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25. ――― 取り押え

 グロス伯爵のオフィスで、幕僚ブッレイモント・ルーベグはグロス伯爵に今の鎮圧の状況について報告している。


 ブッレイモントはグロス伯爵に厚く信頼されている策士だ。テヤダの多くの政策はブッレイモントが提案した。


 しかし、テヤダの人民はブッレイモントにとても不満を感じている。

 ブッレイモントがグロス伯爵の信頼を得て権力を握ってからというもの、異端の排斥を始めた。そして提案した政策は、テヤダ政府をますます独裁化に向からせ、人民たちを塗炭の苦しみに陥らせていたから、奸臣だと思われている。


「おめでとうございます、グロス様。騎士団から勝報が伝わってきました」

「どんな勝報だ?」

「はい、騎士たちはうまく暴民たちを撃退したことです。先ほどの戦役で騎士団は暴民たちに重大な打撃を与えて撤退させました」

「ハッハッハッハッハッ」


 ブッレイモントの言ったことを聞き、グロス伯爵は大声で笑った。


「フェディグたちは俺の期待に背かなかったね。ちゃんと表彰しなければならないな」


 グロス伯爵はワインを一杯入れて一口飲んだ。


「勝ちに乗じて追撃するのはどうですか、グロス様?私には暴民たちを一挙に殲滅する方法があります」

「ほう?詳しく聞かせろ、ブッレイモント」

「はい。情報によると暴民たちは西北方面に撤退したが、避暑のためになんと部隊を城外と二キロ離れている森に駐屯させています。私はこれを絶好なチャンスだと思います。暴民たちが今撤退の疲労の中に落ち入っているうちに、騎士たちに夜襲をかけて火攻めを命令してくだされば、暴民たちに不意打ちをかけて殲滅させてみせます。どう思いますか、グロス様?」

