屋の住人だ、一応非は俺にある」

一応? 私に何の非があるのやら。

「応! 殺し屋、部屋を間違えるなんて、まだまだ子供だなぁ!」

「うるさい、殺人鬼」

殺人鬼! 賞金、八十九億五百万の! おお、近づいてくる。

「スマンナ、嬢ちゃん。殺し屋が世話になった」

「世話になんかなってない」

「アアン! お前が先走っていくからだな! 兎に角、謝れ!」

そう言いながら、殺し屋の頭を無理矢理下げる。

「オイ、アタシの殺し屋を」

鋭い目。さっきとは全然違う。

「保護者を気取るなら、ちゃんと目を張っておくことだな」

「保護者じゃない。彼女だ」

何その情報。私知らない。

「何! 彼女なのか! おい、殺し屋どうなんだ?」

「違う。掃除屋が勝手に言ってるだけだ。信じるな」

自称彼女の掃除屋。本当の所はどうなのだろう。

「 ≪依頼人≫ を待たせてはいけませんよ? 三人とも、それに、その人困っていますよ」

青を基調とした、パーカーに、黒の野球坊の男の子。賞金、二十六億五百万の改造屋兼ハッカー。

「ハッハッ! 確かにこれ以上は迷惑だな、では、行くぞ、二人とも。それから、嬢ちゃん。コレを持っとけ、ちょっとした詫びだ」

そう言って殺人鬼が小型のナイフを渡す。其を私は懐に入れる。

「じゃあねぇ~」

殺人鬼と掃除屋が出て行く。

「君は?」

「・・・じゃあな ≪一般人≫ 」

そう言って出て行く。ちゃんと扉を閉めて。

「ハァ~これでやっと寝れるぅ」

その瞬間だった。部屋のベランダガラスが割れる。 青の制服。 ≪関東警察≫ ! そして、青と言うことは、 ≪抹殺部(ショケイニン)≫ 嘘でしょ。 ≪抹殺部≫ は唯一武器の持ち運びを許可され ≪賞金首≫ が居れば、躊躇も情も無しに ≪抹殺(ショケイ)≫ をする。言わば今、会ってはいけない人物ナンバーワンである。なぜなら、私は ≪賞金首≫ を知っているから。

「こちら、ナンバー ≪005(ファイブ)≫ ターゲットを確認」

不味い、不味い、不味い! 恐怖で動かない。

「来い」

 

<01>


「それで、 依頼はなんです? 僕たちは全員に別々の依頼をして。それに、モニターで、依頼をするなんて」

【○✕☆ーーーーズズ、聞こえているかい? 君たちには、ある物を奪ってほしい。詳しく言うと、この町の地下にある、爆弾を。そして、僕の所に持ってきて欲しい。頼めるかい? それから、後ろに居る人は連れかい?】

「ア? 後ろ? ってアンタ」

「どうも~助けて欲しいなぁなんて」

頭に拳銃を突きつけられながら、言ってみる。どうやら、私は拳銃に好かれているみたいだ。あと、少しだけグッと頭に押し付けられる。ちょっと痛い。

「殺し屋。お前のせいでどうやら、嬢ちゃんが危ないことになってるぞ」

本当だよ! もっと言ってやれ~!

「・・・五秒だ。その後は何とかしろ。殺人鬼」

そう言うと、否応なしに弾丸をブッぱなした。血が飛び出る。どうやら、当たったみたいだ。それに付け加え拳銃も落とす。今なら逃げれる。私は走って殺し屋の方に行く。ん? アレ? おかしいな。私は、 ≪一般人≫ どうして、 ≪賞金首≫ の方へ?

「クッ、だが、貴様等の関係は見えたぞ」

左目を抑えながら言う。どうやら、弾丸は左目を直撃したらしい。後ろがピカッと光る。ベランダガラスからだ。ヘリのプロペラの音。それと同時に玄関からは複数の ≪抹殺部≫ がいた。

「え? え? え! アワワワワ、どうしよう、どうしよう」

「チッ、面倒だな」

どうしてそんなに呑気に言えるの、殺し屋!

「 ≪依頼人≫ は絶対」

そう言って今度はモニターに対してブッぱなす。

「キャ~絶体絶命ですね~殺し屋さん。燃えますね」

よく女の子がする動き(手で口を隠すアレ)をする。何だか楽しそう? だが、そんなことも言ってられなかった。ベランダガラスが割れる。どうやら、そちらからも入ってきたみたいだ。

「どうやら、囲まれたみたいですね。四方八方国の犬だらけです」

やっぱり呑気?

