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14. ――― 専属奴隸

 今、ディヤヌスに来ている。

 お父さんと俺は一台の豪華な馬車に乗り、周囲を12人の騎士が馬に乗って護衛している。


 ディヤヌスは屋敷の西北に位置している。


 お父さんの話では屋敷からディヤヌスまでは馬車で20分ぐらいかかるそうだ。


 俺はディヤヌスの賑やかな光景を想像しワクワクしている。


「ノルスは楽しそうだな」

「はい」


 お父さんは俺の楽しそうな顏を見て笑った。


 ディヤヌスに近づくにしたがって、周囲には通行人がますます多くなった。

 車窓から外を眺めると、だんだん城壁が見えてきた。


 巨大な白い城壁、城壁の上にはグロルートス王国の国旗が翻っている。

 城壁の上と城門には兵士たちが厳めしそうな顔つきで歩哨に立っている。


 兵士たちは俺たちが乗っている馬車の紋章を見て、すぐに城門の周りの人の流れを制止して、優先的に城内へ入らせてくれた。


 紋章は自らの身分・家系・血統・家柄・地位などを表し、昔の日本の武士の家紋に似ている。


 ガルメス家の紋章はドラゴン一匹と剣一つ。

 ドラゴンはガルメス家がドラゴンと同様の不屈の精神を持つことを表し、剣はグロルートス王国のために振る剣を表してる。


 城門を通った時、城門に立っている兵士たちが俺たちに敬礼した。


 ディヤヌスに来てみると、果たして街には人の波がさざめき、往來が盛んで賑やかだ。


 人族以外にも他の種族が貿易しているのを見た。矮人族、獣人族、妖精族など多くの種族が入り乱れている。


 俺はここで商会ブランドを立ち上げ、この世界にない商品を扱い、大もうけするつもりだ。

 それにディヤヌスには世界各地から来た商人もいる。だから、商会も情報を集める場所としても利用できる。

 けど、俺には今資金がないので、すぐに商会を設立することはできない。


 お父さんに開業したいと言えば、資金を提供してくれるだろう。

 が、資金を提供してもらっても、俺には商才のある人材や製品を製造する原料が必要だ。


 そうといっても、人材や原料はどこで探す?


 ……急ぐことはない。俺はまだ子供だ。これから先いくらでも機会はある。


 馬車は奴隷商の館の前で止まった。


 ようやく着いた。


 お父さんと俺は馬車から降り、護衛している騎士たちも馬から降りた。


 目の前の商館はバロック風の建物、すごく立派に見えた。

 お父さんと俺は商館の階段を上がり、建物の中に入った。


 商館の中もなかなか豪華だった。


「いらっしゃいませ」と奴隸商人が挨拶してきた。


 この奴隸商人は中年で、小太りで、八の字髭を生やしている。


 風体から、この奴隸商人が悪徳商人のように見えた。


「私の名前はビスト・チューリングレミ、ビストとお呼びください。お客様たち、奴隷をお求めですか?」

「そうだ」とお父さんが答えた。

「では、お客様たちはどのような奴隷をお求めですか?」

「私が奴隷を求めているのではなく、息子の方だ」

「なんですって、若旦那様が奴隸を求めているのですか」

「はい」


 ビストの俺に対する笑顏、少し奸邪と思った。


「僕と同じ年頃で、従順で、僕のために生命の危険を冒すのもいとわない奴隷が欲しいのです」

「そうなんですか……」


 ビストは自分の八の字髭を触って考えた。


「若旦那様が欲しい奴隸はありますよ。でも、こちらの場所はビジネスの話合いにはふさわしくないので、会議室までお越しいただけませんか?」

「むっ、いいよ」

「では、レイア、お前は先にお客様たちを会議室にご案内してくれ。私は若旦那様の要求にかなう奴隷を連れてきます」

「はい」と一人の猫人の女の子は言った。


 猫人は獣人族の一種だ。人族に似ているけど、猫の耳や尻尾を持っている。

 動作と行為も猫のようだ。


 目の前の猫人はメイド服を着て、首輪をしている。活発な性格に見えた。

 彼女は美しいピンクの髪をツインテールにし、ぱっちりとした蜂蜜色の瞳をしている。


「それでは、お客様たち、わたくしが会議室までご案内します」

「わかった」


 レイアは俺たちを会議室に連れて行った。


 俺たちの前を歩くレイアが、彼女の尻尾が俺の前で揺れている。


 無意識のうちにレイアの尻尾に惹かれ、ずっとレイアの尻尾を見ている。


 レイアが尻尾を揺れる可愛さに無意識に魅せられちゃった。


 気づくと会議室に着いていた。

 レイアはドアを開けて、俺たちは会議室へ入った。


 この会議室も結構豪華だ。


「どうぞ、おかけになってくださいませ。ビスト様はすぐ来ますから、少々お待ちください」


 お父さんと俺はソファーに座った。


 ビストが連れてくる奴隸はどんな人だろうか?そして、奴隷を買った後のステップはどうすればいいか?と思った。


 突然、会議室のドアが開けられ、ビストが入ってきた。


「すみません、お客様、お待たせしました」

「いいえ」と俺は言った。


 しかし、奴隸が見えない。


 ビストは後ろを振り向き、大声で「早く入ってこい」と言った。

 すると、一人の奴隷がビストの後ろから出てきた。


 俺と同じ年頃の少女だ。

 乱れた長い銀髪だが、サファイアのような瞳を持ち、おんぼろの服を着て、体には鞭打(むちう)たれた傷痕がいっぱいだ。


「早くお客様に挨拶しろ」

「はっ、はい。おはようございます。わたくしの名前はアイラです、ええと、ええと……よろしくお願いいたします」


 彼女は慌ててお辞儀をした。


「まったく、どうして作法を覚えられないのだ?」

「すみません……」

「……さあ。お客様、どうでしょう、この奴隷は?」


 まさか彼は俺にこの劣悪な奴隷を売りつけるつもりか?

