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18. ――― 誕生日パーティー

 俺の五歳の誕生日がもうすぐ来る。


 この医療技術が未発達な世界では、子供の五歳の誕生日はとても大切な日だ。

 多くの子供は五歳までは生きられない。だから、子供が五歳になる時、宴会を催して親戚や友人を交えて祝う。


 そして、この世界は男尊女卑だから、通常、祝われる対象は男児だけだ。


 お父さんとお母さんは俺の誕生日パーティーを盛大にしようと考えていた。二週間前から、すべての下僕たちに命令し、屋敷を飾り付け始めた。

 ロアとケールは俺の誕生日プレゼントを準備すると言って屋敷を離れた。


 書斎の本は全部読んでしまったけど、倦まずにアイラと魔法及び剣術を練習し、レーリナとレーリアともよく遊びに行っていた。


 ある夜、俺は発想とアイデアを利用して様々な組み合わせを試し、全く新しい魔法を考え出した。

 自分が創造した魔法を《魔糸》と名付け、無属性魔法だ。


 《魔糸》は魔力を糸に変え、追跡・捕捉・暗殺などに使うことができ、用途が広い。

 そして、固有スキルは《魔法創造》も習得した。


 時にはアイラと一緒に魔物を倒しに行き、レベルを上げた。

 俺のレベルは53になり、アイラのレベルは37になった。


 アイラの剣術・魔法・文字も上達した。とても嬉しい。


 俺の誕生日は来週だ。どうなるか、楽しみだ。



 ✭✭✭✭✭



 いよいよ俺の誕生日が来た。パーティーが始まる時間は夜だ。


 俺は一人で邸宅の周りを散歩して緊張をほぐすようにした。お父さんがあんなに多くの人を招待するとは思わなかった。

 彼らはお父さんの支配下にある者たちだ。


 その勢力を自分のものにできるのだ。だが、その前に俺は継承者にならなきゃ。


 屋敷の中の人々の笑い声を聞いて、改めてドキドキした。初めての誕生日パーティーがこんなにも盛大なものになろうとは……。


 自分を落ち着かせなきゃ。この時、魔物を倒して気晴らしすると決めた。


 いつものように屋敷を離れ、軒を連ねる建物の屋根の上を疾走して草原へ来た。

 すると、魔物の気配を感じたが、空気中に血の味がする。


 俺の判断によると、誰かが魔物の攻撃を受けたはずだ。


 さらに奥へ行こうと決めた。


 疾走して二百メートルぐらい走った。

 魔狼の群れが馬車を取り囲んでいるのを見た。周囲に兵士たちが護衛しているけど、戦闘できる人は幾らも残っていない。生存者も、全身傷だらけになっていた。


 その馬車は豪華に見える。多分、俺の誕生日パーティーに招待された人だろう。


 魔狼は50匹ぐらいいる。そいつらを倒せばレベルを上げることができるはずだ。

 なら、全部殺してやる。


 《収納箱》からミスリルでできている剣を取り出し、前へ突進した。


 魔狼たちが注意を俺に集中させるために、魔法《火炎竜巻》を発動した。

 一瞬で多くの魔狼が灰となった。


「なっ、なに……」と兵士はこの光景を見て驚いて言った。


『レベルが1アップしました』


 レベルが54になった。俺は笑った。


 残りの魔狼が俺に気づき、奴らのすべてが俺に向かって来ていた。

 魔狼たちを殲滅することなぞ、たわいもないことだ。


 魔法《身体強化》と剣技《疾風制裁》を使い、一太刀あびせて三匹の魔狼の首を切り落とした。


 魔狼たちが一斉に襲いかかってきたが、一瞬にして切り殺した。


 戦いながら《魔糸》を発動して左手の五本の指から糸を打ち出すと、その糸は音もなく瞬時に魔狼たちの身体にからみついた。

 左手を左に振って《魔糸》をしっかり引き締め、魔狼たちを縄でからめとった。

 奴らを睨みつけ左手でこぶしを握り締めた。次の瞬間に、魔狼たちは《魔糸》に八つ裂きにされた。


『レベルが1アップしました』


 俺のレベルが55になった。


 血が噴き出し飛び散り衣と顔が血に染まった。《洗浄》を使って綺麗にした。


 治療魔法《全治癒》を発動すると床に魔法陣が出現し、緑の光点が浮かんで兵士たちを包み込み、その傷を治した。


 馬車の方向に向かって歩いて行った。


 兵士たちは俺の戦いを見て、みな口を開いたまま放心状態だった。


「大丈夫?」


 彼らはやっと我に返った。


「こっ、子供……、お前、一体なにものだ?」

「お前たちを助けたのに、そんな口ぶりで俺と話すなんて」

「子供が魔狼の群れを倒せるなんてありえない。お前はなにものだ?」


 突然、馬車の扉が開いた。

 誰かが降りてきた。


 暗いので、その顔がよく見えなかった。


「どうしたんだ?」


 男の声だ。


「はい、ホードマン様、この子供がなんと一人で魔狼の群れを倒しました」