「俺が全員殺る」

殺し屋が、少しヤル気を出す。

「殺し屋だけじゃ心配だ」

殺人鬼が殺し屋の頭を撫でながら言う。

「そうですね。キレイにした方が手っ取り早いです」

アレ~この流れ、もしかして。

「あっ僕は遠慮しておきます。非戦闘員なので。その代わり逃走経路は考えておきます」

良かった。全員で戦う! みたいな流れだったら守ってくれなさそうだし。私は心の中でガッツポーズを取りつつハッカーに近づく。

「 ≪一般人≫ さん。僕、本当に戦闘はダメですよ。ですから、守って下さいね」

え? 嘘でしょ。何て、思ってられなかった。ほぼ一瞬。ほぼ一瞬にして、殺された。殺し屋の射撃によって。状況が飲み込めないなか、ナンバー ≪005≫ が剣を取り出し私に向かってくる。もう一度、言う。 ≪抹殺部≫ は殺しても良い。が、止められる。殺し屋に。

「おい、コイツは、 ≪一般人≫ だろう? お前らが殺していいのは、 ≪賞金首≫ だけじゃなかったか?」

「ハッ何を言う。 関東法律、第五条。 ≪賞金首≫ を ≪抹殺≫ するためなら、何をしても良い。また、 ≪賞金首≫ に加担した、 ≪一般人≫ は絶対的に、 ≪抹殺≫ せよ。ちゃんと法律で守られている」

そう、守られている。例えそれが冤罪であろうと。 ≪抹殺≫ する。それが、 ≪抹殺部≫ の仕事だから。


<02>


数十分の激闘の後、私は ≪賞金首≫ と一緒に地下に来ていた。ハッカーさんの助言により、現在の私は ≪抹殺部≫ に首を狙われている身。なら、 ≪抹殺部≫ の標的である、 ≪賞金首≫ と一緒に居たら、良いとのことだ。敵の敵は味方。さて、説明は終わりにして、間もなくターゲットの所だ。ターゲット=爆弾。この、国の地下に在る、爆弾。 ≪賞金首≫ に依頼したのだから、相当ヤバイ物なのだろう。何て、考えていたら、どうやら目的地に着いたらしい。

「これが、爆弾」

とてつもなく大きな、容器。その中には、緑の液体と共に、一つのボールが入ってあった。丁度サッカーボールぐらいの大きさ。

「ハッカー頼んだ。俺は、邪魔な物を壊す」

そう言われたハッカーは容器に近づき、ナイフを取り出した。そして、そのナイフを容器にブッ刺した。するとナイフの持ち手から、コードが出てきた。黒いコード。そのコードはハッカーの黒い野球坊にくっ付く。野球坊はハッカーの頭から、離れ小型のPCに変形した。流石改造屋。

「十二分。十二分耐えたら、第一段階クリアです。その約三分後、第二段階クリア、そして、五分耐えれば、最終段階クリアです」

そう言うと、天上? から、三機のロボットが降ってきた。自動自立型ロボット・抹殺機。とにかくデカイ。デカすぎる。そして、ハッカーが言う。

「さぁゲームを始めましょう」


<03>


まずは、殺し屋、殺人鬼、掃除屋が前に出る。

殺し屋による射撃、耳にイヤな音が出るが何事も無かったように近づいてくる。殺し屋は、チッと口を鳴らす。殺人鬼がワイヤーを取り出し器用に、ロボットの首? と思われる部分に巻き付ける。そして、思いっきり引っ張り、ロボットの首を引きちぎる。とんでもない力。負けずと掃除屋が腰に刺さっている、刀で斬りつける。否、刺した。すると掃除屋は、ノコギリの両様で、切り刻む。どうやら、ロボットの核。つまり、心臓部分を切り刻んだみたいだ。いや、だから、力が可笑しいでしょ。殺人鬼が腰に装備している小型のバックからメスのような物を取り出し、ロボットに突き刺す。それを、殺し屋が発砲した、弾丸が当たり、見事にロボットの動きを止める。 ≪一般人≫ には、出来ない芸当だった。三機のロボットは動かなくなった。機能停止だ。つまり、この戦いは、コチラ側の勝利だった。

