12. ――― 授業開始
朝食後、ロアは俺を馬に乗せて、城門を出て草原まで来た。
今日は初めての授業だ。
ロアが何を教えてくれるか楽しみ。
馬を止めるロア。
「ここです、ノルス様」
俺はロアと馬から下りた。
周りは見渡す限り草が生い茂っている。
今日の訓練場はケールが兵士たちを鍛えている場所、俺たちはこの見渡す限りの草原に来て魔法の授業をする。
「では、私たちの初めての授業を始めましょう」
「はい」
「ノルス様の実力は高いので、少し難しい魔法を教えます」
少し難しい魔法か。楽しみな。
「まず教えるのは混合魔法です」
「混合魔法?」
混合魔法、初めて聞く。
でも、強そうに感じる。
「はい、それは複数の魔法属性元素を合成した魔法です」
「なるほど」
「私がまずお手本を示します」
ロアは杖を上げた。
「水と火元素よ!力を合わせたまえ!私の力になれ!下級混合魔法《温水》発動!」
ロアは詠唱すると、杖の上の青い魔石に魔法陣が現れた。
温水は魔法陣から滝のように流れた。
「このようにするのです。水と火元素を合わせ混合魔法《温水》を発動します。ではノルス様、試してみましょう」
「はい」
俺は右手を上げた。
魔力が右手に流れ、半分の魔力を水元素に変え、残りを火元素に変えた。
それからこの二つの元素を合わせた。
《温水》発動!
右手に魔法陣が現れ、温水が魔法陣から噴き出した。
「詠唱なしで混合魔法を発動しましたね。やっぱりノルス様は強いですね」
「いいえ、まだまだです」
「それでは、次に上級混合魔法《飛行》を教えましょう」
直ちに上級混合魔法を教えることになった。
ロアはまだ俺に嫉妬を持っているようだ。
「わかりました、いいですよ」
「それなら、まず基礎的な《飛行》を教えます」
「はい」
「もし基礎的な《飛行》を発動したら、真っ先に無属性上級魔法《浮游》を発動します」
「なるほど」
《浮游》、無属性上級魔法。水の上や空中に浮かぶことができる魔法。
ロアはまた杖を上げた。
「空の霊よ、私に力を与えたまえ!すべてを漂わせて!無属性上級魔法《浮游》発動!」
ロアの足の下に魔法陣が現れて、ゆっくりと宙に浮かぶのを見てすごいと思った。
ただし、目の前の光景に顔が赤くなった。
ロアはショートスカートを着ているので、パンツが見えた。ピンクだ。
すぐに顔を逸らした。
「どうしましたか、ノルス様?ちょうど《飛行》の要点について話そうとしていたのですが、どうしてノルス様は顔を逸らせたのですか?それに顔を真っ赤にしました。もしかしてノルス様、具合が悪いのですか?」
「師匠のパンツが見えてしまったのです」
俺の言葉を聞いて、ロアの顔も赤くなって、急いで地上に降りた。
「失礼しました」
「いいえ……。まあその、師匠が話したかった要点はなんですか?」
「はい、それは《浮游》を発動する後、風属性下級魔法《風》を使い、風の流れで方向を制御して風の強さで速度を制御するということでした」
「なるほど」
じゃ、やってみよう。
と、また右手を上げた。
俺は《浮游》を発動している時、ロアはいきなり眉を顰めて表情が厳粛になった。
何が起こったんだ?
「察するところ、何人かの招からざる客がこちらへ向かってくるようです」
ロアの言ったことをすぐに理解した。
何かがここへ近づいてきているようだ。
《浮游》の発動を止めて、《周囲感知》を発動した。
やはり何かが近づいてきている。
この反応は―――魔物!
魔物の数は18匹。
それに尋常ではない速さで向かってきている。
「さて、ノルス様、ちょっとテストしましょう。テストの内容は魔物たちを倒すことです」
こいつは俺を殺したいほど妬んでいるのか?
まあ、俺は108匹の等級Bの魔物、火炎蜥蜴を殺したことがある。
だから、18匹の魔物を倒すのは俺にとって、簡單だ。
ただ、魔物等級はどれほどのものかわからない。
「わかりました」
ロアは俺の答えを聞くと、一瞬驚きの表情を顏に浮かべた。
「かっ、かしこまりました。では頑張ってください、ノルス様。もしノルス様が耐えられないなら、言ってください、助けます」
ロアは馬に乗って、《浮游》を使い、空中に浮かんだ。
まもなく、魔物たちが俺を取り囲んだ。
それらは狼のような魔物だ。
《鑑定》を発動した。
――――――――――――――――――――――
【魔狼】
魔物等級:C
HP 5321/5321
MP 0/0
功撃力:280
防御力:457
固有スキル:
《嗅覚鋭敏》LV.6《視覚鋭敏》LV.4《狩り咬殺》LV.5《利爪》LV.5
――――――――――――――――――――――
等級Cの魔狼か。
こいつらを殺したら、レベルを上げることができるのだろうか。
両手を上げて、《収納箱》を発動した。
手を伸ばして魔法陣の中からデザートイーグルとジェリコ941を取り出した。
目が鋭くなった。全部殺せ!
