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27. ――― 報告

 一台の馬車が非常に速い速度で西に向かって走っている。その馬車にはムリン家の紋章があり、車夫にも慌ただしい様子が見えて道を急いでいる。


 それは間違いなく奸臣ブッレイモントが乗っている馬車に違いない。


 《収納箱》からウィンチェスターライフルを取り出し、魔力を注ぎ込んで馬車を狙う。


 ―――死ね。


 《炎弾》が発射し、パンと馬車に命中した。《炎弾》を被弾した馬車は炎に包まれ激しく燃え始めた。


 その車夫は馬車に火がついたのを見ると、すぐに狼狽して逃げた。

 でも、ブッレイモントは馬車から逃げ出さなかった。彼は多分、烈火に焼死したのだろう。


 馬車が無残に火に焼かれるのを見て、初めてこの世界で人殺しをしたことに気付いたが、罪悪感は覚えなかった。


 お前が来世で真人間になることを願う。


 けどここは森林なので、火事を防ぐために《水流》で火を消した。


 そしてテヤダに雨を降らせるのだ。やり終わったら、俺のテヤダに来た任務が完了すると言える。


 ウィンチェスターライフルを上げ、銃口を空に向けて引き金を引いた。一瞬で空が曇ってきて、周りにも風が吹き始めて、間もなく雨が降ってきた。


 《雨降り》は問題なく発動した。


 これでいい、帰ろう。


 スピードを上げるために、《多重詠唱》で300の《風》を重ね合わせ、屋敷の方へ飛行する。



 ✭✭✭✭✭



 一時間も飛行してやっと屋敷に着いたけど、日が暮れて空もすでに薄暗くなっていた。


 グーと鳴って、お腹がもう空いてはたまらない。


「ただいま」


 門を開けて入った。


「お帰りなさいませ、ご主人様」


 と、俺にお辞儀をするアイラ。


「お兄様!」

「兄上!」


 俺が帰ったのを見ると、リナとリアは泣きながら俺に抱きついてきた。


 アイラ、リナとリアは俺が帰るまでずっと玄関に立って待っていたようだ。


「どうしたの、リナ、リア?」

「あっ、兄上のことをずっと心配していました!」

「お兄様はいったいどこに行ったのですか?」

「すまん。お前たちを心配させてしまった」


 優しくリナとリアの柔らかい金髮を撫で、ちょっと落ち着かせた。


「あの、ご主人様、旦那様からの伝言を思い出しました。旦那様が会議室でご主人様に会いたいとのことです」


 お父さんは俺に会いたいことがある?んん……多分、俺にテヤダの干ばつのことについて聞きたいのだろう。


 だが、今回の政務はただ事じゃない。


 なぜなら、革命軍のことを解決したため、お父さんに無断でグロス伯爵とブッレイモントを死刑に処したから。ブッレイモントのことは俺が自ら手を下したけど。


 このことはきっとお父さんを怒らせる。


 そう思うと、顔色が暗くなった。


「わかった。今すぐに行く。リナ、リア、お父さんは俺に用事があるので、会議室に行かなければ」

「かっ、かしこまりました、兄上」

「ではまた後ほど、お兄様」


 リナとリアの可愛い笑顔が少し不安を取り除いてくれた。


「うん、またね」


 言い終わると、俺はどうやってお父さんに説明するのかと考えながら、会議室に向かう。二階に上がって、ドアの前に行って緊張しながらドアを叩いた。


「誰だ?」

「僕です、お父さん」

「入って」

「はい、失礼します」


 ドアを開けて入った。お父さんは机に向かって何かの文書を書いているようだ。


「お父さん、僕に何か御用ですか?」

「お前がグロス伯爵を助けて干ばつを処理するため、テヤダに飛行したと聞いた」

「そうです、お父さん」

「さすがノルス、テヤダに行くのに日帰りできるなんて」


 と、俺の能力に賛嘆するお父さん。

 お父さんの心の中では俺は神童だ。


「じゃ、干ばつをどのように処理した?」


 やはりお父さんにテヤダの干ばつのことについて俺に聞いた……。


 叱られるのは嫌だけど、自分の行動に責任を持たなければならない。そういうわけなので、お父さんに全部教えようと決めた。


「申し訳ございません」


 俺は跪いてお父さんに謝った。


「どうした、ノルス?いきなり謝るなんて」

「僕は干ばつを解決したためにテヤダに行ったけど、真実はグロス伯爵が手紙に書いたようなものじゃなかったのです」

「どういう意味だ?」

「人民たちが暴動する原因は、グロス伯爵が干ばつを無視して絶えず租税を上げてきたことです。人民たちは生活を持続するため、革命軍を組織して立ち上がるしかなかったけど、グロス伯爵はさらに奸臣ブッレイモントの提案に従って騎士団を派遣して人民たちを鎮圧しました。でも、その鎮圧の中で革命とは関係のない人々までも調べを受けることもなく殺されしました。まるで虐殺です」