「皆さん、よく耐えてくれました。こちらも終わりましたよ。あとは、取り出すだけです」

ハッカーが言った瞬間。ハッカーの左目から、血が出た。

「殺し屋の左目では、無かったか。だが、まぁ良い。お前らはここで終わりだ」

左目に黒い眼帯をした、ナンバー ≪005≫ だった。


<04>


ハッカーが左目を抑えながら、うずくまる。

「これで、ハッカーは使い物にならんな」

冷淡に、だが、怒りに満ち、確実なる、殺気を持って言い放つ。

「クソガ」

殺し屋が、弾丸を放つ。だが、届かない。ナンバー ≪005≫ が小型の剣を取り出し、切り裂いたからだ。ナンバー ≪005≫ はスルスルと左目に巻いてある黒い眼帯を取り外す。眼帯の中には、黄色に光った義眼が在った。だが、その義眼は、完全なる物ではなく、目の周りに黄色の糸、いや、あれは血と言った方が良いのか、兎に角、くっついていた。ギチギチと音をたてながら、辺りを見て回る。否、探し回る。

「コレは、特注品でな。 ≪賞金首手配書(デッドマンリスト)≫ に載せられている人間を自動的に探す。名は、そうだな。差し詰め自動自立型探知義眼(オート・サーチ・アイ)と言ったところだろうな」

そして、自動自立型探知義眼はこちらを向き、正確には、私を見て、

「アラタナ ≪賞金首≫ を発見。賞金、フメイ。名前、フメイ。これより応援をヨビマス。ナンバー ≪005≫ は直ちに ≪抹殺≫ せよ」

喋った。否、命令した。ナンバー ≪005≫ により、鮮明に、より、的確な合図をするために、義眼を造ったのか? だとしたら、気味が悪い。

「胸糞ワリィ」

どうやら、殺し屋も同じことを思っていたらしい。いや、どうだろうか。私は、 ≪抹殺部≫ の上の存在に。もしかしたら、殺し屋は、ナンバー ≪005≫ に対して言ったのかも知れない。自身を改造してまで追ってくる。殺しに来る。 ≪抹殺≫ しようとする、その、正義に。

「俺一人だと思うなよ。第一部隊、包囲!」

そう言うと、入り口の方から数えきれない程の、 ≪抹殺部≫ が来た。盾を持つものも居れば、銃を扱うもの、剣を扱うものまで居た。

「こちら第一部隊、隊長。第二部隊用意」

ナンバー ≪005≫ は肩にある無線機を使い他の ≪抹殺部≫ に連絡をした。だが、ナンバー ≪005≫ の背中に一人立っていた。ハッカーである。ハッカーは先程も使っていたナイフで、ナンバー ≪005≫ を斬りつけた。が、もう一歩のところで、かわされた。ナンバー ≪005≫ は私たちの上を軽々と飛び越え、仲間の手前に着地した。ハッカーはゆっくりとこちらに近づき、私たちに対して言い放つ。

「ここは、僕が引き受けましょう。皆さんは爆弾を取り出し、逃げてください。後はあの容器に触るだけです」

掃除屋が動いた。爆弾が入っている容器の方に向かって、そのつぎに殺し屋も動く。

「お前らァ! 俺も残る。良いな、コンプリートしろよ! ハッカーお前は何一人で残ろうとしてる。左目がない癖に」

え? 全く理解できない。

「あっ ≪一般人≫ さん。携帯とかあります?」

なぜ? なぜ今ここで携帯?

「貸していただけると良いのですが」

もう良いかな? 良し! 貸そう。

「ありがとうございます」

三十秒位で私の手元に帰ってきた。貸す前と変わらない携帯。

「えっと、何しました?」

「電話張に新しい電話番号が追加されていると思います。あなたに託します」

託す? 何を? 聞こうと思い声を出そうとした時だ。私は後に引っ張られた。目の前に一本の剣が振り下ろされる。

「おい ≪一般人≫ 行くぞ。あの二人なら大丈夫だ」

二人の背が離れて行く。


<06>


地下から、地上に抜け出し、町の中を走り回る。警報が鳴る。

「チッ面倒な事になってきたな。 ≪依頼人≫ はどこに居るんだ?」

「それは」

掃除屋が言いかけるが止まってしまった。

「ん? どうした?」

後を振り向く。掃除屋が止まっていた。口だけではなく、足まで止まったらしい。

「あそこに居ます」

指を突き刺す。突き刺した方を見る。私は驚いた。そして、ゆっくりと口を開ける掃除屋。

「・・・ ≪関東警察署≫ です」

 ≪賞金首≫ に依頼した張本人は ≪関東警察署≫ に居るとの事だ。沈黙が続く。そりゃそうだ。 ≪賞金首≫ からしたら死にに行くようなもの。 ≪抹殺≫ されに行くようなものである。が、殺し屋が口を開ける。