一匹の魔狼が俺に飛びかかった。
左手を挙げてジェリコ941の引き金を引いた。
《炎弾》発射!
《炎弾》は魔狼の身体を射抜いた。
魔狼は全身を炎に燃やされて、苦しそうに悲鳴をあげ、灰燼と化した。
ロアはこれを見て驚いた。
「すごい」
そして二匹の魔狼が飛びかかってきた。
二つの銃を上げ、引き金を引いた。
身体を貫き、全身を炎に燃やされ、また灰燼と化した。
まったく無策なばか者め。
背後から一匹の魔狼が飛びかかってくる。
「後ろ!」
ロアが大声で叫んだ。
俺はもちろん、わかっている!
後ろに振り上げた右手は引き金を引いていた。
魔狼は灰燼と化して死んだ。
頭にシステムのような音が鳴り響いた。
『レベルが1アップしました』
聞くと嬉しくなった。
さあ、俺の功撃する番だ。死ね!
俺は二つの銃を上げて、魔狼たちに射撃を始めた。
一、二、三、四……十四!
躊躇なく全部殺した。
ロアは驚いてさらに目を丸くした。
全部の魔狼を殺し、レベルが34から37へアップした。
――――――――――――――――――――――
【ノルス・ガルメス】
称号:ガルメス公爵家長男・転生者・【非表示】・神童
年齢:四歳
性別:男
レベル:37/∞
HP 3950/3950
MP 1006668960/1006668960
力 B 水 B
体力 A 火 B
知性 S 風 B
防御 B 岩 B
速さ A 土 B
精神 A 草 B
器用 S 雷 B
運 A 光 B
闇 B
無 B
固有スキル:
《治療魔法上級》LV.4 《無詠唱》LV.8 《多重詠唱》LV.5 《上級魔法》LV.4《中級剣技》LV.3
――――――――――――――――――――――
自分を鑑定した。
能力レベルの数値もほとんど上昇した。
ロアは草の上に降りた。
「師匠、僕はやりました」
「やっぱりすごいです、ノルス様は」
「いいえ、まだまだです」
「ノルス様はあまりに謙遜しすぎます」
「そんなことありません」
笑顏でロアに言った。
しかし、俺の笑顏は心からじゃない。
実力を隠したから。
ロアもそれに気づいたかもと思った。
「ノルス様はテストに合格しました。おめでとうございます。今日の授業はここで終わります。もう昼食の時間ですね」
「はい」
俺はデザートイーグルとジェリコ941を《収納箱》に入れてから、ロアと一緒に馬を乗って屋敷に帰った。
✭✭✭✭✭
今は食堂にいて昼ごはんを食べている。
「ノルス、今日の授業はどうだった?」
「すごく面白かったです」
「そうか、それは良かった」
お父さんは俺がそう言ったのを聞いて安心した。
「そして、今日はちょっとしたテストがありました」
「テスト?」
「はい、僕は合格しました」
「テストの内容はなんだったかしら?」
お母さんが言った。
「はい、お母さん。テストの内容は18匹の魔狼を殺すことでした」
スープを飲んでいたお父さんはスープを口から噴き出した。
「一人で!?」
「一人で!?」
お父さんとお母さんは驚いて口をそろえて言った。
「はい、僕は一人で18匹の魔狼を全部殺しました」
「本当に?!」
「ロアちゃん、ノルスの言ったことは本当なの?」
お母さんはロアに聞いた。
「はっ、はい……」
ロアは小声で言った。
両親はロアの答えを聞いて一層びっくりした。
「魔狼を倒したなんて……」
「さすがノルス、すごいわ」
「いいえ」
「等級Cの魔狼を倒すには、最低でもCランク以上の冒険者の強さが必要です。ノルス様は18匹の魔狼を倒しました。しかも魔狼は群れになっていました。その魔狼の群れを倒すには、Bランク以上の冒険者たちによる討伐がなければなりません。だから、ノルス様の強さはBランク、いいえAランク、あるいはそれ以上の冒険者かもしれません」
と、ロアが説明した。
冒険者のランクは9つのレベルがあった。低い順に並べたら、F・E・D・C・B・A・S・SS・SSSだ。
俺の実力はAランク、あるいは以上の冒険者か。
階級は高いかな。
しかし、まだ満足しない。
俺は続けて上を目指して頑張らないと、公爵の継承権を手に入れるため。
「とても面白い!」
「読み続けたい!」
「更新を期待です!」
とか思いましたら
是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!
よろしくお願いいたします。
白皇 コスノ 拝啓