 でも、人は見かけによらない。


 俺は《鑑定》を発動した。


 ――――――――――――――――――――――

【アイラ】

 称号:不器用な奴隷

 年齢:四歳

 性別:女


 レベル:1/∞

 HP 240/280   

 MP 20/20


 力  F   水 F

 体力 F   火 F

 知性 F   風 F

 防御 F   岩 F

 速さ F   土 F

 精神 S   草 F

 器用 S   雷 F

 運  F   光 F

        闇 F

        無 F


 固有スキル:

 なし

 ――――――――――――――――――――――


 おかしい、彼女は貧相な奴隷だけど、器用の能力レベルはS、そして精神もSなのか。


 こりゃどういうことか?

 まさかこりゃ潜在力?


 アイラ、この名前には大きな潜在力があるようだ。

 俺は彼女の潜在力を引き出したい。


 将来、利用価値があるかもしれない。


「お父さん、僕はこの奴隷が欲しい」

「よし、わかった」


 と、ニヤリと笑ったビスト。


 ビストよ、俺はお前の詭計には気づいている。まったく。


「この奴隷はいくらだ?」

「はい、この奴隷は小金貨1枚です」


 この世界には10種類の価値が異なる通貨がある。


 小鉄貨、最小通貨だ。

 大鉄貨、小鉄貨10枚と同価値。

 小銅貨、大鉄貨10枚と同価値。

 大銅貨、小銅貨10枚と同価値。

 小銀貨、大銅貨10枚と同価値。

 大銀貨、小銀貨10枚と同価値。

 小金貨、大銀貨10枚と同価値。

 大金貨、小金貨10枚と同価値。

 小白金貨、大金貨10枚と同価値。

 大白金貨、小白金貨10枚と同価値。


 小金貨1枚か……。

 1枚の小鉄貨を1円とすれば、1枚の小金貨は100万円だ。

 ちょっと高いかな、でもお父さんにとってはお買い得だろう。

 お父さんはポケットから小金貨1枚を取り出してビストに払った。


「ありがとうございます。宜しかったら、私はお客様たちのご尊名が知りたいのですが」

「うむ、私の名前はラフィダート・ガルメス・クラースファだ」

「僕の名前はノルス・ガルメスです」

「……ガルメス……。―――っ!!」


 俺たちの姓を聞いて驚いたビスト。

 ビストは気づいたようだ、俺たちは王家に次ぐ地位をしめる貴族だ。


「公爵様とお取引できて光栄です。公爵様。先ほど、私はうっかりし値段を言い間違えました。1枚の小銀貨でした。申し訳ございません」


 ビストは態度を180度変えちゃった。値段を100分の1に下げた。


 こいつら悪質な商人たちは俺たちの権勢に弱い。


「小金貨1枚で構わない。残りはチップとして取ってくれ」


 お父さんは気前がいいね。

 しかし、お父さんの口ぶりによって、お父さんもビストが阿諛追従(あゆついしょう)していることを理解している。


「値段を言い間違えたことは本当に申し訳ございません。あとは、《奴隷契約》の締結ですね」

「《奴隷契約》?」

「はい、若旦那様は奴隸を購入されましたが、彼女はまだ本当に若旦那様の奴隸になっていません。契約をしなければならないのです」

「じゃ、どうすればいい?」


 それから、レイアは俺にナイフを手渡した。


 レイアがナイフをくれた意味が分からん。


 それで、レイアはアイラのところに行って、アイラの服を引き裂いた。


「あっ!」とアイラは驚いて叫んだ。


 俺は赤面した。ちょっと恥ずかしい、これ。


 アイラの胸に魔法陣の模様があるのを見た。


「《奴隷契約》を結ぶことはとても簡單です。それはその魔法陣の図案に血を垂らしたら完成です」

「《奴隷契約》を結んだら、何が起こる?」

「《奴隷契約》を結べば、奴隷はご主人様の命令に絶対従順になります。命令に背けば、痛みを受けることになります。最悪の場合には死亡します」


 《奴隷契約》の効果を聞いて、素晴らしいと感じた。


 これで奴隷が裏切るのを減らすことができる。


「わかりました」


 俺はアイラのところに行き、ためらうことなくナイフで自分の人差し指の先を少し切って血を出した。


「待ってください、まっ―――あぁぁぁぁー」とアイラは恐怖で顔をこわばらせた。


 アイラの胸に手を置いた。


 胸の魔法陣の模様に反応が起こって明るい光を放った。


 さあ、俺の奴隸になれ。


 間もなく光が徐々に消え、首輪になってアイラの首に架かった。

 この首輪はレイアの首輪と同じように見えた。


 なるほど、レイアも奴隷だ。彼女の主人は多分ビストだろう。


 これでいい、アイラは俺専属の奴隷になった。

「とても面白い!」

「読み続けたい!」

「更新を期待です!」


とか思いましたら

是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。

面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!

よろしくお願いいたします。




                  白皇 コスノ 拝啓

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