「行くぞ。俺たちの依頼は届けるところまでだ」

え? そんなの、死にに行くようなもの。

「ちょっと待ってよ。死ぬだけだよ! 罠かも知れないのに」

ギロリとこちらに目を向ける。そして、一言。

「仕事だ」

圧倒。たった一言で気迫が伝わる。

「 ≪一般人≫ さんは来なければ良いんですよ。そもそも、あなたはこちらに干渉し過ぎです。私たちは ≪賞金首≫ とは、関わりを持ってはいけないんです。だから、引き返してください。少しの間だけですが、お世話になりました」

笑顔で掃除屋が言う。

「 ≪犯罪の町≫ から出ろ。そして、 ≪自由の町(トウキョウ)≫ に行け。あそこは、 ≪関東警察署≫ は干渉できない場所だ。 ≪賞金首≫ が逃げるには良い場所だ。勿論その代わり多少過酷な旅になるがな。ここに居るよりは、マシだ。携帯に地図を送る。裏ルートだから、気を付けろよ」

待ってよ。確かに ≪自由の町≫ は ≪関東警察署≫ は干渉できない。それに都市だよ。この国の行きすぎた法律や処罰を敵に見る超国家が日本との条約で作った都市。つまり、どの国にも関係の無い、繋がりもなく、干渉されない町。だから、もし途中 ≪関東警察≫ に見つかれば殺される。だから、殺されるぐらいならこの町つまり、 ≪犯罪の町≫ に居ようとするのが民間人の考えだ。

「ここまで来たんだから、最後まで見届ける」


<07>


なぜあの時あんな言葉を言ったのかは今でも分からない。けれど、確実に、分かることは一つある。それは、覚悟を決めたことだ。


<08>


「着いたな。それにしても、なぜこんなにも、警備が手薄何だ?」

正面突破、と言う訳にもいかないので、屋上から入ることにした。のだが、屋上には警備の一つもなかった。在ったのは監視カメラ一つだけ。屋上署内に入るための扉の前に在った一つだけ。その監視カメラは殺し屋の射撃によって撃沈した。

「これは、何かの罠なのか? こんなにも、手薄なものなのか?」

いや、遅い。二階降りた所で言うものじゃない。

「あと、何階降りたらいい?」

「次で終わりです」

何事もなく階段を降りた。本当に何もなかった。そんなことを思っていると、着いた。ある一室の前に。

「ここか?」

「はい。ここです」

まずは殺し屋が拳銃を左手に持ち扉を開ける。しかし、誰も、居なかった。

「掃除屋、痕跡を辿れ」

「はいは~い」

掃除屋は床や壁、ドアノブに綿棒で擦る。そして、腰にぶら下がってある瓶に浸ける。

「はい。確かにここには誰か居ましたけど、全て五、六分前ですね。わざと着けた可能性があります。ですが、靴の痕跡から分かったことがあります。それは、女性のような足の大きさです」

そう言った途端だった。部屋の電気に明かりがつく。それと同時に。

「やぁやぁ君たちが、今回の仕事を受けた ≪賞金首≫ 達かい? それにしても、数が減ったね。それに、もう一人増えている。あっそうそう。自己紹介が遅れたね。私は探偵さ。と、行っても今は誰からの依頼もなく、さ迷っているだけの探偵だけどね」

 ≪賞金首≫ に依頼したのは探偵だった。


<09>


「さて、詳しく話そう。だが、その前に爆弾については、君たちが持っているのだろう?」

一人用の椅子に背を持たせながらこちらに聞いてくる。

「ああ。これだろう?」

そう言ってサッカーボールくらいの大きさの爆弾を服から取り出し見せる。

「そうそうそれだよ。実はね、そこには特殊な情報があってね。しかも、それは、 ≪関東警察≫ つまり、この国の支配者を殺せる情報なんだよ。もっと簡単に言うと、この国に、関西に混乱を発生させる。このコードを刺して、そこのテレビに繋ぎなよ。情報が開示されるはずだよ」