 お父さんはとても人民を愛するので、もちろんグロス伯爵とブッレイモントの悪行を聞くと、怒る様子になった。


「しかし、僕は腹立ちまぎれにお父さんに無断でグロス伯爵とブッレイモントを死刑に処してしまい、本当に申し訳ございません」


 俺は冷や汗をし始めたが、靜けさを保たないと。


「いいや、お前は正しくやった。私だったら必然的に、彼たちも死刑に処する」


 驚いた。お父さん俺を叱ることなく、かえって俺を褒めてくれた。


「お前がもうこんな一人前になるとは思わなかった。お父さんとしての私は嬉しいよ」


 お父さんの言葉は俺を感動させた。


「突然だけど、お父さん。僕はテヤダの人民たちに今年はテヤダ政府に納税する必要はないことを承諾しました。それに僕もムリン家の爵位を子爵に降爵しました」

「わかった。すべて、お前の言うとおりにしよう」

「はい」


 叱られるなんて、俺は考え過ぎた。お父さんは厳しく見えるけど、実際は優しいんだ。


 いきなり、お腹がまたグーと鳴った。恥ずかしくて顔が赤くなった。


「ハハハ、お前が腹減っただろう?使用人たちは多分、夕食を準備したはずだ。食堂に行こう」

「はい」


 立ち上がって、お父さんと一緒に食堂に行く。



 ✭✭✭✭✭



 食事した後、自分専用のオフィスに行った。燭台には一つのろうそくが灯り、オフィスを照らしていた。


 オフィスにはアイラと俺だけがいる。


 今、告文を書いている。

 これはとても重要な政務だから、早く解決しないと。


「やっと終わったー」


 ペンを置いて背伸びをした。政務が終わって肩の荷が少し下りたが、もう疲れた。


「お疲れ様です、ご主人様」

「アイラ、この告文を早馬に渡してくれ、頼む」

「かしこまりました、ご主人様。それでは、失礼します」


 アイラはお辞儀をしてオフィスを離れた。


 さて、お風呂の時間だ。お風呂に入って自分をリラックスさせよう。


 机を綺麗に片付けてろうそくを消し、風呂場に行く。


「お兄様」

「ああ、リアか」

「あっ、兄上」

「リナもいる」


 途中、リナとリアに会った。


「お兄様もお風呂場に行くのですか?」

「そうだよ。どうしたの?」

「それでは、一緒に行くのはどうですか?」

「わっ、私たち、兄上と一緒にお風呂に入りたいです」


 一緒にお風呂に入りに行くなんて……。


 彼女たちと一緒にお風呂に入る光景を想い描き、思わず顔を赤らめた。リナとリアのヌード……。いいや、妄想するな!彼女たちは妹だよ!


「そりゃちょっと……」

「だっ、だめですか、兄上?」


 と、泣きそうなアナ。


 断りたいけど、断ることができない。

 どうしよう、俺は……。不同意なら、リナは泣く。


 ……っ。


「わっ、わかった。一緒に行こう」


 俺は同意するしかなかった。でも、悪くない。


「あっ、兄上と一緒にお風呂に入れてよかったです」


 言い終わると、リナはするりと腕を俺の腕に絡ませた。


「リナ姉様はずるいですー」


 妬むリアも腕を絡ませた。


 けど、笑顔をする彼女たちは可愛い。


 このまま、お風呂場に行った。

 お風呂場に入って衣服を脱ぎ、タオルを取って腰に巻きつけた。


 体を軽く洗い流してから、浴槽に浸かった。


 ああ、気持ちいい。


 お風呂場はとても広く、浴槽も大きくて泳げる。しかも豪華に見える。


 でも……リナとリアは裸だ!

 俺は目を逸らしたが、彼女たちはずっと俺の手を抱きしめて放さなかった。


 恥ずかしい……。それに女の子とお風呂に入るのも初めてだ。


 《気分鎮静》を発動しても役に立たない。


「どうしましたか、お兄様?」

「いっ、いいや……」

「あっ、兄上、もしよろしければ、私に兄上の背中を流させてください」


 リナは背中を流す要求をした。


「私もお兄様の背中を流したいです」

「そっ、それなら、私が先に兄上の背中を流します」

「いいえ、私が先です、リナ姉様」

「わっ、私が先です」

「私が先です」


 リナとリアは誰が先に俺の背中を流すのかを言い争っている。


 思わずため息をついた。


 ……俺、死にたい。

「とても面白い!」

「読み続けたい!」

「更新を期待です!」


とか思いましたら

是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!

よろしくお願いいたします。




                  白皇 コスノ 拝啓

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