「子供が魔狼の群れを倒した?」

「はい、そうです」


 男は兵士の話を信じられないようだ。

 なぜなら、子供が魔狼の群れを倒すことなどありえないからだ。


 男は俺の前に来てお辞儀をした。


「私たちを助けてくれてありがとう」

「いいえ」

「あなたは本当に私たちの命の恩人だ。密かに出かけたので馬車にミルコノをつけるのを忘れてしまい、魔狼の群れに襲われてしまった」


 ミルコノは魔物を追い払うことができる薬草の一種だ。

 なるほど、ミルコノをつけていなかったから、魔狼たちが彼らを襲撃したのだな。


 馬車から二人の女の子も降りてきた。二人とも震えていて、お互いに手を繋いでいる状態だ。

 体つきから判断すると、俺と同年代に見える。


 彼女たちはまだ怯えたままなので、《気分鎮静》を発動して、気分を落ち着かせた。


 彼女たちも俺にお辞儀をした。


「助けてくれてありがとうございます」

「助けてくれてありがとうございます」

「いいえ、あなたたちが無事でよかった。そして、あなたたちはクラースファに行くのでしょ?城内ではミルコノを入手できるので、クラースファから帰るときには、ミルコノをつけることができますよ」

「教えてくれてありがとう」

「僕はここで失礼します。それでは」


 俺は屋敷の方向へ振り向いて疾走した。


 なぜか気持ちがとても高揚している。とても充実した気持ちだ。



 ✭✭✭✭✭



 一台の馬車の中で一人の男と二人の少女が乘っている。


 男の名前はホードマン・サクッサス・リンスロッメだ。ホードマンは茶色の髮と瞳をしている。貴族の格好がよく似合っている。


 少女の一人の名前はアンティレーナ・サクッサスだ。胸くらいまでの長い茶髪で、澄んだ茶色の瞳、可愛い貴族らしい洋服を着ている。

 もう一人の名前はジェリス・カーオミタだ。紫色のミディアム、三つ編みにし、美しく黒いカチューシャをつけている、綺麗な紫色の瞳。同じく可愛い貴族らしい洋服を着ている。


 馬車の周囲を兵士たちが護衛し、クラースファに向かって進んでいる。


 ホードマンはさっき起こったことに非常な驚きと惑いを感じている。

 五歳ぐらいの少年が一人で魔狼の群れを倒したとは。


 アンティレーナとジェリスはとても楽しそうに話している。彼女たちはノルスの戦いぶりに夢中になっていた。


「ジェリ、先ほどの戦いを見ておりましたか?」

「はい、あの人、かっこよかったです」

「そうですね。もしよければ、またあの人に会いたいです」

「私も!」


 ノルスの顔はよく見えなかったが、彼女たちの心の中ではノルスは優しくて、強くて、かっこいい人になっていた。


 アンティレーナとジェリスは幼馴染みだから、しょっちゅう一緒に遊んでいた。


 馬車が城内に乗り入れた。彼らはラフィダートの招待を受けて、ノルスの誕生日パーティーにやってきた。


 屋敷に着くと馬車が止まり、彼らは降りてきた。それから、パーティーの会場へ入った。

 パーティーに出席するのはほとんど高官や身分の貴い人、そしてラフィダートの支配下の人々。

 料理は盛りだくさん。舞台では、楽団がすばらしい音楽を演奏している。


 ラフィダートは壇上に上がり、音楽の演奏を止めた。皆はラフィダートに目を向けた。


「皆様、お忙しいところ、愚息の誕生日パーティーにお越しいただき、ありがとうございます。ご遠慮なく、テーブルの上の美酒と佳肴を楽しんでください」


 ノルスも登場した。


「こんばんは、皆さん」


 ノルスの声を聞いてホードマンはびっくりした。心に「これは私たちを助けた少年の声じゃないか?……まさか、私たちを助けたその少年がノルス様!?」と思った。


「この声は……」

「この声は……」


 ノルスの声を聞き、二人は舞台の前に駆け寄り、ノルスの顔を見て一目惚れした。


「僕はノルス・ガルメスです。本日はご多忙中、僕の五歳の誕生日パーティーにご出席いただき、誠にありがとうございっ……」

「ノルス様、私と結婚してください」

「ノルス様、私と結婚してください」


 アンティレーナとジェリスは一緒にノルスの前に跪き、プロポーズした。


「えっ?……えぇぇぇぇぇー!?」


 プロポーズされたノルスは顔が赤らんだ。


 誰にも予想できなかったことが起こった。

「とても面白い!」

「読み続けたい!」

「更新を期待です!」


とか思いましたら

是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!

よろしくお願いいたします。




                  白皇 コスノ 拝啓

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