そう言って殺し屋にコードを投げる。コードを受け取った殺し屋は爆弾に刺し、テレビに繋いだ。すると、テレビに明かりがつく。そして、五人の子供達が容器に入れられている映像が流れた。

「その四人の子達はね、特殊な能力を持っているんだ。ああ、先に言っておこう。ギフテッドではないよ。そうだな。 ≪能力者≫ と言ったところだね。しかも、その子達のなかには ≪能力者≫ の中でもさらに、特別な能力を持っている子がいる」

探偵は飄々と言う。しかし、例えそんな子達がいるとして、それがこの国に影響を与えることができる?

「表向きには子供達を誘拐し研究したと言えばいい。だが、それだけでは無意味だろう。だからこそ、 ≪関東警察≫ には馬鹿なことを行ってもらう。そのために潜入させておいたのだから」

入っておいで。と探偵は言う。潜入? つまり、スパイが居たと言うこと? そんなことを考えていると扉が開く。それと同時に人影が部屋の中に差し掛かる。その人物は良く見た者だった。だが、一つ違う点を上げるなら左目に白い眼帯を巻いていることだ。

「 ≪005≫ 驚いたでしょ? 彼はこちら側なんだよ。あと、一つ言うならば彼もだよ? 君たちがよく知る、改造屋兼ハッカーも」

驚く私たちに向かって。探偵は、

「さぁ語ろうか。この国の、いや、世界の真実について」


<10>


「アメリカの不景気も世界的大戦、そして日本の内戦も、全てある一つの組織のせいなんだ。その組織の名は ≪ピース≫ 」

ピース、日本語に直せば平和。そんな世界には重宝されるような組織名が何故?

「簡単さ。君たちは居ると思うかい? ≪能力者≫ について。人外の能力、科学的にも論理的にも解明できない特殊な能力。それを持っているもの達を ≪能力者≫ と呼ぶ。まぁぶっ飛んでるのは分かるのだけれども、これもまた事実なんだよ。結論的究極的な所何が言いたいか。それは ≪ピース≫ はこの国を裏で操っている。 ≪関東警察≫ だって ≪ピース≫ の軍隊のようなものだよ。んで、これが世界にどう影響してしまったのか、それは ≪ピース≫ が持つ実験データをちらつかせたんだよ。そしたらどうなったか、世界はそれを欲しがったのさ。結果大戦が起き ≪ピース≫ を捕らえようともしたため日本に内戦をもたらし自分達を守ったって話だよ。つまり全ての元凶である ≪ピース≫ 少しでも弱めあわよくば潰すにはその子供達を助けるんだよ。子供達を失ったつまり、実験対象を失った組織は、世界に潰される。そこからは、私たちの出る幕ではない。さて、もう一度再依頼しよう。どうだい続けてくれるかな?」

『・・・・・・』

長い沈黙。決めるのは私じゃない。

「ああ。受けよう、ただし報酬は五倍にしろ」

「お安いご用だね。これでも探偵として結構稼いでいるんだよ?」

ハハッと無邪気に探偵は笑った。

「それじゃ子供達の場所だけど」


<11>


今私たちは階段を降りている。探偵が言うには子供達は ≪関東警察署の地下≫ に居るらしい。ここ最近地下にしか行ってない気がする。

「後何階下りたら着くの?」

「さぁな、探偵も詳しくは知らないと言っていたからな。だが、もう直に着くだろうな」

何の根拠も無いがと付け加えて言った。

「あの、思ったことを行っても良いですか?」

掃除屋が少し気を重くして聞いてくる。

「良いぞ」

殺し屋が許可する。

「子供達を助けた後ですよ。その子供はどうなるんですか? だって考えてみて下さいよ、世界中に目をつけられているんですよ? もう、安全には暮らせないじゃないですか」

確かに。世界中から注目された実験体(こども)。その子達には将来があるのだろうか? 今居る ≪ピース≫ と言う組織から逃げても別の組織が追ってくるのではないだろうか? なら、例え助かったとしても別の苦しみが来るのではないだろうか?