「ハッハッハッハッハッ」


 グロス伯爵は再び大声で笑った。


「さすがブッレイモントだ、こんなにいい方法考え出したとは」

「いいえ、恐縮です、グロス様」

「謙遜しすぎだ。方法はお前の言うとおりにしよう」

「はい」


 グロス伯爵はまたワインを一口飲んで、この戦争は絶対に勝つと思った。


 ブッレイモントは振り向いてオフィスを出ようとした時、突然ドアをノックする音が響いた。


「誰だ?」


 って、グロス伯爵が聞いた。


「フェディグです」


 フェディグの来訪は、グロス伯爵を少しびっくりさせたが、これはまったく幸いだと思った。ちょうどフェディグに用事があるからだった。

 グロス伯爵は思わず口元が綻びた。


「なんだ、フェディグか。入れ」

「はっ」


 フェディグがドアを開けてオフィスに入ってきた。


「失礼します」


 グロス伯爵とブッレイモント二人はまだフェディグが来た目的を知らない。

 壁の後ろに騎士たちと兵士たちが身を隠し、フェディグが合図するのを待って行動する計画だ。


「フェディグ様が来るとは思わなかったです。私はちょうどフェディグ様のオフィスへ行くつもりでした」

「なにかあったんですか、ブッレイモント様?」

「いいえ、ただフェディグ様に進軍の計画をお伝えするだけです」

「本当に偶然ですね。私も進軍の計画をグロス様と相談するつもりでした」

「―――ハッハッハッ。どうやら、勝利の女神は俺たちに微笑んでいるらしい」


 警戒感を抱かないグロス伯爵は、大喜びした。


「フェディグ、もしお前が暴民たちを殲滅するのに成功しっ……」


 話がまだ終わらないうちに、フェディグは鞘から剣を抜いてグロス伯爵の首に突きつけた。

 騎士たちと兵士たちは一斉に乱入しグロス伯爵を取り囲んだ。


「なん……っ」


 と、不意打ちに衝撃を受けるグロス伯爵。

 隣に立つブッレイモントも驚いた。


「きさま、これはどうゆう意味だ?謀反か?」


 って、グロス伯爵は怒って聞いた。


「すいません、グロス様。私はただ、命令によって行動するだけです」

「めっ、命令?誰の命令だ?」

「ノルス様の命令です」

「ノルス様の命令……。―――っ!」


 と、この時、グロス伯爵は一昨々日にノルスに急信を送ったことを思い出した。


「ふっ、ふざけんな!ノルス様はこんな命令を下すなんてありえない」


 フェディグはポケットからノルスの身分証を取り出し、グロス伯爵の前を見せた。


「これはノルス様の身分証です。私たちはノルス様の御意思に基づき、あなたを取り押えるのです」

「うっ、嘘だ、俺は信じない。この身分証は絶対に偽物だ」


 フェディグもノルスがテヤダに来たことには半信半疑だったが、今は確信に変わった。


「グロス様は信じなくとも、私たちはグロス様を取り押えなければなりません」

「ブッレイモント、早くなんとかして俺を助けろ!」

「グっ、グロス様、わっ……」


 ブッレイモントはフェディグにじろりと睨まれて黙った。


「私はノルス様を長い間待たせることはできない。さてお前たち、グロス様を取り押えろ」

「はっ!」

「はっ!」

「ちょっ、まて……」


 二人の兵士は前に出てグロス伯爵を地べたに押しつけた。


 実はノルスに手紙を送るのを提言したのはブッレイモントだ。

 でも、事態がこうなるのは全く予想外だ。


「ちっ、ちくしょう!裏切り者め!」


 と、必死にあがくグロス伯爵。


「さあ、ノルス様のところへ行こう」

「はっ」

「はっ」


 フェディグが振り向いて離れた。

 兵士たちはグロス伯爵を強引に連行し、他の兵士たちと騎士たちも従って離れた。


「グっ、グロス様……」


 このすべてを見て立ち竦むブッレイモントが腰を抜かした。



 ✮✮✮✮✮



 人民たちの案内で、俺はついに根拠地に着いた。

 根拠地が森の中にあるのは避暑のためだろう。


「お待ちください、ノルス様。私は先に村長に知らせ、ノルス様を迎えに来させます」

「うん、わかった」


 その人は革命軍の軍営(ぐんえい)に入った。


 周りの木を見ると、多くの木はもう枯れていた。


 ここなら避暑はできるが、危険にあふれている。

 火がついたら、必然的に森林火災がおきてしまう。もしグロス伯爵たちがこのことに気づけば、必ず火攻めをしてくるはずだ。


 でも、その前に騎士たちはグロス伯爵を取り押える行動に成功した。俺は心配しない。

 たとえ取り押える行動に失敗しても、俺には彼らに対処する方法があるが、そんな事態にはなっては欲しくなかった。


「ノルス様」


 誰かが俺の名前を呼んだようだ。


 一人の白髪まじりの年寄り。この人が村長なのだろう。


「ノルス様がいらっしゃるというのに、お出迎えに参らず、まことに申し訳ありませんでした」

「いいえ、そんなことはない」

「私は村長のカヲンです、テヤダ城の周辺のバールトン村の村長です」


 と、俺に礼をした。


「私はイドさんから聞きましたが、ノルス様は本当に私たちを助けてくださるのですか?」

「もちろん、本当だよ」

「あっ、ありがとうございます、ノルス様。テヤダは助かります」


 カヲンはとても感激したようだ。


「ここは話合いにはどうも具合が悪いので、ノルス様、場所を変えませんか?」

「いいよ」

「じゃあ、ノルス様、こちらへどうぞ」


 カヲンは俺を革命軍の軍営の中に導いた。


 が、軍営に入ると、雰囲気はかなり重く暗いと感じた。

 たくさんの人が悲しげな顔をしている。


「何が起こったんだ、カヲン?みんなの顔色が暗いけどさ……」


 カヲンは急に悲歎の顔つきになった


「ノルス様、実は先ほど知らせが伝わりました。我々が派遣した軍隊は全軍壊滅させられ、生き残ったのは数人だけです……」


 確かにその知らせは最悪だ。

 でも……。


「大丈夫だ、カヲン。俺は絶対にお前たちを助ける。安心しろ」

「はい、ノルス様」


 カヲンが泣きそうになった。


 俺は騎士たちがグロス伯爵を取り押えてここに連れて来る前に、テヤダの用水問題を処理しよう。

 少しの雨ではまだ足りない。それにクラースファ領の水利工事が完成するまでしばらく時間を要する。


 眉を顰めた。


 どのようにすれば解決できるかな?


「まず干ばつのことを解決して、後でグロス伯爵の罪責を裁判する。テヤダに雨を降らせることはできるけど、それだけではまだ不十分だ。だから、俺はお前たちに水魔法を教えてあげよう」


 そう、水魔法を教えて彼らが自分自身で水を作り出せれば自給自足(じきゅうじそく)できる。


「ノルス様が私たちに水魔法を教えてくだされるなんて……ほっ、本当ですか?」


 俺は頷いた。


「どうだい?」

「教えてください!私たちは必ず覚えます!」


 カヲンだけでなく現場に居合わせるみなも「習います」と言った。


「わかった。俺は水魔法を教えてあげよう」


 人民たちに水魔法を教えることにした。

 これできっと日照りに打ち勝てるに違いない。

「とても面白い!」

「読み続けたい!」

「更新を期待です!」


とか思いましたら

是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!

よろしくお願いいたします。




                  白皇 コスノ 拝啓

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