「・・・そうだな。その時は今この場には居ないが ≪005≫ にでも任せれば良いんじゃないのか? 俺たちはあくまでも ≪賞金首≫ だ。それに、ここにはつい最近まで ≪一般人≫ も居るんだ。俺たちが悩む必要は無い。今は依頼に集中力しろ」

なんだか人任せな気もするけど、きっとそれは違う。自分達はどこまで行っても罪が消えることはない。賞金が無くなることはない。だから、それに巻き込みたくない。自分達では助けることは決してできることではない。そう言っている気がする。

「それにしても ≪005≫ が探偵側だったとはな。ハッカー達を助けに行ってるみたいだし信用はしても良いんだろうな」

何てことを行ってる間に着いた。

「妙ですね。誰も居ないなんて」

確かに組織の大事な場所なのだから厳重な警備がされているのかと思ったが、ただ何もない空間だなんて。

「探偵からメールが来たぞ・・・どうやらここは戦場になるみたいだ」

そう言った次の瞬間だ。四方八方からロボットと ≪抹殺部≫ が出てくる。囲まれた。

「おい、 ≪一般人≫ 道を作るから走れ。子供達を助けるのはお前が良いとさ。理由は戦えないから、だからとさ」

そう言って弾丸を放つ。それが戦闘の合図だった。けれど私は戦わない。殺し屋に言われた通り正確には探偵からのメールの内容通りに動く。

「殺し屋さん。死なないで下さいよ。いつかアタシの夫になるんですから」

「まだ彼氏にもなってないんだから夢を見るな。それにお前こそ死ぬなよ」

「ではお互い死んでたら忘れると言うことで」

「直ぐに忘れてやる」

「それ、間接的に死ねって言ってますよね?」

「骨ぐらいは摂っといてやる」

少し楽しそうな会話が耳に入りながも私は走る。


<12>


見付けた。何もない白い空間にただ一人、座っていた。

「え~と、君が 特殊な能力を持った子供?」

こちらに顔を向けコクりと頷いた。

「この先に私以外の子達が居ます。それから、お願いが有るのですが、よろしいでしょうか?」

親切に教えてくれる。

「私が新しい研究者とか思わないの?」

「はい。来ると分かっていましたから」

それも能力の一つなのだろうか。

「それでお願いって何?」

叶えられることならしてあげたい。

「能力の中にも特別な能力があります。それを ≪SP≫ と呼びます。 ≪SP≫ には色々とできることが有るのですがその一つでもある、能力の ≪継承≫ をしたいのですが良いでしょうか?」

つまり、自身が所持している能力を私に渡したいと、言いたいのか。

「その場合あなたはどうなるの?」

「・・・簡単なことです。死にます!」

笑顔で言った。満面の笑みだった。

「早く終わらせたいのです。例え焼けようと、息ができなかろうと、潰されようと、切られようと、生き続けてしまう、この身体を、命を!」

次は何かに怯え涙を流しながら震えていた。

「直ぐに治るのです。そして永遠の命、それが私の ≪SP≫ 、 ≪不死≫ です」

覚悟は決めた。叶えてあげると、助けてあげると。なら、答えは早かった。私はこどもの国元へと行き膝を折った。そして、一言、

「良いよ。受け継いであげる」

「・・・アア、アア、ッ!」

身体を震わせ泣いていた。けれどそれは歓喜から来たものだろう。だって、

「やっと終わる」

そう言った時だった。私の体に真っ直ぐに倒れた。それと同時に微かに体が変わった気がした。

「有り難う」

そして、奥の部屋に入った。そこには三人の子供が十字架に縛られていた。その内の一人が声を上げた。

「僕は良いんです、だからこの二人を、お願いします」

私は言われるがままに彼以外の子達を下ろした。その時だった。大量の足音と共に ≪抹殺部≫ が入ってくる。

「殺し屋と掃除屋は死んだよ。後は君だけだ」

そう言って若い見るからに偉そうな人が居た。

「前の場所では死んでいた、恐らく君が何かしたのだろう? 教えてくれないか?」

「・・・ハッ、その子の能力を受け継いだのよ」

「そうか、やはりできるのか。良いことを聞いた。尚更惜しいな。元々只の人間だった君が受け継いだか、体に支障は?」

「何故答えないといけない?」

その時の私はきっと今まで出したこと無い醜い顔で聞いたと思う。

「フフフフフ、そうか、殺せ。実験対象は傷を負わすなよ」

私には戦う術がない。でも、子供達だけは助けたい。その時一人の少年? いや、少女? が私の服を引っ張ってきた。

「もう、痛いのはヤダ」

その瞬間、湧いてきた。殺意が。しかし、私の殺意は刺さなかった。刺したと言うよりは撃たれたのだった。

「何故、君が、生きている。殺し屋」

「俺は殺し屋だ。それ以前に ≪賞金首≫ だ。依頼されれば何でもする。アイツからの依頼だ、お前に一発弾丸を入れろってな。別に敵討ちなんて性じゃない、只依頼されたらする。それが俺の、殺し屋としての生き方だ。 ≪一般人≫ このまま真っ直ぐに行け、そしたら、探偵に会うはずだ。俺はコイツらを殺す」

私はもう一人の少年も助け、三人の子達を連れ走った。後ろからは発砲音やら呻き声、血が飛び出る音がしたが、走った。五分くらい走ったところに ≪005≫ が居た。

「これを」

そう言って私にスイッチの様なものを渡した。

「後少しで地上に繋がる道に出る。気を緩めるなよ?」

そこで私はずっと気になっていたことを聞いた。

「あなたは、ここで何をされたの?」

「・・・被験体だ。アイツもな。能力の受け継ぎを無理矢理する実験のな。それに能力を他人に作用することができるかのな。そのお陰で俺たちはあまり死なない体になった。それだけだ」

だからあんなにも直ぐに治るし、動けるのだ。

「殺し屋を連れて来て、できれば掃除屋も」

私はそのような捨て台詞をして、走った。三分走ったところで光が見えた。私は少しスピードを早めた。着いたのだ。地上に。しかし、辺りは、 ≪抹殺部≫ に囲まれていた。

「嘘」

そんな時だった。光が消えた。夜のビルの光が消えた。真っ暗闇になったかと思えばただ一点に光が集中した。

「 ≪一般人≫ 走れ!」

私は直ぐに分かった。殺人鬼だ。その叫びと同時に爆破される。近くのビルが倒壊して行く。それに連れ ≪抹殺部≫ の陣形は崩れる。何処と無くから私の前にハッカーが現れた。

「携帯、忘れてませんか?」

私は携帯を取り出し連絡帳を見る。

「この国の地下全体に爆弾を仕掛けています。それはその爆弾のスイッチです。あとはあなたに託します。では、御元気で」

ハッカーは殺人鬼の元へと駆けていった。私も子供達を連れ走った。が光が現れた夜はもう終わる。日の光だ。

「見付けたぞ! 殺せ!」

一人の ≪抹殺部≫ が叫ぶ。それに連れ他の者達も叫び、こちらに向かってくる。が、殺人鬼に殴られ吹っ飛ぶ。場は乱戦。血がそこら辺から飛び出し、酷い声を出し、殴られる音斬られる音がした。

「ねぇお姉さん、私たち生きれるよね?」

白髪の女の子が聞いてきた。私は言ってあげようとした。生きれるよ、と。しかし、その言葉は言う前に喉に押し込んでしまった。白髪の女の子の元に剣を持った ≪抹殺部≫ が走ってきた。私は咄嗟に女の子を覆うようにした。が、刃は刺さらなかった。少年が刺されていた。

「クソガ!」

私は守ろうと思った。あの時そう決めた、覚悟した。なのに、何故?

「チッ、息して無いか。もう一変刺しとくか」

そう言って ≪抹殺部≫ は倒れた少年に対し、刺した。気付けば私は懐に手を入れていた。殺人鬼から貰った、ナイフ。私は立ち上がるのと同時に振り向き ≪抹殺部≫ に近づき刺した。首を刺した。ギチギチと音を鳴らせながら左右に刃の向きを変え抉る様にして貫通させた。ナイフが刺さったまま ≪抹殺部≫ は倒れた。

「相間君!」

そう言って白髪の女の子が駆け寄る。それと同時に、正面から足音が聞こえる。

「誰?」

「俺だよ。ほら、研究者だよ」

何故此処に居る?

「そう殺気立つな。ん? この血かい? 少々手こずってしまってね。殺し屋と ≪005≫ を殺すのをね。さて、その子は死体でも良いから回収しておきたい。まぁその顔だと退く事も無いだろう。能力を使わせて貰うぞ?」


<13>


「目が覚めたかい?」

この声、探偵だ。

「すまない、私が来たときには皆倒れていて」

「子供達は!」

辺りを見回すと血だらけだったが居た。しかし、そこには少年の姿が無かった。

「彼は、連れていかれたよ」

探偵を良く見ると左腕がなかった。

「皆は! ≪賞金首≫ や ≪005≫ は!」

顔を重くし、語った。

「殺し屋と ≪005≫ は共に居る。しかし、殺人鬼、ハッカー、掃除屋については恐らく」

恐らくだが私はこの時狂ったと思う。と言うのも後の私はうろ覚えだったから。

「私には普通は帰ってきますか?」

「無いだろうね、今この国はパニックだ。映像を流したから。後は君が、考えるんだ」

私はどうしたい? 元々は ≪一般人≫ だ。なのに、こんなにも狂った。こんなにも狂ってしまったのはきっと ≪賞金首≫ のせいだ。あの時殺し屋が間違わなかったら、こんなことにはなっていない。けれど、今さら過去を恨んだって時を戻す事はできない。なら、ケジメを着けよう。普通を捨てよう。狂おう。

「さぁ、狂いまくれ」

私は、追加された電話番号に指を刺した。


<14>


一年前、日本は終わった。否、変わった。 ≪関東警察署≫ は潰れ ≪犯罪の町≫ は ≪新 犯罪の町(ネオ・オオサカ)≫ スラム街へと変わり、未だに瓦礫が大量に落ちている。政府は一度全席無くなり、再投票された。なぜこんなことになったのか。それは、全国に映像が放送されたのもあるが一番は ≪犯罪の町≫ の爆破である。内戦後、最悪の事件として名を残した爆破。その爆破を行った人物それが私である。 ≪一般人≫ から ≪賞金首≫ に成り上がったのか成り下がったのかは分からないけど。

「無期懲役、懸賞金史上最大額の九十九億の ≪賞金首≫ の名前が ≪バウンティKing≫ 何てちょっとダサくない?」

今私は ≪新 犯罪の町≫ で経営する何でも屋に居る。金さえ積めば大抵の事はする、何でも屋。メンバーは私と、能力者の子供、能力不老不死の子と居る。ちなみに性別は無いし、髪色は銀。尚且つ恋愛的な意味で私の事が好きらしい。名前を 隙間 雫。隙間は私の名字。あの三人少女には皆、私が名付けた。白髪の子は ()() ()。もう一人の子は 隙間 (なずな)。薺は、殺し屋に付いて行った。いつかあの、研究者を殺すために。白に関しては分からない。が今もどこかで事件でも解決しているのだろう。何せあの名探偵に付いて行ったのだから。

「どうしたの?」

「ん? 何でない。ただ、狂ってるなって思っただけ」

「貴女が狂わせたけどね」

そう、私が狂わせた。


<15>

「それで私のところに来たのはなぜかな? 白?」

「相間 黒。彼が生きてるって本当?」

「恐らくね。ある孤児院で生きている。ただし、記憶を失っている可能性が高い。それだけ」

「待って。今からどこに行くの?」

「ん~事件解決。何せ私は、名のある探偵ですから」

「じゃあ連れて行って。私は名探偵になってあの男の正体を破るから」

「良いよ。ほら、行くよ」

「待ってて。何時か私が君に会う、その時まで。好きだよ、助手君」


<16>


「久しぶりだな、殺し屋」

「 ≪005≫ か。左目は?」

「アレは元々無いからな。実験の過程でな」

「そうか。ハッカーは?」

「墓なんて作ってもないぞ。それがヤツの生き方だからな。殺人鬼も同様だ。掃除屋は、死体も残らなかったのか?」

「・・・さぁどうだろうな。死んでは居るが、死体は何処かに行ったさ。仕事に行く、薺を呼んでこい。呼んだら帰れ」

「ああ、死ぬなよ」

「骨ぐらいは摂っといてくれ」


<17>


「さっ仕事に行くよ」

これから私たちは仕事に行く。一応、雫も戦いになっても一人で守れる。と言うかむしろ私が守られている気がする。

「怪我しないように、マスター」

「ハイハイ」

私はもう普通には戻れない。けれど、今はそれが良い。狂っていこう。何処までも、死んだら地獄行きかな? まっ死なないけどね。



「狂え」

ある作品の前日譚。分かるかな?

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